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Rhodococcus equiによる子馬の疝痛

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2月はじめ生まれの子馬(2.5ヶ月齢)が、2日前から発熱し、きのうからは疝痛を示している、と夕方の相談。

発熱に対応して、腸炎を起こすことがある抗生剤を投与し始めていたので、「腸炎?」と訊いたが、

「超音波で、腸炎を疑う所見はない」、とのこと。

そして、「右腹部で血腫様の塊が見える」。

内科的に対応すべき症例ではないか、ということで様子を観てもらうことになった。

           ー

結局、その後も疝痛は強くなり、深夜になって来院した。

開腹したら・・・

腹腔の右背側にある盲腸底に柔らかい塊がある。

それに続く固い部分も感じる。

盲腸底の内側、盲腸結腸の動脈の根元側が固い塊になっている。

そして、回腸も巻き込まれている。

(写真、左上から伸びているのが盲腸背側紐;その先に回盲部がある)

切除もできないし、切開もできない。

このままでは、回腸の不完全な閉塞、盲腸から結腸への不完全な閉塞、が解除されない。その方法もない。

あきらめることにした。

解剖したら、盲腸底の塊は水腫を起こした腸壁で、

結腸動脈、盲腸動脈の周囲が膿瘍を取り囲むように肉芽腫になっていた。

右肺後葉の内部にも径3cmの化膿部があった。

           ー

この子馬、1ヶ月あまりのときに肢軸異常のsingle screw手術をしていた。

その後、数日は抗生剤投与を受けているが、Rhodococcus equiには有効ではなかったのだろう。

30-45日齢の子馬の発熱を静観してはいけない。

Rhodococcus equiが蔓延することになる。

         /////////

シデコブシが咲いた。

雨が降らない4月だ。

 

 

 

 


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