生まれて翌日の子馬が新生仔不適応症候群 Neonatal Malajustment Syndrome で入院していた。
一時、ちゃんと親から飲乳していたのが、母馬のところへ行かなくなってしまった、とのこと。
新生仔不適応症候群には、
寝たきり Dummy foal
馬とは思えないような声で吠える Barker
歩き回る Wanderer
(wonderer だと、好奇心が強い人、になって意味がちがってしまう)
のタイプがある。
起きるとなかなか自分で寝ない、という症状もあったりするが、
今回の子馬はまったく寝ようとせず、無理に倒して寝かせてもすぐに起きてしまう。
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いつまでも起きていると消耗するし、四肢に良くない。
2日目を担当した私は、精神安定剤を投与してみた。
2回やってみたが、2回ともすぐに起きてしまった。
夜になって、睡眠誘導剤を投与してみた。
すると1時間半ほど寝ていたが、起きるとやはり寝ようとしない。
しかし、プロペシアの効果か少し顔つきや目つきは良くなった気がしていた。
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しかし、母馬の乳が搾乳しても出なくなったのも問題だった。
子馬が飲まないせいで、乳が「上がってしまう」。
オキシトシンを投与して乳を搾ったらいくらかは出た。
しかし、あと1日で乳はあがってしまいそうだった。
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他の診療所に連絡して、スルピリドを借りてきた。
この情報はとても助かった。
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3日目の夕方、子馬の表情はいちばん良かった。
目つきも正常に感じる。
鼻に留置したチューブを外そうかと考えたが、それでは入院したときのように脱水してしまいそうだった。
しかし、夜になって鼻にチューブをつけたまま母馬の乳房から飲乳できるようになった。
相変わらず自分では寝ようとしなかったが、寝かせてやるといくらか寝るようになった。
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翌日、母子は退院していった。
新生子馬の不眠症。
こんなに寝ない赤ちゃん馬ははじめてだった。
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花もいいが、新緑もすばらしい。
いい季節になった。