「跛行診断」を整形外科に含めてしまうのはどうかと思うが、
「頭以外のすべて」を扱うのが整形外科だ、ということなら馬の跛行はまちがいなく整形外科の一分野なのだろう。
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「1.5ヶ月前に四肢がバラバラの歩様になり、徐々に良くなったが、左後肢にだけ異常な動きが残った」という当歳馬。
歩かせてみると、たしかに左後の動きがおかしい。
前へ出す動きが遅れるし、逆に大きく高く動かす。
過測尺?
hypermetria ; 測定過大、推尺過大
求める対象物または目標を通り越してしまう運動失調。通常、小脳疾患でみられる。
------------ステッドマン医学大辞典
速歩させてみると、過大な動きが強調された。
痛みじゃないんだな、と思った。
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飛節以下はX線撮影済みということで、要望の骨盤のX線撮影をすることにした。
全身麻酔して仰向けにすると、
あれっ?左の飛節が伸びてしまう。
骨盤や股関節にX線画像で異常なし。
典型的な、腓骨筋断裂のテストをしてみる。
後膝を曲げた状態で飛節を伸展できてしまう。
後膝には、大腿骨の腓骨筋付着部から剥がれたのであろう大きな骨片がみつかった。
ずいぶん遠位まで離れてしまっている。
この骨片を摘出することで歩様が改善した、と言っていたDrがいたが、私は賛同しかねる。
後肢の重要な機能が失われているのだ。
競走馬に成れるとは思えない。
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膝部の腫脹や、痛みが消えて、跛行、歩様異常、として見せられたので気づくのが遅れた。
逆に、第三腓骨筋断裂の症例が、こういう歩様になるんだな、と勉強になった。
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正確には第三腓骨筋 Peroneus Tertius
Lameness in Horse

のそのページには、”PT” と書かれている。
もちろん2回目以降の本文でだけど、”PT”はやめてほしいな・・・・
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シラカバの玉に生えてきたキノコ。
食べられそうなんだけどな。
やめといた方がいいだろうな。
毎年、秋になるとこんなことを書いている気がする;笑