中手骨外顆完全骨折に伴う種子骨縦骨折
競馬場の先生から骨折馬を送る、との連絡。 中手骨外顆の完全骨折。 外顆は近位方向へ変位してしまっている。 それは直せると思うが、外側種子骨に縦に気になる線がある・・・ - そのまま骨鉗子で挟んでみる。 やはり関節面がずれたままになる。 - 骨折線近くまで4.5mmドリルで穿孔し、3.2mmドリルガイドを挿入してそのドリルガイドで外顆を遠位方向へ引っ張る。...
View Article種子骨の軸側縦骨折 成書の記載
(種子骨の)縦骨折は例外なく軸側に起こる。 種子骨間部への細い裂片であったり、種子骨の中央より1/3まで伸びていたりする。 報告されている全ての症例は外側種子骨であり、第三中手骨か中足骨の外顆の変位した骨折に伴って起こった。 - 書かれているのは、Nixon先生のEquine Fracture Repair。 Equine Fracture Repair...
View Article種子骨軸側縦骨折 成書の記載 症例報告での予後
外顆骨折に伴って種子骨が縦に割れてしまう骨折についての成書 Equine Fracture Repair の記載の続き。 - 文献には、種子骨軸側骨折についてふたつの報告がある。 一つは、2頭の馬での第三中手骨外顆骨折に伴って起きた外側種子骨の軸側骨折について注意を喚起するものだ。 2頭とも重度の変形性関節症を骨折と顆骨折の修復の3ヶ月以内に起こした。...
View Article猟犬探偵
帯広の書店でみつけて購入。 ヤマケイ文庫 猟犬探偵 完全版 谷口 ジロー 山と渓谷社 漫画家も、原作者ももう亡くなっている。 舞台も、昭和61年。 あのころは、携帯もまだ普及しておらず、世の中の連絡は電話かFAXが主で・・・ しかし、現代の物語として読んでもそう違和感はない。 ー 行方不明になった猟犬を探すことを生業にしている男。...
View Article第三腓骨筋断裂の歩様
「跛行診断」を整形外科に含めてしまうのはどうかと思うが、 「頭以外のすべて」を扱うのが整形外科だ、ということなら馬の跛行はまちがいなく整形外科の一分野なのだろう。 - 「1.5ヶ月前に四肢がバラバラの歩様になり、徐々に良くなったが、左後肢にだけ異常な動きが残った」という当歳馬。 歩かせてみると、たしかに左後の動きがおかしい。 前へ出す動きが遅れるし、逆に大きく高く動かす。...
View Article肉弾
調べ物をしていて、1年間のカルテを全部めくった。 2021年度も鹿の角でやられた外傷のカルテがあった。 鹿による被害を調べているわけではないけど。 あと3年分調べる。 - ときどきニュースで、「クマが・・・」と報道されている。 本州だと「ツキノワグマ」か、となるし、北海道のニュースだと「ひゃ~ヒグマだ」とわかる。...
View Article繁殖雌馬の慢性跛行 What’s your diagnosis ?
慢性の後肢跛行が続いている繁殖雌馬。 一時よりは落ち着いたようだが、はっきりわかる跛行。 血液検査でSAAが高く急性炎症像が認められていたが、SAAは正常値近くまで下がったそうだ。 当初は飛節周りが腫れたそうだ。 腫れは下がったがまだ残っている。 X線撮影してみて・・・ おや?脛骨の遠位に透過亢進部がある。 角度を変えて撮っても骨の中に写るので、骨の中心部に透過亢進部はあるようだ。...
View Article繁殖雌馬の骨髄内膿瘍
数週間にわたる後肢跛行を示している繁殖雌馬のX線画像。 肢の腫れや、血液検査での炎症像など感染と炎症によるものである所見もあるが、 成馬が外傷もなく、関節隣接部でもなく、成長板遺残部でもなく細菌性骨髄炎を起こすだろうか? という考えが診断を邪魔する。 - ただ、私はかつて成馬が骨髄内に膿瘍を形成した症例報告を見た記憶があった。 たしかEquine Veterinary...
View Article成馬も既往症なく骨髄炎を起こすことがある
成馬も突然?骨髄内におそらく血行性であろう感染を起こすことがある。 骨髄内に吸収像があって、症状と血液検査で炎症像や感染が疑われたら、細菌性骨髄炎を疑う必要がある。 もちろん、腫瘍性病変でないか、など類症鑑別や予後判断は慎重にしなければならない。 - もうひとつ文献を紹介し、記憶にとどめておきたい。 アメリカ獣医師会雑誌 JAVMA に What Is Your...
View Article家畜高度医療センター研修 2022
きのうは、地元NOSAIの若手の先生が集まってセンター研修。 講義して、 実馬を使って実習。 神経ブロック、疝痛診断のための直腸検査、超音波検査、胃チューブ挿入、眼科手技、その他。 一次診療の先生たちの知識が増え、判断・診断が適確になり、術後治療レベルが向上することで、二次診療の内容も向上していく。 期待してるよ。 あいまに、上腕骨骨折粉砕の当歳馬の剖検。...
View Article診療実績2021 全般
先日、3年ぶりで職場の飲み会。 地元の焼肉屋は混雑していた。 私の所長退任と、新所長就任祝いと、Y先生歓迎会と送別会と、M先生歓迎会と、etc. この3年間のあれやこれやをまとめて;笑 ーーー 家畜高度医療センターの診療実績2021(令和3年度)が出たので整理しておきたい。 診療件数は1,843件。...
View Article診療実績2021 関節鏡手術
令和4年 2021年度は、関節鏡手術が 飛節 141 頭 腕節 98 頭 球節 28 頭 (種子骨10頭を除く) 後膝 17 頭 種子骨 10 頭 腱鞘鏡 13 頭 近位指/趾節 3 頭 遠位指/趾節 1 頭 感染性関節炎/腱鞘炎 5 頭 え~っと 合計316頭。 - 1年365日だよ。 土曜日曜祝日も関節鏡手術を受けているが、盆正月、夜中まではやっていない。...
View Article診療実績2021 開腹手術
2021年度の馬の開腹手術件数は、171件。 これ以外に、 鼠径ヘルニア 2件 腹壁ヘルニア 2件 帝王切開 4件 膀胱破裂 2件 卵巣顆粒膜細胞腫 3件 となっているから、171件はほとんど疝痛の腸管手術なのだろう。 - やれやれ聞いただけで疲れる;笑 - この11月、ほとんど腸管手術はない。...
View Article診療実績2021 喉頭形成術ほか
2021年度は、喉頭片麻痺の喉頭形成手術(Tieback) 48頭 披裂軟骨切除(Arytenoidectomy) 2頭 これらは吸入麻酔で。 - ほかの「喉なり」の手術は、 プロポのTIVA(全静脈麻酔)でVCC声帯虚脱の声帯切除 1頭 ワンショット麻酔で声帯切除と披裂喉頭蓋ヒダ切除 5頭 声嚢声帯切除 1頭 無麻酔で、つまり立位でLaserで披裂喉頭蓋ヒダ切除 4頭...
View Article診療実績2021 難産
2021年帝王切開は4頭。多い年ではなかったようだ。 静脈維持麻酔による難産整復は13頭。 さして多いようには感じない数字かもしれないが、ほとんどが3月4月に集中し、夜中の重労働だ。 時間もかかる。 ワンショット麻酔による難産は2頭。 合わせて15頭が全身麻酔しての難産介助ということになる。 立位・枠場保定での難産介助・失位整復が16頭。 枠場が使えるおかげで「出せる」ということはある。...
View Article診療実績2021 プレート固定、そして子牛の脛骨近位骨幹端粉砕骨折T-LCP固定
2021年度はプレート固定を13頭 プレート抜去手術は7頭を吸入麻酔で。 プロポフォール持続点滴麻酔で顔面骨骨折プレート抜去を1頭。 無麻酔、立位で尺骨骨折プレート抜去を1頭と、第三中足骨骨折プレート抜去を1頭、顔面骨骨折プレート抜去を5頭、下顎骨骨折プレート抜去を1頭。 牛のプレート固定が、橈骨1、中手骨1、TPC1。 -...
View Article診療実績2021 去勢 そして、「銀の匙」
診療実績2021 去勢は76頭。 これもかつてより倍増した。 近年は、ケタミン・プロポフォールで全身麻酔して、追注することはあっても点滴麻酔はせずに済ませている。 手術手技は、ほとんどすべてが捻転式。 - 健康手帳を必ず持ってきてください。 去勢証明を書き込み、去勢証明書を添付します。 去勢馬なのに、牡馬として競馬に出ていた、などという不祥事が起きているらしい。...
View Article診療実績2021 外傷 そして、Qatar2022 Wcup
2021診療実績。 外傷縫合は、全静脈麻酔TIVAで6頭。意外に少ない。 その他の静脈麻酔で9頭。 無麻酔で35頭。 - これには、強力な鎮静剤が使えるようになったこと。 神経ブロックの技術が良くなったこと。で、立位で縫合できるようになったおかげかもしれない。 部位や程度が悪い外傷は縫合しても癒合しないので、癒合させるのをあきらめながら処置している症例もある。...
View Article鹿害
この秋も、エゾシカの角にやられたのであろう外傷症例が何頭か来院した。 胸を突かれて胸膜炎を起こした馬は数週間の治療後、安楽殺された。 (シカの角は特別汚いのか??) 別な、大腿部を刺された馬も来院した。 (受傷して数日後だったが、傷は化膿していた) その飼主さんはハンターでもあるのだが、近隣の牧場への配慮もあるので自分の牧場でもなかなか撃てないそうだ。...
View Articleオシムの言葉
オシムの言葉 (集英社文庫) 木村元彦 集英社 この本は出版されたとき読みたいと思ったがそのままになっていた。 今年、オシムさんが亡くなった。 文庫版には、脳梗塞で倒れて日本代表監督を辞任したあとについて、数名の選手のインタビューが増補されている。 ー Qatarワールドカップの合間に読むのに良い本だった。 他民族国家がサッカーに強い。...
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