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Channel: 馬医者残日録
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こんどは夜中から三頭

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日付が替わる前、起こされる。

分娩後20時間の繁殖雌馬が疝痛、治療しているうちに疝痛が強くなった。

直腸検査、超音波検査で異常所見不明とのこと。

          ー

日付が替わって来院。

まだ痛い。

PCV41、乳酸値1.7mmol/l。

超音波で診て、肥厚した結腸壁を確認。

もう1人当番を呼び出して、開腹。

結腸は予想以上に傷んでいた。

2人でさっさと終わらせる。

おかげで、朝、ひと眠りする時間があった。

          ー

朝食を食べようとしていたら、子馬の疝痛の依頼。

地元の牧場なのですぐに来るだろう。

3週齢、まだ小腸捻転を起こす月齢ではないが・・・・

下痢はしていない、腸炎の徴候もない、胃潰瘍になる要因もない、胃拡張の所見もない、親の糞は食べたかも知れない。

ほとんどの小腸は膨満していない。蠕動がある。

重積像も確認できない。

1箇所、膨満した小腸が見えたが、そこも収縮している。

子馬は、腸管手術すると癒着することが多い。できるだけ開腹したくない。

痙攣疝?

ブチルスコポラミンを投与する。

少し落ちついたがまだ痛い。

もう一度、フルニキシンを投与する。

入院厩舎へ入れて様子を観ることにした。

それでもまだ痛くなるようだと手術しなければならない。

腸管が紫色になったら切除・吻合手術になり、予後が危ぶまれる。

            ー

分娩後5日の繁殖雌馬の診察も頼まれた。

分娩後から調子が悪く、貧血と低タンパク血症、軽度の疝痛が続き、ここ数日は発熱もある。

食欲を見せることもあるが、排便が少ない。

超音波で腹水増量なし。

直腸検査したら、結腸骨盤曲が異常な気脹、右に血腫らしきものに触る。

奥で異常な腸の緊張も触るので、

開腹した方が良い。

 でも、先の子馬が厩舎でまた痛がりだした。そっちが先だな。

            ー

子馬は開腹したら空腸中位での纏絡だった。

珍しく回腸部は問題なし、

その上で空腸が浮腫、その吻側は縦に線状に点状出血、その上はリンパ性浮腫なのだろう白く浮腫。

内容を盲腸へ推送する。

できるだけしごかない、擦らないように、持ち上げてニギニギして。

癒着防止剤SCMC(そでぃうむ・かるぼきし・めちる・せるろーす)もかけている。

空腸は全域で蠕動があり、色調も回復した。

温存しても、機能も回復が期待できる。

            ー

続いて、後回しにした繁殖雌馬の開腹。

腹腔内には黒っぽい血様腹水が少量。培養検査へ回す。

大結腸は便秘様。まず引っ張り出して、骨盤曲を切開し、内容を洗い出す。

それで腹腔内がよく触われるようになった。

右の子宮広間膜に血腫があり、少し開口している。

手を入れて中の血餅を掻き出す。

5リットルほどだろうか。

小結腸も膨満しているので、直腸側へ辿ると壊死が始まっていて、少し癒着もある。

腸間膜は破れていない。

分娩で直接ダメージを受けたか、血腫ができる動脈損傷で血流を失ったか・・・・

浣腸してもらって、腸間膜を止血して、小結腸を切断して廃液ホースとして使って、内容を捨てて、

ホースを突っ込んで小結腸全体を空にして、

60cm切除して吻合した。

腹腔内に生理食塩液を入れて、シリコンチューブで吸引して、を繰り返し、腹腔を洗浄した。

トロッカーカテーテルを装着して閉腹。

           ー

夜中から三頭だった。

そういうと大谷君は外野を守ることもあるんだった。

三刀流だよね。

         ////////////

梅一輪 一輪ほどのあたたかさ

朝はまだ息が白い。

          ー

北海道の人は、本州ほど梅を好まないように思う。

開花がサクラと同時期になってしまうため、派手さで負けるのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 


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