妊娠末期の馬が沈鬱、発汗を示し、翌日には発熱したのだそうだ。
そして膀胱破裂が診断された。
で、夜に分娩もしました、という電話を私が受けた。
では、来院してもらって、膣底を切開して膀胱を膣内へ逸脱させ、破裂孔を縫合閉鎖する手術をしましょう。
この手技は、
・分娩前にやると、分娩時に膣底縫合部が耐えられずに腸管脱出するリスクがある。
・妊娠末期は膣全体が妊娠子宮に腹腔側へ引っ張られていて、膀胱の破裂部位によっては難しいかもしれない。
しかし、すでに分娩しているならその問題はない。
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持参してもらった血液と腹水を検査して、腹腔尿症であることと、全身状態を把握する。
枠場へ入れて、尾椎硬膜外麻酔して膀胱を修復して、その間に腹底にトロッカーカテーテルを留置して・・・・
と処置を進めたいが、馬が寝ようとしてしまう。
鎮静剤が効きすぎた。
分娩と輸送と膀胱破裂で参っているのだろう。
しばらく待ってもなかなか醒めてこない。
拮抗剤を投与した。
なんとか枠場で立っていられるようになって・・・
予定通りの手技ができた。
膣内へ逸脱させた膀胱尖にstay suture をかけて、「たらこくちびる」のような破裂孔をこれから縫うところ。
この破裂孔は膀胱の腹側左寄りで、大きく、なかなか難しかった。
今は、大型の膣開創器や長柄の把針器を使うので、昔のように悪戦苦闘しなくなった。
この馬は入院しないでも大丈夫だろう。
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この枝垂れ桜はまったく花が咲かなくなっていた。
夏は枝が混み合って緑の葉が生い茂りサクラに見えないほどだった。
花を付けないなら切り倒してしまおうかと思いながら、
枝を剪定して、肥料を与えて、花をいっぱいつけるようになった。
枝垂れ桜は巨木になるらしい。
私はそれまで生きてないけど;笑