広範な腸管の奇形があり、6月に開腹手術した3歳馬。
その後は好調で、調教も始めていたが、3ヶ月あまり経ってまた疝痛を起こした。
それもひどくて鎮痛剤も鎮静剤も効かないとの連絡が朝に来た。
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来院したら立っていられない。
これは様子を観ていられない。「開けましょう」
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開けたら、盲腸が浮腫を起こして分厚くなっていた。色はわずかに薄紫がかって白っぽい。
大結腸を引き出したいが、素直に出てこない。
位置がおかしく、盲腸に巻付いたようになっている。
そのために盲腸が血行障害を起こして浮腫ったのだ。
(「むくんだ」と入力して変換すると「浮腫んだ」も選択の中に表示されるんだね。
読みにくいので、「浮腫った;ふしゅった」としておく。
正しい表現ではないので注意してね。
良い子は真似してはいけません、テストで書いちゃダメだよ、獣医学生さん達。)
変位としては右背側変位のようだ。
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手前が腹側結腸。
盲腸結腸ヒダの付着部のすぐ遠位で蛇行している。
こうなっているので結腸変位しやすいのかもしれない。
通過もしにくいので、盲腸が長く発達したのかもしれない。
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さて、どうする。
整復だけして、このまま腸管を温存したら再発するだろう。
結腸固定colopexy すれば変位や捻転は防げるが、
この奇形で通過が悪い大結腸を固定したら便秘による疝痛を起こしやすくなるだろう。
考えたあげく、結腸亜全摘することにした。
その部分で腸間膜が広く、腹側結腸動脈と背側結腸動脈を別々に結紮止血することになった。
大結腸動脈は2本ある。
解剖学的に正常な大結腸だと、それを意識したり、解剖で確かめたりしにくい。
2本そろって疎性結合組織に包まれ、周囲にはリンパ節がたくさんあり、結腸捻転例では結腸動脈周囲は一番浮腫がひどく、出血しているからだ。
吻合の手技も正常な構造の結腸とは少しちがった様子になった。
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術後、馬は食欲もあり、水も飲み、順調なようだ。
生まれ持った腸管の異常を克服して競走復帰してもらいたい。
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なんだ、この暑さ。
朝からエアコンつけてる午後。
外で作業なんてとてもできない。
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馬もバテている。
気をつけてやってください。