小結腸便秘?の未経産馬は退院したあとも順調とはいかなかった。
便が出ない。ときどき疝痛する。
そして、流産し、起立難渋するようになった。
手術から4日後、担当の先生に様子を訊いて、「もうあきらめよう」
ー
剖検。
癒着が始まっていた。腹水が増えるような汎腹膜炎ではない。
小結腸縫合閉鎖部は大丈夫。しかし、小結腸にまた便が貯まっている。
骨盤腔から小結腸末部と直腸を切り出すと、直腸はもう壊死して内容が漏れ出ていた。
直腸の一部が壊死して動かないことが全経過の本質だったのだろう。
粘膜側は幅広いリング状に浮腫を起こしていた。
なぜ直腸が壊死したかはわからない。
ー
”突然”の腸管壊死・・・・
「駆虫してました?」と訊いたら、「やってた」とのこと。
念のため、と思って腹腔背中側の、左右の腎臓の間の前腸間膜根部動脈を開いてみた。
動脈は膨らんで、中に血栓があり、普通円虫の仔虫が見つかった。
動脈の内壁は粗造。
寄生虫性動脈栓塞だ。
回盲部を開けてみると
葉状条虫が・・・・
ー
Equine Acute Abdomen, Equine Internal Medicine を調べてみたが、普通円虫の仔虫による腸管壊死は結腸、盲腸に多い、程度のことしか書かれていない。
前腸間膜根部動脈が寄生部位で、その血流支配域だからだ。
直腸と小結腸は、後腸間膜動脈から血流を受けている(上図)。
そこへ普通円虫仔虫が登っていくことは考えにくい。が、珍しいことも起こりうるかも。
また、血栓が流れてくるとか、凝固系亢進による影響はあるかもしれない。
//////////
エサがスズメに食べられてしまってから餌台へ現れたヒヨドリ。
「腹減ったかい?」
追加でエサをやるのは考えものか。
野鳥だからね。
そういうとアイツもいつも腹すかせてる食いしん坊だった;笑