舌の珍しい裂創 舌小帯裂
午前中、飛節OCDの関節鏡手術。 当歳馬の”寛”跛行の診断。 1歳馬の舌の外傷の飛び入り。 ー 舌を途中から口腔腹側へ留めている舌小帯が剥がされたように裂けた。 傷は深いようで、汚染しているなら縫わない方が良いかとも考えたが、傷の奥を確認でき、汚染も洗い流せそう。 枠場に入れて、下顎神経ブロックして、 長めの把針器を使って縫合した。 どうしてこんな外傷をしたのかは謎。...
View Article縫合の基本 Halstedの原則
引き続き、整形外科基本手技から。 縫合法の注意事項が表にされている。 ①丁寧に止血する ②死腔をなくす ③各層別々に縫う ④できるだけ細い糸を使用する ⑤なるべく密に縫う ⑥糸は軽く結び、結び目近くで切る Halstedが示した縫合手技の基本だとされているが、Halstedの原則そのままとはちょっとちがう。 Halstedは超有名な外科学の大家。 Auer先生のEquine Surgery 5th...
View Article乳牛と肉牛の飼養戸数
日本獣医師会雑誌から紹介した「産業動物医療の現状と今後の展望」。 覚えやすいように牛の頭数を大胆に四捨五入すると、 ・日本の乳牛は140万頭弱である ・その60%は北海道で飼養されている ・日本の肉牛は270万頭である ・北海道はその2割 ・九州は全体の36%を占める。 ・北海道は乳牛80万頭、肉牛60万頭。九州は乳牛10万頭、肉牛100万頭。 ー...
View Article小結腸便秘?
5歳の未経産馬が前日から疝痛。 次の朝には滾転したとのことで来院。 分娩予定まで4ヶ月。 血液検査所見も悪くはなく、超音波所見もはっきりした異常はないが、 直腸検査で、腕が入っていかない。小結腸に便が貯まり、捻れたような緊張も触る、とのこと。 異物による小結腸閉塞か?と思ったが、便しか触らない、とのこと。 開腹しましょう。 ー 小結腸のトラブルなので、正中の尾側よりを開ける。...
View Article直腸壊死 原因は?
小結腸便秘?の未経産馬は退院したあとも順調とはいかなかった。 便が出ない。ときどき疝痛する。 そして、流産し、起立難渋するようになった。 手術から4日後、担当の先生に様子を訊いて、「もうあきらめよう」 ー 剖検。 癒着が始まっていた。腹水が増えるような汎腹膜炎ではない。 小結腸縫合閉鎖部は大丈夫。しかし、小結腸にまた便が貯まっている。...
View ArticleRadial Fracture in a 2MO Japanese Black Calf
よその地区の2ヶ月齢の黒毛和種子牛が橈骨を骨折して発症翌日来院する、とのこと。 47kg、ちょっと小さめかな。 とても珍しいことなのだが、完全骨折にも関わらずほとんど変位していない。 しかし、近位方向へ螺旋状に骨折線は延び、骨端線に到っている。 どのような内固定をするか・・・・ 頭側にDCP...
View Article妊娠馬の結腸変位
午前中は予定診療なしの土曜日、と思っていたら疝痛馬が来院。 6歳、4月末分娩予定、蹄を観ると・・・・慢性蹄葉炎だ。 前日午後からの疝痛で、痛いときは転がる。 直腸検査では、妊娠子宮とガスの張った大腸、内容のある大腸、腸紐は膨満によって緊張している。 が、どこも肥厚感はなし。 超音波で、右肝臓尾側に浮腫を起こした結腸動脈周囲が見えた。 結腸壁の肥厚は見えない。 「結腸変位でしょう。開けましょう」...
View Article尺骨骨折プレート固定は仰臥でナローで
当歳馬の尺骨骨折が来院。 発症からもう4-5日経っている。 最初はひどい跛行だったが、だいぶ痛みがとれたようで患肢も使って歩いてきた。 ー 8孔DCPで固定。 当歳といってももう300kg近くあるので、しっかりした固定をする必要がある。 尺骨は薄い骨で、成馬でも尾側にはナロープレートしか乗らない。...
View Article舌損傷 2日続けて
手術室で吸入麻酔で手術している最中に、舌損傷の1歳馬が来院。 前日にチフニーを付けたまま暴れたか、放馬したらしい。 鎮静投与して、 舌顎神経ブロックして、 舌を引っ張り出してみる。 けっこう切れて汚れている。 縫わなきゃならないので、その奥で包帯で縛って引っ張り出す。 生理食塩液をかけながら、鋭匙でデブリド。 汚れが落ちて、新鮮創になり、出血してきてから縫合。 1...
View Article高齢馬の飛節浅屈腱脱位
18歳の繁殖牝馬が、5日前から右後跛行。 左右とも直飛(飛節の屈曲が少ない)で球節が沈下している、 浅屈腱脱位を疑っている、とのこと。 右飛節は形がおかしい。 浅屈腱が外へ脱位しているし、 飛端の滑液嚢や固定装置が崩れている。 左飛節も同じ。 左飛節は球節も大きくなっているので、もう慢性化しているのだろう。 右は5日前に悪化したのかもしれない。 Lameness in Horse...
View Article謹賀新年2024 正月の鍛錬
年末からゆっくり過ごさせてもらった。 太く、短く、捻れた「そば」を食べに行き、大晦日は温泉へ入り、 初詣に出かけ、 恒例のスキー&スノボツアーにも行くことができた。 誰もへばったり、脚が痛いと泣き言を言わなくなった。 子ども達もそれぞれ仕事をするようになり、体力がついたのかと思ったら、 父さんがスノボになって、以前のように上級者コースばかり滑らなくなったせいだ、とのこと。...
View Article仕事初めは開腹手術 妊娠末期の小腸閉塞をcolopexyを外して解除
私は5日が仕事初め。 2日前から胃液逆流が続いている10歳の繁殖牝馬が入院していると言う。 それは開けなきゃダメだよね。 ー 開腹したら腹部正中がなんだかヘン。 皮膚には縫合痕はわからなかったのだが、開腹手術歴があるようだ。 腹側結腸が正中に癒着している・・・・結腸固定術 colopexy か?...
View Article育成馬の下顎骨折 プレート抜去
11月に育成馬が下顎を骨折した。 片側だけだったが、プレート固定した。 子馬とちがい固形物をバリバリ食べないとならない育成馬や成馬では、固定してやらないとなかなか食べられるようにならず、痩せ衰えてしまいがち。 そして、下顎骨折は口の中への開放骨折であることがほとんど。 固定してやらないと、口の中から骨折に沿って感染が伸びてきて、下顎外側へ自潰することが多い。...
View Article鼻翼の外傷 と同窓会
競馬に行き遅れている2歳馬が馬房で鼻翼を切ってしまった。 内層を縫合し、皮膚をステープラーで留めたが癒合していない、とのことで来院。 傷はステープルで留められているがまったく癒合していない。もう8日目。 鼻翼は特殊な部分で普通に縫合したのではまず癒合しない。 薄く、内層に筋肉があり、よく動き、汚れやすいから。 唇の裂創も同様。 Equine Wounds Management...
View Article難産 頭部屈橈・腕節屈曲 そして地元獣医会
午前中、種子骨炎と繋靱帯炎の2歳馬の手術。 ー 昼、難産が来る、とのこと。 いつもは1時間かかるところを35分で飛ばしてきた。アブナイ。 ひどい失位のようなのですぐに全身麻酔して後肢を吊上げる。 ー 頭頂部から来ている。 下顎にワイヤーをかけて、ひっぱってもらいながら頭頂部を押して直す。 子馬の口粘膜が見えるようになった。...
View Article子牛の下痢便のロタとクリプトの検査
土曜の午後はlabo work。 私は、馬の虫卵検査と子牛の下痢便の検査を担当した。 馬の虫卵検査はショ糖浮遊法で。 線虫卵いっぱい。 しかし、その線虫卵が、動脈栓塞させる普通円虫の卵かどうかは考えてみる必要がある。 条虫卵はなかった。 しかし、本当に条虫が寄生していないかどうかは考えてみる必要がある。 葉状条虫はあまり卵を産まない。...
View Article全国公営競馬獣医師協会研修2024 part1 骨折内固定
24日から日本海側、北海道は大荒れ。 25日の千歳-福島便は夕方には欠航が決まった。 スマホで26日以降の福島便への振り替えはできるが、それでは26日の研修に穴をあけることになる。 25日早朝に千歳空港へ行った。 空港カウンターでは、羽田便への振り替えができた。 ー モノレールで浜松町、JRで東京駅、東北新幹線で那須塩原へ。 今は、ほとんどの人が切符って使わないんだね。...
View Article全国公営競馬獣医師協会研修2024 part2 腸管手術
私の担当の研修2日目は開腹手術。 馬の腸管手術について概要を説明したあと、実習馬を使って腸管手術の実習。 リクエストで、空腸切除、空腸盲腸端側吻合を練習してもらった。 安楽殺のあと、参加者全員に腹腔内探査を体験していただけた。 実際には、馬の獣医師をしていても腹腔内に手を入れて探る経験をすることはほとんどない。...
View ArticleCOVID19 体験記
28日に那須から帰ってきた。 さすがにちょっと疲れているのかな、とは思ったが体調は悪くなかった。 29日は回復休みをもらっていた。朝、床屋へ行ったら、くしゃみが1回出た。 昼、薪割をしたが不調。腰が痛く、元気がない。 午後、倦怠感があるので熱を測ってみたら36.5℃。私には微熱だ。 普通の風邪にしては、呼吸器症状、鼻水や喉の痛みがない。 そのわりに、倦怠感と筋肉と関節のだるさがある。...
View Article一条先生
恩師一条先生が亡くなられた。 那須に居るときに研究室の後輩が連絡をくれた。 ー 私は一条先生を獣医師としての自分の父とも思い過ごしてきた。 奇しくも同居している父と一条先生は同い年。昭和4年(1929年)の生まれ。 先生の教えを受けなければ今の自分はなかったと思う。 ー 研究室の教授と一学生だったので、親しくお話しできるような関係ではなかった。...
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