阿部先生のブログはチェックしているつもりだったのだが、この動画は見逃していたのかもしれない。
成乳牛の股関節脱臼整復
すごいな~と感心した。
私は数例、子牛の股関節脱臼を診せられたことがあるが、発症から何日も経っている症例は大腿骨骨頭切除の対象にしかならない。
発症した当日に来院した症例は整復できたが、その後の経過は良くなかった。
馬でも何頭か診たことがあるが、たいてい発症から数日を経ているし、馬の股関節脱臼はたいてい大腿骨頭の骨折を伴っている。
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成牛の股関節脱臼は予後は厳しい。
しかし、発症から早ければ整復して治癒させられる可能性がある。
現場ではX線撮影も無理なので、確定診断はできないのだが、外貌と触診と動きの様子で判断し、できるだけ早く対応しなければならない。
人力でやるのはかなり厳しくて、農場の人にも説明してトラクターや牽引ロープで”作業”することになる。
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ただ闇雲にひっぱれば良いというわけではない。
どちら側へ脱臼していて、
骨盤と大腿骨頭がどういう位置関係にあり、
だから、飛節を内旋させることで骨頭が股関節臼にはまり込むようにもしなければならない。
日頃から文献を読んで勉強していないと、やろうとすることさえできないだろう。
やろうとしてできなかった経験も生かさないとならないだろう。
そして、始終が動画撮影できていて、それを公開してくれているのも素晴らしい。
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動画を観て、私は感動した。
酪農家が言っている、
「十何年農家やってるけど(股関節傷めた牛が治るの)初めてだよ。
やっぱり獣医さんなんだよね~」
クライアント(顧客、依頼主)にこう言ってもらえる、こう思ってもらえる仕事をしたいものだよね。
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藤倉英幸さんの絵を見てきた。
日高の馬がいる風景を描いた絵もあった。
貼り絵なのだそうだ。