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牛の骨折のプレート固定 ラグ法

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12月19日・20日と札幌で日本獣医麻酔外科学会が開かれる。

大動物の獣医さんはあまり参加していない学会なのだが、北海道で開かれるので大動物のセッションもいくつも企画されている。

私は「馬の骨折内固定」と題して話すことになっているが

間違いです;笑。

牛の獣医さんに骨折のプレート固定に興味を持ってもらい、手技を少しでも知ってもらうのが目標です。

しかし、こうなっては馬についても話さないわけにはいかないので、「サラブレッドはこうですけど、牛はこうじゃないですか?」という話にする予定です。

少しでも多くの牛獣医師の皆さんに聴いてもらいたいと思っています。

忘年会シーズンでもあります。

出張にならなくても、札幌に来て聴いていただければと思います。

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企業展示もあるので、実際の整形外科器具も観ることができるはず。

つなげる、つながる、すべては伴侶動物のために

・・・?

大丈夫、食用動物にも使えます。

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来年2月には栃木県那須塩原の地方競馬教養センターで全国公営競馬獣医師協会の生涯研修も行われる。

私が担当する2/8には馬の骨折内固定をテーマに実習したいと考えている。

その中で、牛の獣医さんも骨折プレート固定の練習をできる。

馬獣医師の研修会なのだが、牛の骨折プレート固定に意欲がある獣医さんも参加してもらって実習してもらえればと思う。

参加する牛の獣医さんがいたら前もって教えてください。牛の肢も用意しておきます。

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お知らせが長くなった。

何回かに分けて、牛のプレート固定の基本手技について何回かに分けて書いておきたい。

まず、すべての内固定の基本、スクリュー固定。

2つに割れてしまった骨にただスクリューを入れて締めても2つの骨は押し付けられもせず、引き寄せられもしない。

手前の骨はスクリューのねじ山が働かないように、ねじ山の径のドリルで穴を開けておき、

奥の骨はスクリューの芯の径のドリルで穴を開け、タップでねじ溝を切っておき、スクリューをねじ込んで締める。

そうすると手前の骨をスクリューヘッドが押し、奥の骨をスクリューの先の方のねじが引張る。

そのことで2つの骨は密着し、圧迫される。

 

これがラグ法だ。

ラグ・スクリューとは木ねじのこと。

大工さんもいくつもの種類の中から最適なねじを選択して使う

整形外科よりもっと複雑だ。

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プレート固定手術でもラグ法でスクリューを入れることは多い。

最初の仮固定としても使うし、プレートを留めるプレートスクリューも骨折線をまたぐ場合はラグ法で挿入する。

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手順は、

手前の骨に4.5mmのドリルで穴を開ける。

その穴に3.2mmのドリルガイドをねじ込んで、そのドリルガイドに3.2mmのドリルを入れて奥の骨を向こうへ突き抜けるまで穴を開ける。

カウンターシンクでスクリューヘッドとの接触面が増えるように削る。

デプスゲージで必要なスクリューの長さを測る。

タップでねじ溝を切る。

4.5mmスクリューを挿入して締める。

となる。

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最初に3.2mmのドリルで奥の骨の向こう側皮質まで穿孔しておいて、

骨折線までを4.5mmドリルで穴を広げる。

という方法もやっても構わない。

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先に刻みが付いていて、タップを切らないでもねじ溝を切りながら入っていくセルフタップスクリューを使うなら、

タップ切りの手順は省略できる。(左;セルフタップスクリュー、右;ノンセルフ)

ただし、セルフタップスクリューは、差し替えるとねじ溝を削って壊してしまう可能性があるし、

先のねじ山には刻みがあるので、向こう側の皮質をしっかり引張らなければならないラグ法には本当は向いていない。

しかし、骨が柔らない子馬や子牛ではタップを入れて抜いて、そこへノンセルフタップのスクリューを挿入して締めるより、セルフタップスクリューの方がしっかり効く場合もある気がする。

(つづく)

 

 


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