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Channel: 馬医者残日録
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慢性化した中足骨外顆骨折

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1月にトレセンで左後の重度の跛行をした3歳馬。

1ヶ月の休養を経て、騎乗調教を開始したら、球節の関節液が増量し、左手前のキャンターが出にくかった、とのこと。

そして、3月になってのx線撮影で、左中足骨外顆に骨折が見つかった。

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おそらく、1月にはx線撮影ではわからない顆の不完全骨折があり、それが騎乗調教再開でバキッと割れたのだ。

しかし、当初の骨折から2ヶ月ほど経っているので、今さらスクリュー固定すべきかどうか・・・・と考え、ペンシルヴァニア大学New Bolton CenterのDean Richardson教授にX線画像を送って意見を求めた。

回答は、

「スクリューを1本入れることを強く勧める。

このような中手骨・中足骨の骨折の多くの症例をCTで検査してきたが、掌側あるいは底側が折れているのでスクリューは掌側・底側へ入れるべきだ。」

とのことであった。

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で、やりました。

術前、速歩させても跛行はなかった。

手術して内固定しなければ、というより、今後できるだけ早く骨癒合させることと、再度悪化したりしないようにするための手術だろう。

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麻酔覚醒時もキャストはしなかった。

後肢はハーフリムキャストでも前肢よりリスクがある。吊起帯を使ってもだ。

今回の骨折なら麻酔覚醒で悪化するリスクはとても少ないし、万一悪化しても対処する方法はあると考えた。

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さて、x線撮影でわからないような顆の骨折は掌・底側から起こること。

悪化させないためには掌・底側にスクリューを入れること。

それらはCTを使った症例検討からの考察であること。

をわかっていただけただろうか?

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とうちゃん、春だナ

もっとオラと遊ぶベ

 

 


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