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肉牛の脛骨骨折の保存的・外科的治療

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ついでに牛の脛骨骨折の治療成績の報告をもうひとつ紹介しておく。

Conservative and surgical treatment of tibial fractures in cattle

肉牛の脛骨骨折の保存的および外科的治療

Veterinary Record (1998) 143,12-16

脛骨骨折した95頭の肉牛、1頭を除いて片側の骨折を1990年から1994年の間に診察した。

治療の可能性はX線画像で評価し、体重や牛の価値も考慮した。

22頭は淘汰した。

牛房での安静および/あるいはスプリントやキャストによる保存的治療は18症例で行い、うち8頭(44%)で満足のいく結果が得られた。

それらの牛は正常な体重まで肥育されたが、全頭に患肢のひどい変形があった。

55頭では、透視下でスタインマンピンとメチルメタアクリルレート架橋による外固定を行った。

うち10頭は患肢に負重することができず、ピンを抜去する前に淘汰された。

残りの45頭ではピンは平均(偏差)71(14)日で抜去した。

4頭はピン抜去後すぐに患肢を再骨折し、他の6頭は体重負荷が充分でなかったので淘汰された。

35頭で良好な結果であった(64%)。

患肢あるいは対側肢、またはその両方に軽度の変形がしばしば認められた。

脛骨骨折した肉牛全体での生存率は45%であった。

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調査対象となったのは1日齢から3.5歳齢まで(平均7.3ヶ月齢)の肉用種であった。

22頭はすぐに処分されている。

それらの牛の平均(偏差)年齢は、13.1(4.7)ヶ月齢であった。

保存的に治療された18頭の平均年齢は、3.5(2.6)ヶ月齢であった。

貫通ピンとメチルメタアクリルレート架橋で治療された55頭の平均年齢は6.5(2.1)ヶ月齢であった。

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考察にはこう書かれている。

「脛骨骨折の保存的治療は通常、満足のいく治癒とはならない。

フルリムキャストは膝関節を不動化できず、脛骨骨折を適切に安定させない。」

「改良したトマススプリントあるいはトマススプリントとキャストの併用によりよりよい治癒が得られる。」

新生子牛以外では、脛骨骨折をキャストで治療するのは非常に難しい。そして、トマススプリントを併用しても、全例で変形癒合に終わっている。

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そして、この病院ではスタインマンピンとメチルメタアクリルレート架橋による外固定を55頭でやっているのだが、成功したのは35頭だけ。

考察でも、この外固定はひどい粉砕骨折や近位骨端あるいは近位骨幹端の骨折には使えず、骨折を正確に整復できず、贅骨形成が強いことを欠点として挙げている。

                          -

だから、私はプレート固定を選択肢として用意しておくべきだと思う。

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「へっへっへ、ここで張り番してたら、オラを置いていけないべ」

狂犬病の予防注射だけど、行くの?

「・・・・・・・・・」

 

 

 


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