蹄関節炎
6ヶ月齢の黒毛和牛が、今日から右前肢の跛行をし始めた、ということで肩甲骨の骨折を疑われて来院。 X線撮影し直すが、上腕骨も肩甲骨も折れているとは思えない。 肩甲骨は薄い板状の骨なので、横方向だけでは折れているのを診断しそこなうことがある。 それで、この角度の撮影もした。どうやって撮ったかわかるかい? やっぱり折れてない。 しかし、負重はできるものの、かなり痛い。 肢を触られるのも嫌がる。...
View Article毎年ゴールデンウィークはこんなもんだ
ゆうべは、難産の依頼があったと思ったら、入院厩舎からも「輸液がなくなる」との電話。 急いで入院厩舎へ行って、輸液を付け替えた。 そして、難産の準備をしているうちに、難産馬到着。 破水して1時間ほどしか経っていないので、枠場で治せるかと思ったが、怒責がひどくて、両腕節の屈曲を直せない。 仔馬はまだ生きていた。 全身麻酔することにして、もう一人の当番者を呼ぶ。...
View Article桜咲くこの季節
朝、出勤したら当番チームは馬の帝王切開中。 昨夜は、結腸捻転の開腹手術があった。 その結腸捻転の開腹手術の翌朝の血液検査をする。 そして、もう1頭、疝痛の当歳馬が入院厩舎で「経過観察」されているが、痛い。 帝王切開が終わったので、診療室で超音波画像検査したら小腸の完全膨満像が写った。 もう開腹手術しなければならない。 典型的な空回腸の纏絡だった。...
View Article男前!
鼻から前頭部の骨を陥没骨折したのを持ち上げてプレート固定した当歳馬。 1ヶ月あまり経ったのでプレートを抜くために来院してもらった。 GW中にやろうと思ったのだが、急患が重なって延期してもらったりして、少し遅くなった。 新生子馬の成長は速い。 すっかり仔馬らしくしっかりしていた。 おでこというか、鼻の付け根というか、眉間というか、陥没はまったくない。 男前!...
View Article馬の安楽殺を決断するとき
分娩前後の重篤な状態や、仔馬の生きていけない傷害で、安楽殺を決断しなければならないことも少なくないこの季節。 USAの馬臨床家のメーリングリストで、安楽殺の判断基準が紹介されていたので書き留めておきたい。 American Association of Equine Practitioner のGuidelinesだそうだ。 “The following are guidelines to...
View Articleあの馬さ~
今日は、 仔馬の肢軸異常。 未熟だった仔馬で、ただの肢軸異常ではなく骨の変形がある。 それも承知の上で手術したい、ということだったので、手術して、蹄の処置もする。 おまけに、上唇がひっぱられて歯肉が裂けた外傷を負っていた。 このまま放置すると肉芽が盛ってひどいことになる。 肢軸異常の手術中に、歯肉も縫合した。 - 繁殖雌馬の腰痿。...
View Article重種馬の開腹手術
きのうの朝、出勤したら当番チームが開腹手術中。 朝一に予定していた手術を延期してもらう連絡や、メールチェックをしに事務所へ行って、戻ってきたら開腹手術されているのが重種馬だと気づいた。 網嚢孔ヘルニアと大結腸の変位だったらしい。 術後も調子よく、今朝には退院していった。 -...
View ArticleUSA式手動捻転式去勢Equitwister
AAEPでHenderson式去勢が報告されたのが、2005年。 そのシアトルAAEPで私はHenderson castration toolを買って来て、2006年から捻転式去勢を始めた。 年に30頭あまりを去勢するので、もう300頭前後Henderson式去勢をしてきたはずだ。 100頭近くやった頃に、北海道産業動物獣医学会で、Henderson式去勢について学術報告もした。...
View Article仔馬の種子骨骨折
絶対とは言わないが、子馬の種子骨が割れていたら、それは骨折だと思っている。 というのは、骨化核が離れているだけだ、という見方もあるからだ。 しかし、骨折だと思われる所見をかなりの数見るが、骨折でなくても不思議ではない、という例は多くない。 - 左が右前肢、右が左前肢。...
View Article外傷の季節
今日は、 3歳競走馬の球節の骨片骨折の関節鏡手術。 1歳馬の頚の膿瘍切開。環椎(第二頚椎)の翼あたり。なんでそんなところが化膿した? 午後は、 当歳馬の臍ヘルニア。 当歳馬の肢軸異常のスクリュー抜去。 - 夕方、1歳馬の外傷。 引き手を付けたまま放馬して、牧柵を飛び越えたが、またぎそこねたらしい。 前腕部と、 内股の切創。...
View Article1歳馬の回盲部重積
この2ヶ月ほど頻回に疝痛を起こしていて、とくにこの1-2週間は食べると痛い、という1歳馬。 もう開腹手術してください、ということで予定を決めて来院。 開腹手術したら・・・・・予想どおり回盲部重積だった。 写真右より(左手でつかんでいる)の盲腸に、左の回腸(右手でつかんでいる)が2cmほど入り込んでいた。 重積を起こしたままの写真を撮りたかったのだが、引っ張り出すときに抜けてしまった。...
View Article顔面陥没骨折
牧柵に突っ込んだとのこと。 4日目に来院した。 外見上は、それほどひどく陥没骨折しているようには見えなかったが、X線検査でかなりひどい陥没骨折であることはわかっていた。 面積も広いので、大きく曲切開して顔面の骨を露出させる必要がある。 そして、骨の割れ目からフックや鉗子を入れて、骨を持ち上げる。・・・・と言っても簡単ではない。 その下には、やはり潰れてしまった鼻道や副鼻腔や鼻甲介がくっついている。...
View Articleドリルの変遷
もう17,8年前になるだろうか、仔馬の橈骨骨折のプレート固定を初めてやったときは、手動のドリルで手術した。 プレートを曲げるベンディングプレスも持っていなかった。 今から思えばよくやったものだ。 ゴールデンウィークの休日の午前中から準備して手術したのだが、終わったのは午後で、手術の不満足なできばえと疲労でヘトヘトだった。 -...
View Article肉用牛の骨折治療99例についての文献
豆作先生のブログで、子牛の骨折について盛り上がっているので、文献を一つ紹介しておく。 Retrospecitve study of 99 cases of bone fractures in cattle treated by external coaptation or confinement. 外固定あるいは安静により治療した肉牛の骨折99症例についての回顧的調査 Vet Rec. 2006,...
View Article肉牛の脛骨骨折の保存的・外科的治療
ついでに牛の脛骨骨折の治療成績の報告をもうひとつ紹介しておく。 Conservative and surgical treatment of tibial fractures in cattle 肉牛の脛骨骨折の保存的および外科的治療 Veterinary Record (1998) 143,12-16 脛骨骨折した95頭の肉牛、1頭を除いて片側の骨折を1990年から1994年の間に診察した。...
View Article仔馬の喉嚢鼓張のLaser手術
以前にも書いたのだが・・・・ また遭遇したので、また書いておく。 仔馬の喉が空気で膨らんでいたら、喉嚢鼓張だ。 - この仔馬は、 右も 左も腫れている。 たいていは、押さえると空気が抜けるのだが、この仔馬の場合は抜けない。 呼吸がブーブーいって苦しい。 放っておいてはいけない。呼吸しづらいというのはとても辛いので、成長にも悪影響がある。...
View Article初生雛雌雄判別と個体診療の狭間
小学校2年生まで住んでいた家の、2軒向こうにひとつ年上のMH君の家があった。 MH君は、夜店で色つきのヒヨコを買ってきて、家の前に小屋を作って飼い出した。 なんと卵を産むようになったので、オスとメスだったのだ。 朝から、コケコッコーと啼いていたが、現在ではあんなことは近所迷惑で許されないだろう。 -...
View Articleすべての親の悩みと喜び
昨夜は、 寝付いたと思ったら、当歳馬の疝痛で起こされた。 空腸が膨満し、胃拡張も起こしていた。 何とかひっぱり出して、空腸を切開して内容を捨てて、癒着防止のために腹腔を生理食塩液で満たし、閉腹した。 ロタ陽性。 ロタウィルス感染は、腸蠕動をおかしくさせ、胃や十二指腸を傷める。 無関係ではあるまい。 おまけに空腸内に回虫が居るのを触知した。...
View Article「たかが馬一頭」
もう20年も前の話。 その朝は、上部組織の指導機関の先生を迎えて、酪農家に搾乳立会と採材に行くところだった。 車中で、私たち地元の獣医師は、オグリキャップの喉嚢真菌症の経過とこれからについて話していた。 それを聞いていた、指導機関の先生は一言、 「たかが馬一頭。」 とおっしゃった。...
View Article産褥性蹄葉炎のSinkerタイプ
その繁殖雌馬は、初産だったのだが、仔馬の腕節が伸びなかったので難産になって来院した。 難産としてはひどくはなく、両前肢の腕節屈曲を失位整復して娩出させた。 すぐ帰って行ったので、その後のことは知らなかったのだが、 後産が落ちるのに時間がかかり、蹄が痛くなり、子宮洗浄などの治療は受けたのだが蹄葉炎になってしまった、とのこと。...
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