競馬場で前肢球節に1cmほどもある遊離骨片が見つかった6歳の競走馬。
どういうわけか、最後の競馬からは3週間以上経ってしまっている。
競馬場のX線画像はクリアなものでなく、帰ってきて撮りなおしたら第三中手骨外顆の骨折が見つかったそうだ。
だが、遊離骨片は見えなくなったとのこと。
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来週はすでに手術の予定や会議でほとんど埋まっている。
経過日数からいって、もう手術を遅らせないほうが良い。
週末は2人しか居ないが、土曜日に手術することにする。
かろうじて第一指骨近位背側に傷んだ部分があるのがわかる。
まず外顆をスクリュー固定しておいてから、関節鏡を入れて骨折線の状態を観るのと、遊離骨片を探すことにした。
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x線透視装置で位置を確認しながら、スクリュー2本で外顆を内固定した。
骨端部もカウンターシンクした。
側副靭帯を傷めないように、そして骨折部が薄いので割ってしまわないように浅くカウンターシンクした。
日数がたっているので、スクリューで圧迫した部分も骨折線は完全には消えなかった。
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関節鏡を球節に入れると、骨折線はきれいに圧着されていた。
遊離骨片を探すが、遊んでいる骨片はない。
第一指骨の近位背側部を観ると、内側は骨が荒れている。
鈍端のプローブで触ると割れているので、起こして摘出した。
外側の近位背側部は観にくかったが、プローブで関節包をどけながら観るとやはり割れていた。
これも摘出した。
x線撮影しなおすと、この部位としては大き目の欠損部ができていた。
関節軟骨には可動方法へ走る傷があり、synovial pad 滑膜パッドも大きくなっている。
DJD変形性関節症が進行しつつある。
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麻酔覚醒中の安全のためにキャストを巻いた。
「念のために」だったが、テンションの高い馬で、暴れながらの覚醒だった。
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こんな手術を2人だけでやる馬外科チームは他にいるのだろうか・・・・・
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そのまま血液検査業務。
昼過ぎ、1歳馬の腰痿のX線検査。
ついで重種馬の当歳の喉の内視鏡検査。
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トラクターの爪をはずして、今年はじめての除雪作業をした。