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Channel: 馬医者残日録
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外傷と開腹手術の夜

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土曜日、仕事を終えようとしていた5時近くに、外傷の診療依頼。

やってきた明け1歳馬は、胸前から牧柵が刺さったようで、胸筋が切れて、傷の奥は触れないほど深かった。

X線撮影したが、異物らしきものは見えない。

木片はX線画像に写り難いので安心はできないが、そのまま縫合することにした。

立位で縫合できたが、時間がかかった。

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深夜の時間帯になって、繁殖雌馬が疝痛で来院。

心拍48、口粘膜貧血気味、不潔感。しきりにフレーメンする。

おとついの夜も疝痛を示した、とのこと。

PCV40%、乳酸1.9mmol/l。さほど悪くない。

便秘か? 便は硬い。

超音波で観ると、小腸に内容が多い。 小腸閉塞か?

直腸検査すると、右の子宮広間膜が左頭腹側へと走っている。緊張はない。子宮捻転の可能性も否定できない。

曳き運動をしながら様子を観ることにしたが、痛い。

馬房へ入れたら滾転した。

「開腹手術しましょう」

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開腹して、ざっと腹腔内を探査する。

気脹している部分は穿刺してガス抜きする。

結腸骨盤曲は便秘していない。

盲腸は気脹していたが、ひどくはない。

小腸を回腸から吻側へ辿っていくと・・・途中で引き出せなくなった。

どこかへ入り込んでいる・・・・・網嚢孔のようだ。

入り込んだ上位の空腸も触れるようになった。ガス抜きしてみるが、やはり入り込んだ部分を引き出せない。

腹腔の一番背中側で、さんざんやってからなんとか空腸が抜けてきた。

色は紫。それでも指ではじくと収縮する。

しかし、とても回復は期待できない。

空腸を2.5m切除して吻合した。

助手はいない。一人でやる。

膨満がひどくないのでできた。

終わって2時。

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入院馬房へ輸液を吊って、2時半。

馬は3時過ぎには立ったが、動き始めたときに傷めたのか、圧迫で痺れたのか、左前肢をうまく使えない。

さて・・・・・

                                             /////////////

日曜日は休日だった。札幌へ行く用があったのだが、天気も荒れる予報だし、とても運転できそうにない。

朝、入院馬の様子を観て、昼からは熟睡した。

こういうのは”休日”なのか?

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とうちゃんは、昼間、オラとあそんでくれた

夕方は呼んだのにかまってくれなかった

夜になってからゴハンくれた

                        

 

 


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