Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

回腸憩室の破裂

$
0
0

競馬をして休養に帰ってきた馬が、数日後発熱して調子が悪く、翌日には軽い疝痛を示し、心拍も100を超えているので診てほしい、との連絡。

消化管破裂の腹膜炎だな、と推察し、「それ厳しいですよ」と応えて待つ。

来たときに馬運車の中で死んだ。

剖検したら、ひどい腹膜炎。

汚い腹水が増量し、腹腔臓器はすべて赤黒くなっている。

しかし、成馬が突然腹膜炎を起こすなんて・・・・・

回腸に径20cmほどのボール状のものがくっついていた。

内腔は回腸とつながっている。回腸憩室だ。

憩室内にしっかり食べたものが詰まっていた。

そして、憩室の一部はもう穿孔していた。

回腸憩室の壁はしっかりしているので、ずっと前からあったものだろう。

そこへ食べたものが詰まるようになり、今回破裂したのだ。

                           -

腸憩室は人でも憩室炎を起こしたり、穿孔することがある。

人では大腸憩室が多いが、回腸憩室もある。

憩室炎くらいの症状で気づき、消化管造影検査などで穿孔前に診断がつけば治療できるだろうが・・・・・

物言わぬ馬。穿孔、破裂してしまうと助けるのは厳しい。

                       /////////////////

オラこんなになってる

皮膚炎を起こした内股を舐めるのでこうなった。

おまけにその肢は付けないほど痛い。

皮膚炎のせいか・・・・冬に捻挫したところをまた傷めたか・・・・

                          -

物言わぬ動物を診るのは、観るのは、看るのは難しい。

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>