結腸動脈の位置と様子は大切な所見
繁殖雌馬が疝痛。 ひどくはないが、来院して超音波検査したら、右腹部で結腸動脈が見え、おまけにその周囲は浮腫状に腫れている。 結腸捻転だと確信できた。 - 手術して再発防止のために結腸固定術colopexy も行ったのだが、疝痛が続いた。 6日後再来院し、超音波検査したら右腹部で結腸動脈が見えた。...
View Article外反する腕節骨折のフルリムキャスト固定
1歳馬が腕節を骨折し、肢が外反している、との緊急連絡。 ロバートジョーンズバンデージを巻いて、肢の外側に、き高まで伸ばした添え木をつけて来院した。 応急処置としてはほぼ完璧。 放牧地で見つけたときは、体重がかかると肢はグニャと外反していたが、RJバンデージと添え木をつけたら、歩けるようになった、とのこと。 そのまま、馬運車の中でXray撮影。 第二中手骨、第4手根骨、第4中手骨が骨折している。...
View Article外反する腕節骨折のフルリムキャスト固定 2
馬整形外科の世界的権威にして現役の馬整形外科医でもあるペンシルヴァニア大学教授Dr.Richardsonに相談した。 「当歳馬ならフルリムキャストで早期に治るかもしれないが、1歳馬では内側にひどいキャストずれができて厳しいだろう。 短いLCP2本か3本を使って手根骨遠位列と第三中手骨を内固定するのが良いのではないか。 この骨折を内固定する方法はひとつではないが、自分ならそうする。」 という返事。...
View Article外反する腕節骨折のフルリムキャスト固定 3
骨折事故から6週間後、2回目のフルリムキャスト装着から3週間後、キャストをはずしに来てもらった。 立位でキャストをはずすと、腕節で外反しているが、それ以上に外反してしまう異常な可動はない。 骨癒合もかなり進んだ。 靭帯も6週間でかなり修復されたのだろう。 第4手根骨が粉砕しているので、さらに外反が進まないか油断はできないが、もうキャスト固定も限界だろう。...
View Article9年後のアフターサーヴィス
17歳の繁殖雌馬が、分娩翌日から食欲不振で、分娩3日目の今朝には疝痛を見せた、ということで来院。 心拍60、PCV45、白血球数7600μ/l、乳酸値3.5mmol/l。 超音波で動いてはいるが膨満した小腸が見える。腹水は多くない。 直腸検査では小結腸の便秘様。 胃カテーテルで4リットルほどの逆流。 -...
View Article骨幹、骨端、骨幹端、骨端板
たぶん鯨の腰椎だ。 数週間後、こんなになった。 犯人はさておいて・・・・ お皿状に剝がれているのが、骨端 epiphysis。 形容詞だと epiphyseal epi- は「上の、次の、後の」意味の接頭辞 prefix。 epidermis 表皮 epithelium 上皮 epidemic 伝染性の -...
View Article結腸奇形による結腸捻転で悪戦苦闘する
夜8時すぎに呼ばれる。 空胎の繁殖雌馬が疝痛で、痛みはひどくはなく、血液もひどく悪くはない。 が、超音波で結腸の肥厚が確認できた、とのこと。 それなら楽勝だ。2時間もあれば終わる。と思って始めたが・・・ なかなか引張り出せない。 術創を切り広げ、なんとか骨盤曲らしき部位を引張りだしたが、その部分の様子は腹側結腸でしかない。...
View Article回腸憩室の破裂
競馬をして休養に帰ってきた馬が、数日後発熱して調子が悪く、翌日には軽い疝痛を示し、心拍も100を超えているので診てほしい、との連絡。 消化管破裂の腹膜炎だな、と推察し、「それ厳しいですよ」と応えて待つ。 来たときに馬運車の中で死んだ。 剖検したら、ひどい腹膜炎。 汚い腹水が増量し、腹腔臓器はすべて赤黒くなっている。 しかし、成馬が突然腹膜炎を起こすなんて・・・・・...
View Article土曜の夜はにぎやか
EPO 土曜の夜はパラダイス 土曜日の夜、10時前に疝痛馬の依頼。 分娩後3週間ほどの繁殖雌馬。 来院して、超音波で肥厚した結腸壁が見えた。 即手術。 結腸壁の肥厚はかなりだが、チアノーゼはほとんどない。 手術の終わりが見えた頃、電話が鳴った。 すでに12時近い。 「この時間の電話は難産か疝痛だな・・・」 案の定、疝痛馬の依頼。 -...
View Article夜の仔馬の膀胱破裂と朝の妊娠馬の空腸捻転
月曜、夜呼ばれる。 仔馬の膀胱破裂だとのこと。 8日齢。 それは新生仔馬の尿閉での膀胱破裂にしては遅い。 もう麻酔されている仔馬を観ると、臍が湿っていて汚い。 臍帯炎から膀胱尖部が壊死して尿が漏れるようになったのだろうと予測する。 案の定だった。 この写真は別症例。 今回の症例は腹水は濁っていた。 膀胱尖を臍から切り離し、尿が漏れないように閉じる。 臍は切り取ってしまう。...
View Article側頭骨舌骨関節症 3歳現役競走馬
3歳現役競走馬。 運動器の故障で長期休養していた。 調教再開し、運動器は問題なくなっていたが・・・・・ 右の顔面麻痺。 鼻が左へ曲がり、 右眼はまばたきできず、 右耳は動きが悪くなった。 この馬は右耳の下垂はひどくない。 まばたきできないことによる乾燥性角膜炎はかなり進行してしまった。 -...
View Article獣医師は急性腹症の馬をどのように診断するか
アメリカ馬臨床獣医師会AAEPが提携している馬の健康についての雑誌 The Horse の記事。 AAEPのメンバーには、「馬関係者が馬の獣医師について何を知っているか知っておこう」ということで、記事の紹介が送られてくる。 - How Veterinarians Assess Horses With Acute Colic...
View Article黒毛和種子牛の脛骨螺旋状骨折 2ヶ月齢 前夜
夕方、前日分娩した繁殖雌馬が沈鬱、食欲不振、さらに軽度の疝痛も示す、との相談。 お産が重かったのだそうだ。 子宮動脈破裂する歳ではないし、消化管破裂を疑うほどひどい症状でもない。 子宮穿孔かもしれないが触診ではわからなかったし、腹水増量はない、とのこと。 輸液をして様子を観たら・・・ということにした。 - 夜中起こされた。...
View Article黒毛和種子牛の脛骨螺旋状骨折 2ヶ月齢 DCP
その子牛はトラックの荷台に縛り付けられてやってきた。 手押し車に乗せて手術室へ運び込んだ。 X線撮影する。 左後肢。 尾-頭方向では骨幹部での斜骨折に見えるが・・・ 外-内方向で見ると、螺旋骨折であることがわかる。 この子牛、親牛がひっくり返した草架の下敷きになっていたのだそうだ。 螺旋骨折が斜骨折となって骨を2つに分けているが、螺旋状の骨折線はさらに遠位へ骨幹端まで伸びている。...
View ArticleGolden week !
診療の予約もそれほどこんでいないGolden Weekだったのだが・・・・ きょうは、朝、1歳馬の外傷。耕運機に驚いて牧柵を飛び越えたとのこと。 耕運機には馬は驚くらしい。 単に見慣れないからか? 音が嫌なのか? 動きが怪しいのか? - 予定していた当歳馬のALDの診察。 当歳馬の大腿骨内顆のOCDのX線撮影と跛行診断。 午後は、血液検査。 Golden...
View Article中足骨内顆骨折も内へ開くことがある
中手骨でも中足骨でも、外側関節面からの骨折が多くて、外側関節面から折れると外側皮質へ完全骨折になることがある。 中手骨でも中足骨でも、内側関節面から骨折することがあって、内側関節面からおれると近位へ螺旋状に骨折線が伸びていき、近位部で斜骨折や横骨折へと悪化することがある。 しかし、中手骨の外顆骨折も螺旋骨折へと悪化した症例を経験した。...
View ArticlePCV39%にだまされる
夜8時半、繁殖牝馬の疝痛だという。 分娩後約40時間ほど。 午後4時から始まったが鎮痛剤で落ち着いたが、再発したとのこと。 準備をして待っていると、 「また落ち着いたので様子を観る」との連絡。 「いや、結腸捻転の可能性大だよ」 と答えて来院してもらう。 - 来たら、痛くない。 PCV39%、乳酸値1.2mmol/lと高くない。...
View ArticlePCV36%の小腸捻転
きのうは・・・競走馬の腕節chip fracture の関節鏡手術を午前と午後にやって、 ほかにも、x線撮影やら、なにやら、 夕方、1歳馬の疝痛の来院。 夜間放牧していて、朝、疝痛を発見した、とのこと。 日中、転がるほど痛かったらしいが、他の1歳馬の疝痛と重なったりもして来院と診察が遅れた。 で、夕方になったのだが、血液所見はひどくはなかった。...
View Article脛骨近位成長板損傷Salter-Harris2型 LCP抜去とまた1頭・・・
3月末に脛骨近位成長板損傷をLCP2枚で固定した仔馬はGW中にLCPを抜いた。 内固定前と、 内固定6週間後。 術後10日ほどで術創が開いてしまい、その後感染し、経過は順調とは言えなかった。 異常可動もひどかったのでLCP2枚でしっかり固定したのだが、その分、皮膚の緊張が強くなってしまったことが要因だろう。...
View Article橈骨遠位成長板損傷Salter-Harris 2 型 LCP固定
2週齢ほどの子馬が橈骨遠位成長板を損傷した。 左前肢は肢軸異常はなかったのに、外反valgus してしまっている。 Salter-Harris 2型の成長板損傷骨折だ。 外反を直せないか、力を加えてみたが良くなったとは思えなかった。 このタイプの成長板損傷では、開いてしまった側より、押しつぶされてしまった側の成長板の回復が問題になる。 外側にプレートを当てて伸ばせないか考えたのだが・・・・・...
View Article