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Channel: 馬医者残日録
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回腸纏絡/大小

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きのうは、

朝、競走馬5歳の跛行診断。

結局、予定どおり球節の関節鏡手術をした。

午後、2歳育成馬の跛行診断。

むずかしい症例だったが、診断はついた。

ついで、1歳馬の腰痿のX線撮影。

夕方、当歳馬の臍ヘルニアの診察。

                        -

夕方5時。当歳馬の疝痛の依頼。

朝7時に疝痛を発見し、そのときにはすでに痛がっていた。

超音波で小腸は膨満していたが、蠕動があったので様子を観ていた。

しかし、状態が悪くなり、蠕動もなくなった。との経過。

6時半に来院。

超音波で完全に膨満した蠕動のない小腸が何本も見えた。

すぐに開腹した。

回腸がいくつかのループで絡んで、病変部は暗黒赤色。

上位の小腸はガスと液で完全に膨満して、灰色っぽい部分や、緑がかって見える部分もある。

なんとか絡んでいるのをほどいた。

メッケル憩室腸間膜の遺残があったので、それが元で回腸の纏絡を起こしたのだろう。

上位の小腸のかなりの部分が弛緩してしまっているので、全部切除はできない。

仔馬の腸管手術は、あっさり治るのでなければ、あるいはあっさり治る症例でも、癒着のリスクが避けられない。まして、この状態では・・・

あきらめることにした。

夜7時半。

                       -

片づけをしているところへ、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

来てみると、PCV45%、乳酸1.8mmol/l。

超音波では内容が多い小腸があるが、液で膨満しているわけではない。

雨で濡れた青草を食べ過ぎたか?

曳き運動をしたら、歩いていられる。

馬房へ入れたら、伏臥するが転がりまわるわけではない。

経過を観ることにした・・・・・が1時間ほどで転がって痛がるようになり、息遣いも激しくなった。

「開けなきゃダメだね」

                       -

開腹したら、回腸の纏絡だった。

簡単にはほどけない。

患部をつつんで絞め付けている腸間膜を切断して、ようやっとほどいた。

ふつうは、切除部位を決めて、腸間膜を止血して、腸を切断して内容を棄てて、吻合する。

しかし、腸間膜をすでに切開しているので腸を正常な位置にならべにくい。

おまけに膨満した小腸が盲腸と入れ替わったようになっていて、盲腸が出てこない。

それで、先に壊死した小腸を切開して内容を棄てる。

それから、小腸と盲腸の位置関係を直して、盲腸を術創から引っ張り出す。

それでやっと空腸盲腸吻合の下準備ができた。

回腸を盲端にする。

空腸の吻合部位を決めて、盲腸に端側吻合した。

終わって12時。

麻酔覚醒して起立し、入院厩舎へ入れたのは1時をまわっていた。

                    ///////////////

今月号のアメリカ獣医師会雑誌の表紙はゴールデン・レトリーヴァーのパステル画。

あ~これこれ。

うちの相棒も、珍しいものを見たとき、こういう顔する。

水に浸かりながら、水に落ちたテニスボールを見ているゴールデン。

この絵、とても気に入った。

 

 

 


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