馬はときどき上瞼を切ってしまう。
何かにひっかけるのだろう。
発見するのが遅れると、垂れ下がった瞼はひからびてしまう。
しかし、絶対に切り取ってはいけない。
瞼がないと、風が吹いただけでも角膜が刺激されて涙をポロポロこぼすし、角膜が乾燥したり、傷ついたりしやすくなる。
瞼は単なる皮膚の延長ではなく、眼器官なのだ。
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瞼はとても血行が良い組織で、縫合すれば癒合は良好だ。
ひからびていても、
汚れていても、
凍っていても、
瞼を切り取ってはいけない。縫合しろ!!
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と教わったので、そうする。
ほとんどの馬で立位で縫える。
鎮静して、眼窩上孔で神経ブロックする。鼻捻子保定もできるし、リドカインの点眼で角膜も麻酔できる。
コツは、眼瞼縁を先に縫い合わせることだ。でないと肝心の瞼の端がずれてしまう。
二つ目は、結膜に糸を出さないことだ。角膜に擦れて傷をつけてしまう。
二層縫合が推奨されている。
私は、十字縫合が良いと思う。皮膚も、断面もしっかり合わせることができる。
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眼窩上孔でのブロックは先日の講習会で教えた。十字縫合も質問されて答えた。
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術後管理も大切。
眼を擦って、また同じ傷を負う馬がいる。
怪我の元になった物を見つけて取り除いておきたい。
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今日は、
競走馬の第三手根骨の骨折の関節鏡手術。ほとんど盤状骨折だった。
そして、繁殖雌馬の眼瞼裂創。
当歳馬の外傷。
午後、1歳馬の披裂軟骨炎の肉芽切除。
準急患で、競走馬の中手骨外顆骨折のスクリュー固定。
入院厩舎に小腸を7m切り取った繁殖雌馬が居る。
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今朝は氷点下だった。