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Channel: 馬医者残日録
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survivors and repeaters

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10月初めに空腸盲腸吻合した1歳馬が、きのうから疝痛、とのこと。

配合飼料をやり始めたばかりだったらしい。

来院したら、血液検査では悪い状態ではないが、超音波で小腸の完全膨満像が見えた。

もう開腹手術の適応かもしれないが・・・・2回目だ。

状態がさらに悪くなるか、あるいは閉塞が解除されるか、経過を観ることにした。

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曳き運動はできるが、馬房へ入れると横臥する。

これ以上痛みが強くなるようなら、開腹しなければならない。

2時間様子を観た。

蠕動はある。

食べたい気持ちもある。

胃カテーテルを入れたが胃拡張はない。

まだ辛抱することにした。

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翌朝、痛みは消えた。

超音波でも小腸の膨満像はなくなった。

閉塞は解除されたのだ。

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そこへ、6日前に開腹手術された馬が疝痛なので診てほしいと連絡。

その繁殖雌馬は去年結腸捻転で開腹手術されていて、6日前にまた疝痛を起こし、手術が必要だったのだが、私たちが他の手術で手があかなかったので他所で開腹手術を受けた。

結腸骨盤曲の癒着だったそうだ。それが、6日前。

来院したら、疝痛は強くはなく、血液検査所見も悪くない。

直腸検査では、たしかに骨盤腔内に便秘した結腸骨盤曲に触れた。

電解質液を経鼻カテーテルで飲ませた。

20リットル分の電解質を10リットルの水に溶かした。

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開腹手術で助かる馬が増えるにつれ、開腹手術歴がある馬の疝痛も増えている。

再開腹が必要かどうかは、とても専門的な難しい判断になる。

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手術後の馬をどのくらいの日数をかけて元の飼養管理に戻していくかもなかなか難しい。

腸管吻合部位は2週間後に最も狭くなる、とされている。

糸で縫合されてつながっていたのが、糸が吸収され、瘢痕収縮し、それから徐々に広がっていくのだ。

だから、手術後3-4週間は油断できない。

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私は、青草がある季節には青草を推奨している。

それだけではカロリーが不足するので、植物オイルを使うことも薦めている。

蹄葉炎の心配もなく、固形物が詰まる心配もなく、便秘の心配もない。

オイル300mlでエンバク1kgのカロリーに相当する。

ただし、馬が嫌がらないかどうか、そして吸収できるかどうか注意する必要がある。

オイルを与えている馬は尻尾がリンスしたようにスベスベツルツルだったりする。

消化吸収されないで糞にオイルが含まれているようだと、その分はカロリーになっていない。

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乾草類は、長い物を時間をかけて食べているのが良いと思う。

切り草は、切ってあるのであまり噛まずに飲み込んでしまう。

長い草を良く噛んで、時間をかけて食べるのが良いと考えている。

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配合飼料は、粒があるものはよろしくない。

切り草と同じで、噛まずに飲み込みがちだし、磨り潰されない内容はそのまま腸管へ送られる。

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冷たい雨が降った。

 

 

 


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