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Channel: 馬医者残日録
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激しい1日 2

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朝、早めに出勤したら、当番の先生が1歳馬の外傷縫合中。

しかし、動脈、静脈、筋肉、が削れるように切れていて、皮膚は布切れのようにぶら下がっている。

完全な縫合ができても癒合は望めない。

ウェット管理できる被覆材を当ててしっかり包帯を巻いて、二期癒合を期待する。

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午前中は予定していた1歳馬の腕節内反の成長板阻害手術。

骨端症が悪化して肢が曲がってきたらしい。

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そのあと、去勢。と思ったら、どうやら左側は陰睾のようだ。

全身麻酔してしげしげと触っても鼠径部にも精巣はない。

吸入麻酔の準備をして、手術室で手術台に載せて、鼠径部を切開して腹腔内の発育の悪い精巣を引っ張り出した。

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昼から、繁殖雌馬の側頭骨舌骨関節症の角舌骨摘出手術。

急にこの症状が出たそうだ。

喉嚢内視鏡検査と、X線撮影で診断して、そのまま手術。

動脈を傷つけて結紮止血したのだが、覚醒室で術創から出血があり、もう一度吸入麻酔をかけて動脈を結紮しなおした。

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その間に、繁殖雌馬の疝痛症例の依頼。

5年前に開腹手術歴がある。

開けたら推察どおり癒着疝だった。

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その間に、1歳馬の外傷。

牧柵に突っ込んで皮膚は裂け、前頭骨から眼窩周囲の骨を陥没骨折していた。

立位で縫合処置。

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癒着疝の開腹手術が終わるのを、疝痛の当歳馬が待っていた。

ところが待っている間になんとなく治まった。

たぶん、親の糞を丸呑みしたのが詰まっていたのだ。

良い方に転べば手術せずに済む。悪いほうに転べば・・・・手遅れになる。

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その当歳馬が手術を待っているときに、乳母馬の疝痛の依頼。

幸い、別な馬病院へ回ってもらってもらうことができた。

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夜、9時過ぎ、家に帰って食事をしていたら、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

その後すぐに難産の依頼。後肢が産道に入って来ている、とのこと。

子馬は生きているとのことなので、「捻ると後肢が産道からはずれることがある」と指示するが、ダメ、との連絡。

当番獣医師を全員呼び出す。

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疝痛の繁殖雌馬は、結腸捻転の手術後8日目。

再発だろう。

その開腹手術を始めておいて、難産は覚醒室で静脈麻酔で対応してもらう。

2時間ほどで開腹手術は終了した。

その間に難産仔は整復して娩出させられたが、母馬の負担と出血はかなりだった。

結局・・・・夜中3時を過ぎても立てず、あきらめた。

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輸液剤の空の山。

命を助けるのに必要な水と塩分だ。

               /////////

雨の一日だったが、向こうに見えるサクラと新緑にすこしは励まされた、かな?

 

 


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