子宮頚管奥の背側の穿孔
3日前に分娩した繁殖雌馬。 きのうから発熱し、元気食欲不振。 その日は、超音波で腹水増量は見えなかったが、翌日には腹水増量している、とのことで来院。 PCV47、白血球数4,780/μl。 産道から子宮を触ってみるが子宮角先端に穿孔は触れない。 しかし、超音波検査では腹水は明らかに増量している。 「お産は重かったですか?」と訊いたら、...
View Article気管裂と皮下気腫
繁殖雌馬が牧柵につっこんで怪我をした。 一緒にいた当歳馬は牧柵の外に居たとのこと。 頚の傷は一見大きくないが、気管が裂けている。 ベテランの獣医さんでも、「えらい太った馬ですね」と思ってしまうが、実は皮下気腫。 裂けた気管から漏れた空気が体全体の皮下に広がってしまっている。 鎮静剤を静脈注射するのも難しかった。 頚静脈の怒張が見えないし、針を刺して引くと空気が出てくる。...
View Article子馬の尿管漏
その子馬はほぼ1ヶ月齢。 未熟で小さく生まれて、屈腱もゆるかった。 2週齢ほどで放牧地で立てなくなった経過があり、その後はRF跛行で肩関節の感染が疑われた。 左飛節は明らかな細菌性関節炎で、血液検査でも感染所見があり、抗生物質治療が行われた。 その1ヶ月齢の牝子馬が、腹囲膨満し膀胱破裂、ということで搬入された。 開腹したが、あきらかな破裂部はわからなかった。...
View Article開腹手術の順番待ち
昼に診た繁殖雌馬は分娩1ヶ月。軽度の疝痛3日目。 開腹手術適応のようだ。 しかし、溶血性黄疸で入院している子馬の母馬もかなりの疝痛をしている。 そちらも診察したら・・・・・開腹手術適応だ。 しかし、先日から急患で延期してもらった1ヶ月齢の子馬の肢軸異常ももう診察しないと・・・・ 子馬は蹄処置を優先させることになった。 夕方、喉の異常の2歳馬が来ることになっているが、開腹手術と併行してやれるだろう。...
View Article妊娠末期に、小結腸腸間膜裂孔へ、空腸がヘルニアした
分娩予定12日前の19歳繁殖雌馬が昼から疝痛。 フルニキシンはあまり効かなかったそうだ。 発症から4時間後、来院。 血液検査所見はさほど悪くないが、超音波で左肋部で完全膨満した小腸が見え、直腸検査でも妊娠子宮の上に膨満した小腸が触れるとのこと。 妊娠末期の小腸閉塞は手こずることになるのは覚悟の上で開腹手術する。 -...
View Article春まだ浅く
きのうは、北海道獣医師会産業動物部会で札幌。 北海道の大動物診療は、獣医師を雇いたいのに応募が足りない事態になっている。 待遇改善も必要だろうし、獣医科大学へ物申す必要もあるだろうし、 何よりわれわれ当事者が楽しく仕事をして、それを若い人たちに伝えていかないといけない。 - 午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。...
View Article子牛と子馬がいっぱい
子馬の肢軸異常の矯正手術と、臍ヘルニアを併行して。 - 午後は子牛の脛骨遠位骨幹部粉砕骨折のプレート固定手術。 - 夕方、子馬の脛骨近位成長板骨折の連絡。 翌日午前中に手術することにした。 入院馬を治療し終わって、骨折内固定の手術を始めた朝6時すぎ。 器具の滅菌をスタートさせて、AOのHPで予習して、朝7時。...
View Article新生子牛の脛骨遠位粉砕骨折
黒毛和種子牛が生まれた次の日も立たず、獣医さんも「弱いから立たないのか?」と言ったので、 初乳を哺乳していたが、生まれて2日目の朝はよく診てもらったら、骨が折れている。 ということで、NOSAIの獣医さんに連絡が来て、それから私のところへ電話が来た。 電話をして来た獣医さんは子牛は見ていない。 X線撮影もされていない。...
View Article今年は子宮穿孔が多い
朝、早めに出勤したら当番の獣医師が子宮穿孔の確定診断を終えたところだった。 もう一人出勤してくるのを待って開腹手術を始めた。 左子宮角の先端の穿孔だった。 これで7頭目だったか、8頭目か・・・・ 今年は子宮穿孔が多い。 記録的に積雪が多かったことと関係ありそうな気もするが、わからない。 - その夜は私は第一当番。 難産の依頼で起こされた。...
View Article子宮角穿孔の開腹手術
ことしは本当に子宮穿孔が多い。 記録的な積雪で、放牧地での運動が足らなかったことと関係があるのだろう。 生まれて2日目の子馬。 具合の悪いお母さんと一緒に来院したが、疲れて診療室で寝てしまった。 お母さんは腹痛というより、腹腔内と膣外への出血による貧血とふるえ。 触診で左子宮角の穿孔が確定診断された。 毛を刈って、イソジンスクラブをかけて、 水分つけてブラシで洗う。 水でびちゃびちゃにはしない。...
View Article激しい1日
朝5時前、疝痛の開腹手術で呼び出される。 行ってみると山のようなおなか。 「急がないと窒息死するぞ」 急いで開腹し、腸管のガスを抜いたら、腹の高さが30cmほど低くなった。 PCVも60%を超えていたそうだが、結腸の色調は回復した。 - 終わった頃、難産の依頼。...
View Articleループにした糸での縫合
妊娠末期の膨満した腹部を閉じるために、糸をダブルにして使いたいときや、 膣内や子宮内で手探り縫合するので、最初の糸の結紮を省略したいときなどに、 糸を輪っかにして縫合する。 その縫い始めは、結紮しないでいい。 どうするか、書いておく。 - こうなってるわけでしょ。 縫い始めはこうしておけば結紮しないでいいじゃない。 糸の端は絶対にほどけちゃいけない。...
View Article有機ELモニター
有機ELモニターによる関節鏡手術。 すごいきれい。 コントラストが強く、細部が細かく見えるので、立体感がある。 これは借り物です;涙。 年間200症例ほど関節鏡手術はあるので、ぜひ導入したい。 何が有機なのか、ELとは何か、知らないけど;笑 //////////// 長年ブラウン管モニターで関節鏡手術してきた。 カメラセットもスコープ(光学視管)も15年以上使って来た。...
View Article難産による死亡
その繁殖雌馬は予定日を3週間ほどすぎて、日中に分娩が始まった。 お産が重かったので、近くの牧場にも助けを求め、子馬は胸まで出たが、そこから出ない、ということで来院した。 子馬は、肩甲骨はもう抜け出た状態で、それをぶらさげて怒責しながら、股を開いて歩いて来た。 こうなると、後肢が産道に入って来ているか手を入れようにも入らない。 枠場に入れて、子馬を胸椎で切胎した。 子馬はすでに死んでいる。...
View Article激しい1日 2
朝、早めに出勤したら、当番の先生が1歳馬の外傷縫合中。 しかし、動脈、静脈、筋肉、が削れるように切れていて、皮膚は布切れのようにぶら下がっている。 完全な縫合ができても癒合は望めない。 ウェット管理できる被覆材を当ててしっかり包帯を巻いて、二期癒合を期待する。 - 午前中は予定していた1歳馬の腕節内反の成長板阻害手術。 骨端症が悪化して肢が曲がってきたらしい。...
View Article桜の花、舞い上がる道を 独唱
どうやら桜が咲いている間に自由がきく時間はその夜しかなさそうなので、 さっさと診療所を出て、桜を眺めてきた。 あいにくの空模様で、 ライトアップもされてなくて、 それでも、この季節は今しかない。 いつかあちこちの桜を観に行ける年が私に来るのだろうか?;笑 - 今年、いちばんのお気に入りの桜ソングはこれ。 桜の花、舞い上がる道を 独唱
View Article子宮破裂あるいは裂傷の治療法 1
今年はほんとうに子宮穿孔の症例が多い。 この馬は2日前の夜分娩、翌日から39度を超す発熱。 左子宮角の先端近くで、漿膜と筋層が10数cm裂け、一部は粘膜も穿孔していた。 - 子宮穿孔の治療方法について、馬臨床の教科書にどう書かれているか? まずはEquine Surgery 4ed. Equine Surgery, 4e Jorg A. Auer Dr Med...
View Article子宮破裂あるいは裂傷の治療法 2
分娩後の腹膜炎で、開腹手術して子宮裂創を確定診断すれば、裂創を縫合して腹膜炎の原因を取り去り、さらなる腹腔汚染を防止できる。 Embertson先生がEquine Surgeryにわざわざ”私の意見では--”と書いておられるとおりだ。 - さて、「大動物の泌尿生殖器の外科」 Large Animal Urogenital Surgery にはどう書かれているか?...
View Article子宮破裂あるいは裂傷の治療法 3
さて、分娩時の子宮裂をどう治療するかについて、教科書をもう一冊。 馬内科学 Equine Internal Medicine. これもすでに第4版が出ている。 Equine Internal Medicine, 4e Stephen M. Reed DVM Dip ACVIM,Warwick M. Bayly BVSc MS PhD Dip ACVIM,Debra C. Sellon DVM...
View Article1回目の結腸捻転でcolopexyする理由と方法
夜、9時すぎに繁殖雌馬の開腹手術に呼ばれる。 去年の晩秋に、他所の施設で結腸捻転で開腹手術を受けている。 再発防止の結腸固定術colopexyはしていなかったとのこと。 その後、無事に分娩したが、分娩後3回疝痛を起こした。 前回の手術後約半年で、再発した。 -...
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