さて、分娩時の子宮裂をどう治療するかについて、教科書をもう一冊。
馬内科学 Equine Internal Medicine.
これもすでに第4版が出ている。

私の書庫にあるのは第3版。

書評を書いてプレゼントされたもらい物。
頑張って読んで書評書くから、最新版をまた下さい;笑
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以下、抜粋。
もし子宮裂創が疑われたら(部分的あるいは全層)、その繁殖雌馬に広範囲抗生物質を投与すべきだ。
非ステロイド抗炎症剤はエンドトキセミアの進行を抑えるかもしれない。
オキシトシン治療(10-20IUを2時間毎)は子宮の退縮を促進する。その繁殖雌馬が不快感を示さなければ、投与量は増やすことができる。
輸液療法は必要なら投与すべきだ。カルシウムレベルを正常域にしてくれる。
子宮の小さな背側の裂創では集中的な内科的治療で充分かもしれない。しかし、もし治療費に制限があるのでなければ、ほとんどの症例は縫合を必要とする。
腹腔洗浄について、必要性、有効性、についての意見は様々である。
大きな全層の裂創は当然外科的治療すべきだ。
子宮体の裂創の症例の中には、盲目的に縫合できることがある。
しかし、多くの場合、腹側正中開腹が望ましいアプローチである。
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内科学の教科書を書いている内科学の先生なので、その前段にある子宮裂創の起こり方についての記述も、子宮穿孔の治療法についても、すこしピントがずれているように思う。
馬臨床内科学の教科書としては内科診断学として、
分娩後の腹膜炎をどう診断するか、臨床徴候、血液検査所見、腹水の所見、超音波検査所見、直腸検査、そして膣から手を入れて子宮内裂創を触って診断すること、
そして、それぞれをどう判断するか、類症鑑別は何か、書くべきだ。
腹膜炎の原因菌と抗生物質治療についても内科の教科書にこそ必要だろう。
さらには、子宮裂創を内科的に治療した場合のこじれ方complications についても書く必要がある。
この章の執筆者は、大学の内科の先生なので、子宮裂創の臨床経験が少ないのだろう。
それでも、子宮穿孔では、たいていの場合、腹部正中切開が望ましい。と書いている。
,but often a ventral midline celiotomy is the preferred approach.
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さて、3回にわけて、「子宮穿孔による腹膜炎は開腹手術して子宮裂創を縫合し、腹腔内を洗浄すべきだ」、という教科書の記述を紹介してきた。
われわれは、妊娠末期でも、分娩後数日でも、必要なら開腹手術を躊躇はしない。
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ようやっと晴れ間が見えて、満開のサクラを楽しむことができた。
夜は結腸捻転の手術に呼び出されて、夜桜も見れたし。
ヨカッタ、ヨカッタ;笑