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Channel: 馬医者残日録
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1歳馬の回盲部重積でアミラーゼ・リパーゼが上昇していた

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もう1週間疝痛が続いている、とう1歳馬。

とくにその日は疝痛が強い、ということで来院。

「胃カテ入れて胃拡張があるなら減圧してきて」と言ったが、

「超音波で十二指腸は張ってないんで」とのこと。

来院したら、PCV53%。

超音波で胃拡張が観えた。

胃カテを入れたら、胃液が16リットル回収された。

1歳馬だ。胃破裂寸前。だったろう。

今度からは、「つべこべ言わず、胃カテ入れてからつれて来い!」と指示しなければならない。

こうして私は傲慢な人間になっていく;笑

                    -

その1歳馬の皮膚テント。

皮膚テントを調べるときは、頚と肩先と両方でやってみる。

頚の方が戻りが悪いのがわかる。

もし肩先の皮膚でも戻りが悪かったら、頚で戻りが悪い以上の脱水があるということだ。

                    -

予想したとおり回盲部の重積だった。

引張ったら抜けて、回腸を盲腸へバイパスした。

                   -

この1歳馬は、来院時アミラーゼ151、リパーゼ262と上昇していた。

翌日には、アミラーゼ4、リパーゼ54と正常範囲内(WNL;Within Normal Limit)へ減少していた。

この1歳馬の場合は、回盲部重積によって小腸が膨満することで2次的にアミラーゼ・リパーゼが上昇したと考えるのが順当だろう。

十二指腸まで膨満することで、膵管が閉塞したのかもしれない。あるいは、膵臓が圧迫されたか。

こういう症例もあるので、アミラーゼ・リパーゼが上昇しているからと言って、膵炎による疝痛だとか、上位空腸炎だと断定するわけにはいかない。

術後イレウスPOI;Post Operative Ileus を心配したが、術後経過は良好だった。

                   ---

今日のポイント。

胃カテが必要なときは躊躇しないで入れましょう。

皮膚テントは脱水の指標。頚と肩先で調べましょう。

当歳秋から1歳の持続的疝痛は回盲部重積が1番の推定疾患です。

上位空腸の膨満があったらアミラーゼ・リパーゼを調べましょう。しかし、評価は慎重に。

                 ///////////////

スズメバチ。

巣の造り始めなのだが、もう産卵もしているようだ。

手下を増やしながら、巣を大きくしていくらしい。

1匹で一生懸命巣を造っている姿は立派で好ましい。

しかし、頑強かつ凶悪なその面構え。

大きな巣になったら手に負えない。

考えたが・・・・・

化学兵器を使うことにした。

あと味、悪かった。

 

 

 

 

 

 


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