初日、牛の蹄病のセッションのあとは、女性獣医師支援のシンポジウムを聴いた。
今は獣医科大学の学生の性別はほぼ男女半々となっている。
獣医師として採用される公務員も小動物獣医師も産業動物獣医師も、近年は男女半々に近い。
今回のシンポジウムでは、公務員、小動物獣医師、産業動物獣医師、として働いてこられた女性獣医師がパネラーとして自分の半生を紹介し、女性獣医師として働いてきた中でのさまざまな問題や解決方法や要望を述べておられた。
これはとても大きく、かつ難しい問題で、「うちの職場は女性はチョット(困る)」ではすまなくなっている。
医師にしても獣医師にしても、男性の卒業生は半減しているからだ。
-
そして女性の採用には産休・育休問題がつきまとう。
つまるところ、産休・育休取得者の分、増員して補充できるようにしておかないと対応できない。
しかし、公務員はともかく、民間企業や自営小動物病院やNOSAIでそれができるか?
-
最近は男性獣医師でも奥さんも働いている人が多くて、自分の職場の女性の産休取得や子育てのために融通を利かすことにとても理解がある、という話は興味深かった。
もうそれ(夫婦共働き)が当たり前の時代なのかもしれない。
しかし、そうやってダブルインカム(2人分の収入)を得ている家庭のために、シングルインカムの人がいつまでも気持ちよく無償協力できるのか?
-
これからは子育てだけでなく、介護の問題も増えてきているので、多様な働き方を認めていかないと退職者が増えるという話も身につまされた。
-
男が家事や育児を半分負担しているといっても、女性から見れば平日のしなければいけないことの半分をしているだけで、溜まっている家事を集中的にやっている週末の分や、そもそも妊娠、出産、育児のかなりの部分は女性しかできないので、半分半分にはならない、という指摘も厳しくも納得がいくものだった。
女性参画社会では、男は妊娠できない、産めない、哺乳できないヒトでしかないのか??
-
オホーツクNOSAIの先生が紹介した大動物分野の実情は、私達にもっとも身近で考えさせられるものだった。
僻地に来てくれるだけでもありがたい。急に明日から牛の診療を代わってくれる獣医師などいない。
-
総合討論にコメンテーターとして登壇しておられた山形NOSAIの酒井参事に、経営上の問題を聞いてみたいと思ったら、
「それらのことを踏まえて国に要請していきたい」
と御自分で述べられた。
本当に少子化が国をあげて取り組まなければならない問題だと言うなら、どんどん生んでください、国が面倒みますから。と言わないと、子どもの数は増えないだろう。
-
女性問題は男性問題でもある。という指摘は納得がいくものだった。
男女を問わず、今までだって余裕をもって、明るく楽しく仕事をできているなら変化に対応していけるのだ。
過酷な労働環境とか、満足のいかない報酬とか、職業上の危険とか、業界の不安定さとか、(どこの業界の話かお分かりでショ;笑)
今までというか、未だに解決できない問題が女性問題として切羽詰まっている。
-
分娩や育児や介護のために時短や夜間勤務の免除や危険な、あるいはキツイ労働の免除を考えるなら、横並びの給与体系ではなく業績や人の評価も考えなければならない。
しかし、それすらできていない職場がほとんどだ。
-
たいへん勉強になったシンポジウムだったが、問題解決へのアプローチは何も見えなかった。
そして、今は半々だが、欧米では獣医科大学生の8割は女性という国もある。
さて、大丈夫なのか?
とくに産業動物分野は大丈夫なはずがないだろう。
日本獣医師会主催のシンポジウムで大会場が用意されていたが、会場は空席がめだった。
う~ん・・・・・
//////////
シャチホコ立ちしてしまう・・・・・