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Channel: 馬医者残日録
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今年診た最初の子馬は細菌性骨髄炎だった

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もうあちこちで子馬が生まれている。

私はluckyなのか、まだ難産にも、新生子馬にもあたっていなかった。

1月中旬に生まれて、下旬からもう3週間近く細菌性関節炎を患っている子馬を関節洗浄して欲しい、と頼まれて・・・

一連の血液検査所見を見たら、ひどい。

分娩前から漏乳があって、未熟で低IgGで、血漿輸血したらしいが、2週間足らずで多発性細菌性関節炎になり、治療を続けているが反応しているとは思えない。

ひどい炎症像が続いている。

来院してX線撮影して、大腿骨や膝蓋骨に異常な透過性部分があり、それが大きくあちこちで、膝関節の中には破片が飛び散っているのも見て、

あきらめた方がいいです。

と言わなければならなかった。

                       -

剖検した。

最もひどい病変は大腿骨内顆で、一見軟骨は損傷していないように見えたが、その内側で海綿骨が化膿して空洞になっていた。

臍の内側。

左が膀胱尖と臍動脈、右が臍静脈。

臍静脈を数箇所切断してみると、固まった血が入っているところと、乾いた膿が入っているところがあった。

ここが原発感染巣だと断定はできないが、可能性はあるだろう。

生まれてしばらく臍から尿が漏れていたそうだ。

                       -

去年見た最初の子馬はディープインパクトの元気な男の子だった。

「幸先良いかと思ったけど別に良いこともなかったな」

と言ったら、

「優秀なnew faceが2名も来たじゃないですか」

と自己申告。

失礼しました;笑

                     ////////

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫) 司馬 遼太郎 文藝春秋

日清戦争が始まる。

その頃の世界を支配する帝国主義、それに仲間入りしたかった明治日本帝国。

もう国をまとめる力がなくなっていた清。

良いとか悪いとか、正しいとか間違っていたとかではなく、時代であり歴史である。

小説上、日清先生はあっさり終わっている。

子規の病状は進み、もう長くはないと本人も悟っている。

日露戦争が始まるまでの部分がつまらないだろう、と言う人が居るが、私には日露戦争以前の部分が興味深い。

たぶん、日露戦争を避けようとするなら、日清戦争を避けなければならなかったのだ。

しかし子規のような人でさえ日清戦争に興奮し、病をおして従軍記者として戦場へ行きたがった。

それも、また時代。

                  -

頭も体も冷やそうとするコイツにみならったらどうだ!?

 

 

 


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