朝、出勤したら、子宮穿孔で入院している馬の腹腔ドレインが夜中に抜けたのを入れ直す、とのこと。
午前中は、3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。
その前に、繁殖雌馬の疝痛の依頼が来たが、予定の関節鏡手術は終わらせてしまうことにした。
その繁殖雌馬は、先に子馬を小腸閉塞で手術している。
開けたら、空腸のやっかいな纏絡だった。
どうやら大網と絡むことで、空腸同士も複雑に絡んでしまったらしい。
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午後1時は去勢。
私は臨時で血液検査。
午後2時に分娩後3日の繁殖雌馬が不調で来院。
地元の獣医さんは、子宮穿孔を疑っている。
覚醒室では、まだ先の開腹手術の馬が寝ている。
で、分娩3日後の疝痛馬は・・・・・腹水はない。左胸腔には胸水が見えた。
右胸腔には、大腸らしき像が見える。
呼吸はおかしい。努力性。
口粘膜はチアノーゼ。
PCV53%。
横隔膜ヘルニアだ。
いつもよりかなり頭側を切開した。
横隔膜ヘルニアであることを確認したら、胸骨剣状突起まで術創を切り伸ばす。
横隔膜の正中ちかく、右寄りが20cmほど裂けていた。
分娩末期の腹圧か、分娩時の圧力で破れたのだろう。
大結腸が胸腔へ逸脱している。
引き抜くのはちょっと苦労した。
横隔膜は筋部と腱部でできているが、腱部まで裂けていた。
腱部は先に縫ってしまった方が良い。
ほとんど閉じた頃に呼吸に合わせて横隔膜は激しく動く。
そうなると糸で引っかけても腱部は裂けてしまうからだ。
肝臓が邪魔なので助手にどけてもらい、麻酔器のヴェンチレーションによる横隔膜の動きに合わせて縫合した。
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その手術中、斜頚の当歳馬が来院。
膿瘍切開になったらしいが、私は横隔膜を縫っていて診ていない。
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横隔膜ヘルニアの覚醒中、繁殖雌馬の疝痛の依頼。
分娩から1ヶ月近くのうちに3回疝痛を示し、今回はひどい。
出産までは疝痛を示したこともなかった、とのことなので、分娩でどこかが破れたのだろう。
血液所見はそれほど悪くない。
超音波検査で・・・・胸腔に液と腸管が見えた。マジか?
うちは年に120頭ほど開腹手術するが、横隔膜ヘルニアは年に1頭か2頭あるかないかだ。
私はもうおなかいっぱい。他の獣医さんに執刀してもらう。
今度は正中左よりが大きく裂けていた。
傷の辺縁は陳旧化し丸い。
胸腔へは大結腸と小腸が逸脱していた。
抜き出すのは1頭目よりたいへんだったようだ。
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この4日間、JRAの先生が生産地研修の一部として滞在されていた。
4日間で・・・開腹手術5頭?6頭?の助手をしていかれた。
トレセンの開腹手術の1年分だろう。
でも、現役競走馬は、子宮穿孔や横隔膜ヘルニアは起こさない。
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終わって夜9時、昼に開腹した馬が入院厩舎で疝痛を示している。
術後イレウスPOIかもしれない。
胃カテーテルを入れたが逆流はない。
大事をとってリドカインを持続点滴に加えた。
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朝5時。
きのう腸管手術した3頭の入院治療を始める。
3頭になるとカルテを持ち歩かないと、所見も覚えられない。
採血管にも名前を書いておかないと、どれがどれだかわからなくなる。
さいわい、どの馬もそれなりに順調だった。
そして、7時半また疝痛の依頼が来た・・・・
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オラはもうあつい
ひるねはひかげにかぎる