胎盤停滞の落とし方
日曜日の朝、来院した子宮穿孔の繁殖雌馬。 まだ後産が落ちていなくて、そのままでは子宮裂孔を縫いづらかった。 早く後産に落ちて欲しいので、オキシトシンを点滴し、臍動脈と静脈から水道水を入れた。 30分ほどで後産は落ちた。 ぶら下がった羊膜の中に臍動脈が2本。臍静脈が1本ある。 そこに、カテーテルを入れて、それに細めのストマックチューブをつなげて、ストマックポンプでバケツの水を入れた。...
View Article上位空腸炎と難産とTiebackと結腸左背側変位と・・・・
夜、8時半に呼ばれた。 朝に分娩した繁殖雌馬が、その後疝痛症状を示し、ひどくはないが治まらないので来院し、 超音波検査で小腸膨満像があちこちで見えた、ので開腹する、とのこと。 開腹したら、空腸のなかほどで乾燥した内容が詰まっていて、そこより上位(吻側)が膨満していた。 引っ張ると素直に出てくる。 どこかへヘルニアしていたり、捻転している感じはない。...
View Article糞塊による小結腸閉塞
休み明けで戻ってきたら、馬運車が3台とまっていた。 入院畜が複数いるみたいだ。 ー 子宮穿孔を立位で縫合した繁殖雌馬。 結局、便の出が良くなく、腹膜炎になり、開腹手術したら小結腸の腸間膜が大きく破れていたそうだ。 小結腸は壊死していなかった。 ー NMS新生子不適応症候群の子馬。哺乳瓶で飲めるが、立てない。 ー...
View Article開腹手術Day 1st case
朝、放牧地でショック状態になった馬が来ると言う。 分娩後5日の繁殖雌馬。 状態はひどく悪い。 腹腔穿刺して腹膜炎を確認した。 細菌は形や大きさが異なる複数の種類が見えた。 しかし、この馬、膣にかなりの大きさの血腫があった。 それが化膿して腹腔へ開いたのかもしれない。 膣から血腫を切開して搔き出した。 ひどい腹膜炎であることは間違いないので、開腹手術することにした。 そして・・・・...
View Article開腹手術Day 2nd case とその合間のNMS治療
昼、分娩後の繁殖雌馬の疝痛の依頼。 来院しても痛い。 血液も悪い。 結腸捻転だろう、で開腹して問題ない。 予想通り結腸捻転。 けっこうひどかった。 - 私は、今週検査当番。 血液検査件数も多い。 子馬のベビーチェックに、分娩後の繁殖の不調に、すでに生まれている子馬の検査、etc. -...
View Article開腹手術Day 3rd case and 4th case
新生子馬は不思議なことに1ヶ月齢近くなるまで腸捻転はほとんどない。 しかし、この子馬は25日齢。 そろそろ腸捻転を起こしても不思議ではない。 で、開腹したら回腸での纏絡だった。 ぐるっと巻きついているのだが、幸い壊死していなかった。 空腸から捻転部位までパンパンに膨らんでいたが、内容を盲腸へ推送した。 SCMCを使った。 そでぃうむかるぼきしめちるせるろーす。 ぬるぬるで、癒着防止になる、かも。...
View Articleひどい難産
今年は難産が多い。 それも特別ひどいのが多いように思う。 例年、1-2頭しか帝王切開しない。 それを去年は8頭もやった。 今年は、すでに7頭。 4月の出産が最も多いので、このペースで行くと10頭を超えるかもしれない。 雪が少なく運動量は多かったのだろうと思う。 しかし、暖冬で胎仔が大きいのだろうか? - 夜中1時。 難産の依頼。...
View Articleこの症状と経過で小結腸損傷だと判断できるか?
分娩後34時間の繁殖雌馬。 分娩後不調が続いている。 便が出ない、 との稟告。 分娩による小結腸の損傷を疑うが・・・・ 体温は38.1℃。 PCVは30台。 白血球は1万8千。 超音波では腹水の増量はない。 直腸検査すると、小結腸の膨満と結腸骨盤曲の膨満に触れた。 - 間違いないだろう。 小結腸の壊死だ。...
View Article結腸捻転と難産が重なって・・・・そしてまた
第三当番だったので、呼ばれることはないだろうと、安心して寝ていたら難産で起こされた。 結腸捻転の手術中に、難産の依頼も来てしまった、とのこと。 獣医さんの話によると、両前腕節の屈曲を直したが、頭が出せない、とのこと。 来院して枠場で手を入れたが、頭がない。母馬は怒責する。 全身麻酔して後肢を吊り上げることにした。 怒責がなくなったらおでこは容易に触れた。...
View Article尺側手根骨掌側骨折の関節鏡手術
競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。 橈骨遠位内側の骨折だが、尺側手根骨にも骨片がある。 珍しい箇所の骨折なのだが、最新の本には記述がある。 - 手術台に乗せてから、しげしげと手根間関節を触ると関節液のわずかな増量があった。 手根間関節に針を刺して膨らませると、掌側外側もはっきり膨らんだ。 これも通常の症例ではあまり見られない。 -...
View Article喉なりの手術と外傷と臍ヘルニアと当歳の小腸捻転と子牛の臍静脈膿瘍と胸膜肺炎
きょうは、午前中は、2歳馬の喉頭片麻痺とDDSPの手術。 その前に、外傷と臍ヘルニア、を頼まれたが、喉の手術が終わってからにする。 喉の手術の最中に、当歳馬の疝痛の依頼。 「外傷と臍ヘルニア」が終わってからにする。 その間に、1歳馬の疝痛の依頼。 入院厩舎に入れて様子を観ることにした。 さすがに、1時からの予定の子牛の臍静脈膿瘍の手術は30分遅れにしてもらう。...
View Article麻酔覚醒起立時の水平線の効果
今度は、青いガムテープで、覚醒室の壁に水平線を引いて、麻酔の覚醒起立の質が良くなるか観察している。 さあ、どうだ? なんか前より良い気がするんだけど。 前より悪いということはない。 前よりはるかに良いということもない。 しかし、前より良いような気がする。 - あとは、また斜めの線をひいて、馬を覚醒起立させてみたい。...
View ArticleMadigan Loop Rope
午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。昼は、血液検査業務。64件だった。血清分離にも時間がかかる。手術室では、競走馬の腕節の関節鏡手術と、腕節滑液嚢の外骨症 exostosis のチェックと、去勢。...
View Articleホルスタイン育成牛の下顎骨折
4ヶ月齢のホルスタインが、下顎の結合がはずれてしまった。 午後に異常を発見され、その日のうちにX線検査され、次の日の午後には手術のために来院した。 それでもひどく腫れている。 眼は少し窪んでいた。 エサも食べれていないそうだ。 X線画像ではこんな。 口にFPD(DRなのでふらっとぱねるでぃてくた)を押し込んで撮影すると、 まあ、みごとに左右に分かれている。...
View Article膀胱破裂の子馬が心停止した
遠い診療所から、不調の子馬の診療依頼。 生後2週間になるが、きのうから元気がなく、T38.6。 で、畜主はもうこちらへ向かって出てしまった、との連絡。 ー 昼過ぎに来院したら、母馬から哺乳はしている。 しかし、腹が張っている。 超音波で観たら、腹水がいっぱい。 膀胱破裂か? しかし、もう2週齢になっていて、膀胱破裂する日齢ではない。...
View Article膀胱破裂の子馬が心停止した part2
麻酔導入後、手術前、手術中に心停止した膀胱破裂の子馬は、覚醒室では心停止は起こさなかった。 覚醒起立は遅れたが、立って、また遠方へ帰って行った。 5時間くらいかかるらしい。 その様子を、難産に対応している別の部屋から観ていた。 - 来院した前日から具合が悪かった、とのことだったが、 よく聞くと、さらにその前日からおかしかったとのこと。...
View Article後膝の漿液腫
1ヶ月前に後膝を怪我した1歳馬。 性格に問題があって、きちんとした外傷処置ができなかったらしい。 後膝の前?上?獣医学的には頭側、あるいは膝蓋骨の皮膚、に肉芽の塊ができてしまった。 曲がると飛び出す。 切除して欲しいと頼まれて、触ってみると皮膚の下に茎状の塊がある。 肉芽部分の皮膚を切除し、その奥にある結合織の塊を完全に摘出した。 もっとも奥は、内腔を持っていた。 内層を2-0monocryl...
View Article新生子馬の腓腹筋断裂のキャスト固定
子馬はお産のときに腓腹筋断裂を起こすことがある。 実際には、筋断裂というより、大腿骨への腓腹筋付着部が剝がれている。 大きな血腫が形成され、貧血し、黄疸が出たりもする。 何より寝起きができなくて、あきらめられていることが多い。 内出血がひどいと、貧血で死んだりもする。 - 大腿部に血腫ができている新生子馬がいるので診てほしい、とヴェテランの先生から電話。...
View Article横隔膜ヘルニア連戦
朝、出勤したら、子宮穿孔で入院している馬の腹腔ドレインが夜中に抜けたのを入れ直す、とのこと。 午前中は、3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。 その前に、繁殖雌馬の疝痛の依頼が来たが、予定の関節鏡手術は終わらせてしまうことにした。 その繁殖雌馬は、先に子馬を小腸閉塞で手術している。 開けたら、空腸のやっかいな纏絡だった。 どうやら大網と絡むことで、空腸同士も複雑に絡んでしまったらしい。...
View Article黒毛2ヶ月齢 脛骨螺旋骨折
午前中、大腿骨骨折が治った黒毛和種子牛のプレート除去手術。 プレートを抜く手術だってけっして簡単ではない。 手術を始める前に、黒毛の2ヶ月齢の脛骨骨折の依頼。 1頭目の手術が終わるころを目指して来てもらう。 脛骨骨幹中央部でのピースがある斜骨折。と見えるだろうが、 角度を変えると、螺旋骨折の亀裂は遠位骨幹端まで伸びている。 骨折部が著しく長く、そしてピースもあるやっかいな骨折だ。...
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