上腕骨骨折の内固定手術が難しいのは、ひとつには筋肉が厚いせいだ。
子牛とちがって、馬は、子馬でも筋肉が厚い。
その部分を広く覆っている上腕頭筋は、筋繊維に沿って切り広げて良い。
その奥の上腕二頭筋と上腕筋の筋腹を分ける。
斜めに3つならんでいるのが、内側近位から上腕二頭筋、上腕筋、橈側手根伸筋、だ。
上腕骨骨幹部骨折の手術で大事なことは、橈骨神経を確認し、プレートで押さえつけたり、ドリルで巻き込んだりしないことだ。
橈骨神経は上腕筋の遠位に沿うように走っている。
もし、切れていたら・・・・あきらめろ。
これは上腕筋の内側から骨折部にアプローチし、骨鉗子をかけて整復を試みているところ。
上腕骨は指先で触れるが、観ながら整復するのは無理。
override 騎乗変位を整復するために肢はかなり吊り上げている。
そうすると筋肉にテンションがかかって、筋間は広がらなくなる。
手術は2人で始めたが、3人必要だった。
それも3人とも解剖や骨折内固定やの勘所をわかっているのが望ましい。
LCP用のドリルガイドはLCPに固定されるので、プレートを扱うハンドルとして使える。
LHS以外は5.5mm screwを使いたい。
しかし、5.5mm screwはLCPには斜めには入らない。
頭側アプローチをしているので、外側プレートを当てるのは難しい。
そして、遠位部はLCPを橈骨神経の下にくぐらせなければならない。
はい、完成・・・・なんてものではない。
頭も指も腕もへとへと。
これからこの長大な深い傷を閉じなければならない。
そして、血まみれの大量の器材も洗浄しなければならない。
今晩のうちに滅菌しなければならない。
明日は朝からまたLCPを使うかもしれない骨折手術を予定しているのだ。
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月曜の夜は、空腸に大網がからんで絞扼した繁殖雌馬の腸管手術。
火曜の朝は、おだやかな快晴だった。