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Channel: 馬医者残日録
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186kgの上腕骨骨折のアプローチ

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上腕骨骨折の内固定手術が難しいのは、ひとつには筋肉が厚いせいだ。

子牛とちがって、馬は、子馬でも筋肉が厚い。

肩先から肘関節の上まで、上腕二頭筋の外側に沿って切開する。

その部分を広く覆っている上腕頭筋は、筋繊維に沿って切り広げて良い。

その奥の上腕二頭筋と上腕筋の筋腹を分ける。

斜めに3つならんでいるのが、内側近位から上腕二頭筋、上腕筋、橈側手根伸筋、だ。

上腕骨骨幹部骨折の手術で大事なことは、橈骨神経を確認し、プレートで押さえつけたり、ドリルで巻き込んだりしないことだ。

橈骨神経は上腕筋の遠位に沿うように走っている。

もし、切れていたら・・・・あきらめろ。

これは上腕筋の内側から骨折部にアプローチし、骨鉗子をかけて整復を試みているところ。

上腕骨は指先で触れるが、観ながら整復するのは無理。

override 騎乗変位を整復するために肢はかなり吊り上げている。

そうすると筋肉にテンションがかかって、筋間は広がらなくなる。

手術は2人で始めたが、3人必要だった。

それも3人とも解剖や骨折内固定やの勘所をわかっているのが望ましい。

LCP用のドリルガイドはLCPに固定されるので、プレートを扱うハンドルとして使える。

LHS以外は5.5mm screwを使いたい。

しかし、5.5mm screwはLCPには斜めには入らない。

頭側アプローチをしているので、外側プレートを当てるのは難しい。

そして、遠位部はLCPを橈骨神経の下にくぐらせなければならない。

はい、完成・・・・なんてものではない。

頭も指も腕もへとへと。

これからこの長大な深い傷を閉じなければならない。

そして、血まみれの大量の器材も洗浄しなければならない。

今晩のうちに滅菌しなければならない。

明日は朝からまたLCPを使うかもしれない骨折手術を予定しているのだ。

                                 ////////////////

月曜の夜は、空腸に大網がからんで絞扼した繁殖雌馬の腸管手術。

火曜の朝は、おだやかな快晴だった。

 

 


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