白筋症の子馬の採材は2週間ほどの予定だったが、結局1か月半ほど滞在することになった。
その間、朝は往診随行させてもらい、昼間は診療センターの診療を見学し、夜はセレニウムの測定を教えてもらった。
夜12時に実験を終わって、早朝4時から往診随行したこともあった。
若かったんだね~
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採材はうまくいった。
教授には「子馬だけでいいよ」と言われていたのだが、母馬や同居馬も採血させてもらった。
結局は、それが成績を出すことにつながった。
子馬は、治療としてセレニウムをすでに投与されていることが多く、しかも発症した子馬も発症していない子馬ものきなみ低いので有意差がでなかった。
低レベルの中の比較で差が出たのは、非発症牧場と発症馬の母馬だった。
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一番忙しい時期の馬産地の診療を見れたのも面白かった。
今から思えば、いい加減な時代で(40年近く前だからね)、獣医さんに代わって往診車を運転したり、
注射したり、
人手がない検査室で、「僕、検査やりましょうか?」と血液生化学検査をしたこともあった。
獣医師免許はなかったが、もう大学院生だと周りが見てくれていたのかもしれない。
「君、大学から来たんならクマも麻酔できるか?」と子熊がはいった檻のところへ連れて行かれ、
「鎮静剤うっといてくれ」と頼まれたこともあった。
子熊でも大型犬くらいある。大人しく注射なんかできませんから・・・・・
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車で日高中を走り回り、何度か検体を運ぶために帯広と往復し、ガソリン代には苦労した。
その頃には、馬の臨床獣医師になろう、と決めていた。
働くなら生産地だ。と思っていた。
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たしかアフリカの研究者でアフリカに子供を連れて行った人の話を読んだことがある。
長男のときは心配で、あまり部族の村に連れて行ったりしないでホテル滞在だったのだそうだ。
大きくなった長男は、アフリカは不潔だと言って今でも嫌っているそうだ。
次男の時は、親も慣れていたのでどこへでも連れて行った。
次男はハエにたかられながら現地の子供たちとも遊び、今でもアフリカが大好きだとのこと。
近頃の実習に来る学生を観ていて思うが、こわごわ数日だけ覗くように来て何がわかるんだろうと思う。
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一日雨でした。