58歳になる去年から手術執刀数は大幅に減らした。
それでも、神経を使う難しい手術を複数やらなければいけないこともある。日曜日に。
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午前中、3歳競走馬の喉頭形成・声帯切除 Tieback & Cordectomy 。
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午後、2歳競走馬(未出走)の近位指節の関節固定。
これは、私にとって10頭目。
この2歳馬は、1ヶ月前に跛行し、球節以下が腫れて”球節捻挫”という診断を受けた。
その後のX線検査で近位指節関節の屈曲側への亜脱臼が診断された。
球節周囲と繋の掌側にもまだ腫脹があり、圧痛もある。
種子骨靭帯(繋靭帯の遠位部)が損傷したのだろう。
競走馬にするのはあきらめたが、繁殖供用するにも亜脱臼は徐々にひどくなり、跛行は慢性化する。
亜脱臼が長期化してから関節固定をしても、関節が硬直して亜脱臼を整復して固定することが難しい。
以前にやった症例では軽度の跛行が残った。
で、もう関節固定することにした。
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足元の手術なので術野準備には充分に気をつける。
蹄はどんなに消毒しても無菌化はできない。
覆ってさわらないように、水分がそこから流れ出ないようにする。
この関節を開けるのはもう慣れた。
この症例は変形性関節症を起こしていないので難しくはなかった。
軟骨除去は、ひたすら指の肉体労働。
BoneSawが欲しい。
P2に3孔LCPをLHSでとめる。
その状態で、関節を開けておいて、LCPに当たらない位置からscrew holeをP1遠位関節面の掌側部に出るように開ける。
この位置と角度が難しい。
X線透視装置が欲しい。
そのままLagscrewを入れて、関節掌側を固定してしまうのが標準の手順なのだが、今回はLCPを先に止めた。
5.5mm cortical screw をload position で入れてcompression をかけた。
それから、4本の5.5mm cortical screw をlag fascion で入れて掌側にcompression をかけた。
関節面は圧着される様子が観察された。
520kgある大型馬だったので、lag screw を4本入れることができた。
最後に、LCP近位のholeにLHSを入れた。
傷は慎重に丁寧に閉じる。
術後はhalf limb cast を装着。
6週間はキャストしておきたいので、蹄尖部はsuper fast で補強した。
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寒い!
これから「この冬一番の冷え込み」が何度か繰り返されるんだろうな。