人医療の進歩は素晴らしい。
コロナ肺炎で呼吸できなくなっても、酸素交換さえ補助できる。
心臓病・癌・脳卒中(脳出血・脳梗塞)でも回復が期待できるようになっている。
診断治療を行う医師は、専門に分かれて知識や技術や経験を積むことでそれが可能になっている。
医療が進歩しても、その辺の医院で心臓手術や脳外科手術をやっているわけではない。
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動物の診療も高度化、複雑化、専門化している。
北米でもヨーロッパでも、専門(獣)医制度がすでに確立されている。
獣医科大学を出たあと、希望する者は数年の専門医教育を受け、試験を受けて認定される。
専門医教育を受けるためには、その前にインターンを務め、適性を証明しなければならない。
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海外の獣医科大学で実際に診療しているのはこの専門医研修生(レジデント)たちだ。
もちろん臨床教授たちが指導しながら獣医教育病院の診療が運営されている。
すでに歴史があるので、指導する先生たちもその分野の専門医である。
例えば今は馬外科専門医ではないのに、北米・欧米で馬外科医として仕事に就くのは無理だ。
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ACVSとは、American College of Veterinary Surgeons (Surgery) だし、
ECVIMとは、Eourope College of Veterinary Internal Medicine だ。
イギリスだと、Royal College of Veterinary ○○ となる。
日本でも、いくつかの獣医専門医認定制度が発足しているが、小動物ばかりが先行していて、大動物はおきざりにされている。
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専門医制度、専門医教育、専門医認定がないと、専門分野は徒弟制度化しやすい。
すぐれた先達の元で「観て覚えろ」と言われ、長年ご奉公のような研鑽をして、しかしその先達の気に入られないと評価されない、などということが起こりがち。
先達が間違っていると、その間違っていることさえ伝統として受け継がれていってしまう。
「うちではこうすることになってるんだ」が、その地域でまかりとおってしまう。
職人の世界の欠点だ。
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何が必要で、何が正しくて、それを身につけるためにはどうすれば良いか、が常に考えられ、若い人に提示され、
その道を行く方法が示されているのが理想だろう。
私が、自分の分野である馬外科にも日本の専門医制度をつくりたい、
日本の大動物臨床にも専門医制度が必要だ、
と思う理由である。
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前置きが長くなった。
家畜高度医療センターに北米馬外科専門医が着任しました。
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朝一は、子馬の膀胱破裂。
global な認定を受けた馬外科専門医が執刀しても手術代は据え置きです;笑