朝4時半、目覚めていたが電話で連絡。
子馬が肩まで出たが、そこから出せない難産が来るという。
「行くわ」
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「後ろ肢が産道に入ってきているんでしょうね。帝王切開する気もありますか?」と尋ねたが返事はない。
すぐ全身麻酔して、もう死んでいる子馬を胸椎で切胎して、産道に入ってきていた後肢にチェーンをかけて、下半身は反転させて尾位で引っ張り出す。
私は切胎しただけで、あとは指示して若い先生にやってもらった。
30分ほどで娩出させられた。
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ところがこの繁殖雌馬は、何度か立ち上がったものの、後肢がしっかりせず倒れてしまう。
陰部もひどく腫れてきた。
昼間で起立介助しながら様子を観たが、やはり立てない。
トラクターで入院厩舎へ運び込んで、経過を観ることにした。
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その間に、
朝は3日間食欲不振が続く繁殖雌馬の診察。
午後、2歳馬喉頭内視鏡検査。
1歳馬の喉頭内視鏡検査と後膝OCDのXray。
2歳馬の去勢。
現役競走馬の浅屈腱炎のPRP療法とキャスト固定の経過超音波検査。2頭。
3歳休養馬の疝痛。結腸便秘。
17歳繁殖雌馬の妊娠末期の疝痛。結腸捻転歴あり。盲腸便秘。
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難産後に起立不能だった初産馬は、夜中に入院厩舎で死んでしまった。
解剖したが、子宮穿孔や動脈破裂はなく、
どちらかと言えば産道の左寄りに出血があるだけ。
臀筋は深部が褪色しているのかもしれない。
子馬が産道に入っていた時間が長かったので、閉鎖神経が圧迫され、後肢への血行が阻害され、
そのことで、起立不能になり、
立てずに苦悶している間に筋変性も起こり、
産道損傷も重なって、外傷性ショックで死亡したのだろう。