プレート固定の基本と注意点 骨折の形状の分類
ポキンと横に折れているのが横骨折だが、傾きが30°までは横骨折と呼ぶ、らしい。 う~ん、20°だと横骨折か・・・・ 30°を超えて斜めになっていると”短”斜骨折。 骨折部の中央の直径より、2倍以上の長さにわたって折れていると長斜骨折と呼ぶ、そうだ。 b>2a が長斜骨折。 では、そのときの骨折線の傾き x は? 60°と答える人が多い。 残念でした。 数学的には63.4°...
View Article狼歯ぬき
噛み出しする2歳馬。 斜歯をすって(鑢整して)、ついでに狼歯(第一臼歯;105・205)を抜いてくれ、ということになったらしい。 専用のノミで狼歯の周りの歯肉を剥がし、 特別な鉗子で、引っこ抜いた。 私じゃない。 他の獣医さんが;笑 お見事。 - 筒状の器具でこじる人もいるが、 そうするとほとんどの場合、狼歯は途中で折れている。 折れると歯肉の中に尖った端が残る。...
View Article胎便停滞の治療は浣腸
前日に生まれた子馬が、その夜から不調で、軽度の疝痛。 翌朝も疝痛、とのことで来院。 - 胎便の出た量が少ないので胎便停滞だろう、との推定診断はついている。 血液検査して、超音波検査して、X線撮影して、やはり胎便停滞だろう。 潤滑剤をお湯でもっとトロトロにして重力で浣腸した。 --- 新生子馬には下剤投与はお勧めしない。...
View Article経膣分娩が不可能な奇形の難産
夜中に電話で起こされた。 が、すぐ切れた。 折り返し電話すると、帝王切開するということだったが、牧場がやはり帝王切開まではしない、と判断したとのこと。 夜中の出勤をしたら、もう諦めた馬を運び出すところだった。 後肢から産道に入ってきていて、前肢も産道へ来て、頭は触らない、とのこと。 解剖したら、尾位に見える。 しかし、前肢も産道へ向かっており・・・・ そして異常に細い。...
View Article結腸捻転×2 + POI +(空腸+空腸・回腸)+ 膀胱破裂 =
私が休みの日、分娩による小腸腸間膜ヘルニアを手術した、とのこと。 空腸の大半がヘルニアしており、虚血性のダメージもあったが、全部を切除することはできないのですでに壊死している2.2mを切除吻合したということだが・・・・POI(Post Operative Ileus) - 休み明けの日には結腸捻転が来た。 結腸の虚血性損傷は重度。...
View Article新生子馬の下顎骨折
12日齢の子馬が母馬に下顎を蹴られてひどい折れ方をしている、との連絡。 下顎骨折では、左右とも折れているか?哺乳や採食できるか?が手術の判断の基準のひとつになる。 どうやら両側折れていて、乳を飲むどころではないらしい。 X線撮影すると・・・ これはひどい。 両側折れて、切歯骨部分が完全に変位している。 写真左下が下顎、正中で割れている。...
View Article子牛の寛跛行
?ヶ月齢の黒毛和種がもう1ヶ月跛行をしている、とのこと。 かなりよくなったが、ある程度から良くならないそうだ。 牛を診ると、左の臀部の筋肉が萎縮している。 これは股関節付近の問題の症状だ。 立位でポータプル撮影してみたが、どこが写っているかさえよくわからない。 何度か撮り直したがやはり診断価値に乏しい。 鎮静剤を投与して、牛を仰臥にし、大型X線撮影装置で撮り直した。...
View Article分娩による腸間膜裂 空腸と小結腸と
朝、分娩後の不調の繁殖雌馬が来院するとのこと。 来てみたら状態はひどい。 もう倒れそう。 PCV76%、Leukopenia。 一応腹腔穿刺して腹水の検査もする。 多数種の細菌がある。 が、原虫や植物繊維などの消化管内容は確認できない。 それでも、もう予後不良なのは間違いない。 空腸腸間膜が破れ、血行を失った空腸が壊死し、破裂もしていた。 ー...
View Article1日何をしていたか思い出せない春
夜中に妊娠末期の結腸捻転の開腹手術。 朝は、繁殖雌馬の外傷から。 ”あがり馬”で敏感でなかなかたいへんだった。 - 別な上がり馬は、疝痛で来院。 来院したら落ち着いていて、大丈夫そうだった。 - ちょっと時間が空いたので診療室を掃除。 - 昼、ホルスタインの子宮捻転の難産。 すぐあと予定の頚椎症の腰痿のX線撮影。...
View Articleエイプリル・フールは千”患”万来
朝4時半、目覚めていたが電話で連絡。 子馬が肩まで出たが、そこから出せない難産が来るという。 「行くわ」 - 「後ろ肢が産道に入ってきているんでしょうね。帝王切開する気もありますか?」と尋ねたが返事はない。 すぐ全身麻酔して、もう死んでいる子馬を胸椎で切胎して、産道に入ってきていた後肢にチェーンをかけて、下半身は反転させて尾位で引っ張り出す。...
View Article専門医
人医療の進歩は素晴らしい。 コロナ肺炎で呼吸できなくなっても、酸素交換さえ補助できる。 心臓病・癌・脳卒中(脳出血・脳梗塞)でも回復が期待できるようになっている。 診断治療を行う医師は、専門に分かれて知識や技術や経験を積むことでそれが可能になっている。 医療が進歩しても、その辺の医院で心臓手術や脳外科手術をやっているわけではない。 ー...
View Article下瞼の腫瘍
遠いところから乳母として働くためにやって来た重種馬。 目にできものができているので診てほしいと立ち寄った。 下瞼の・・・扁平上皮癌か? もっと早く診せて欲しかった。 小さければ、まず生検して腫瘍の性質を確認して、 それから根治手術を考える。 しかし、下瞼を全部とってしまうと、眼球が維持できなくなるかもしれない。 立位で生検と、できるだけの摘出を兼ねて行うことにした。...
View Article45日齢の子馬が普通円虫の侵襲を受けている確証
解剖を頼まれて・・・ 前日から疝痛で、その朝、予後不良で安楽殺した、とのこと。 開腹手術するつもりはない、ということだったらしい。 空腸下部から回腸がグルグル巻きに纏絡していた。 こういう腸捻転は、生後1ヶ月以内はほとんどないが、1ヶ月齢を過ぎると起こるようになる。 どうしてなのかわからない。 固形物を食べるようになるからか、寄生虫の侵襲を受けるようになるからか・・・・...
View Article新生子牛の上腕骨骨幹粉砕骨折
日曜日に、子牛が上腕骨骨折している、と連絡。 土曜日のお産の途中で親牛が腰を落とし、子牛に無理がかかったらしい。 午後の延期できない手術が終わった4時に連れて来るように指示する。 月曜日も5例が来院する予定になっているし、キャスト固定もできない上腕骨骨折だから早く手術した方が良い。 しかし、粉砕している。治せるか? -...
View Article夜の開腹 空回腸捻転と結腸捻転
夜、8時前に呼ばれた。 繁殖雌馬の疝痛。 小腸閉塞のようだ、とのこと。子馬連れ。 開腹して回腸からたどると、すぐにグルグルに絡んでいて、暗赤色の小腸が見えた。 腹腔の中に余裕があるおかげでなんとか解けた。 回腸は点状出血がある程度の損傷だが肥厚している。吻合には使わない方が良い。 上位は明瞭に健常部と壊死部の境があった。 空腸下部から回腸までの腸間膜の血管を結紮止血しておいて、...
View Articleno rest, no lunch, no corona
朝、出勤したら、当番チームは難産が来てたいへんだったらしい。 そして、また疝痛馬が来るという。 当歳のときに、他の馬病院で腸管手術を受けているという2歳馬。 細身で健康な2歳馬の体形ではない。 ときどき疝痛を起こしていたそうだ。 癒着があるのだろう。 血液検査所見もひどく悪い。 直腸検査でも膨満した小腸ループに触れる。 超音波でも、完全に膨満した小腸が見えた。...
View Article子宮穿孔による腹膜炎の腹腔洗浄開腹手術
難産で来院歴がある繁殖雌馬が、帰ってからも調子が悪く、子宮穿孔が確認された、ということで来院。 子宮に手を入れると、左子宮角の途中に穿孔部が確認できる。 分娩途中で子宮穿孔したので羊水が抜けてしまい、難産になったのだろう。 子馬は難産で来院したときには死んでいたそうだ。 子宮は2層縫合。 汚れた腹水を排液し、生理食塩液を5リットルずつ入れて抜いてを4回繰り返した。 ドレインを残して閉腹。...
View Article壊死性膀胱炎?
50日齢近くになる子馬が、3日前から腹囲膨満、発熱、血液検査で炎症像あり、ということで治療したが、 腹囲膨満がひどく、チアノーゼがあり、一般状態も悪いということで来院。 そんな状態なら類症鑑別の一番は胃潰瘍穿孔だし、予後不良ではないか、と思ったが、来てみたら腹腔尿症だった。 腹腔穿刺して腹腔の尿を抜いたら、チアノーゼも改善された。 膀胱破裂なのだろうが、もう臍から膀胱は離れている日齢だ。...
View Articledeja-vu 妊娠末期の空腸捻転
妊娠末期の繁殖雌馬が疝痛で来院。 ひどく痛くて、開腹手術したら空腸の捻転だった。 しかし、妊娠子宮が大きくて、捻転部位を外に出せないし、操作しにくい。 どうしても解けないので、壊死部の空腸を切断し、片側は盲端にしておいて、壊死部を廃液ホースに使って内容を捨てたら、盲端にした側が引き抜けた。 大網が癒着したことによる空腸捻転だったようだ。 去年12月に発熱して体調を崩したことがある、とのこと。...
View Article嵌頓性臍ヘルニア
前の晩に生まれた子馬が疝痛で、臍が腫れていて、中に入っている腸を押し戻せない、と依頼。 嵌頓性臍ヘルニアなのだろうが、生まれてすぐというのは珍しい。 消毒しているところ。 切開したら腸管が見えた。 押し戻して・・・・ 新生子馬の臍には、臍動脈、臍静脈、膀胱がつながっているので、 それぞれを切断して臍を取り除いて、腹壁を縫うことになる。 (左が臍静脈断端、右が臍動脈断端×2と膀胱尖部)...
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