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Channel: 馬医者残日録
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胎盤停滞の落とし方

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日曜日の朝、来院した子宮穿孔の繁殖雌馬。

まだ後産が落ちていなくて、そのままでは子宮裂孔を縫いづらかった。

早く後産に落ちて欲しいので、オキシトシンを点滴し、臍動脈と静脈から水道水を入れた。

30分ほどで後産は落ちた。

ぶら下がった羊膜の中に臍動脈が2本。臍静脈が1本ある。

そこに、カテーテルを入れて、それに細めのストマックチューブをつなげて、ストマックポンプでバケツの水を入れた。

子宮裂孔を縫っている間に後産は下がってきて・・・

落ちた。

写真左側が妊角。右が非妊角。

手前が、子宮頚管開口部で、そこが破れて分娩する。

動脈にも静脈にも水を入れたので、膨らんでいる。

この方法は数年前にAAEPで発表された。

画期的な良い方法だと思う。


上位空腸炎と難産とTiebackと結腸左背側変位と・・・・

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夜、8時半に呼ばれた。

朝に分娩した繁殖雌馬が、その後疝痛症状を示し、ひどくはないが治まらないので来院し、

超音波検査で小腸膨満像があちこちで見えた、ので開腹する、とのこと。

開腹したら、空腸のなかほどで乾燥した内容が詰まっていて、そこより上位(吻側)が膨満していた。

引っ張ると素直に出てくる。

どこかへヘルニアしていたり、捻転している感じはない。

空腸上位部は厚さは感じないが、オレンジ色がかっていた。

            ー

その開腹手術の最中に、1時間ほどかかる牧場から難産の連絡。

地元の獣医さんを呼んでいるが、もうこちらへ運びたい、とのこと。

そのあと、地元の獣医さんから電話。

到着して手を入れてみたが、すぐに飼い主はこちらへ出てしまった、とのこと。

            ー

頭は来ているが、両前肢の腕節を屈曲している、とのことなので、すぐに全身麻酔する。

時間が経っているので、怒責が強くて立位で整復するのは難しいだろう。

母馬の後肢を吊り上げて、

勉強に来ていた女性獣医さんにチェーンをかけてもらう。

分娩予定日より3週間早く、流産のようだ。

子馬は死んでいるので、首にもチェーンをかけておいて、すっかり出てしまっている頭を押し戻す。

で、腕節の屈曲を整復して、引っ張り出した。

子馬はまだ小さいので簡単に出てきた。

            ー

これなら地元で出せたかもしれない。

これなら立位で枠場に入れて出せたかもしれない。

難産にまつわる検討はいつも結果論でしかない。

            ー

私は帰ったが、そのあともう1頭疝痛馬が来院した。

分娩予定日までまだ1ヶ月ある繁殖雌馬。

消化管破裂のようで予後不良。

剖検したら、小結腸破裂だった。

            ー

翌朝は、高齢の種雄馬も剖検。

髄膜炎だったようだが、「老衰」ということでよいのだろう。

            ー

昨夜開腹手術した繁殖雌馬は上位空腸炎だったようで、術後も痛みが続いた。

胃カテーテルによる逆流もある。

メトクロプラミドの入った持続点滴はオーダーしておいたのだが、加えてリドカインの点滴も必要になった。

幸い、リドカインの点滴には反応しているようだ。

            ー

午前中は予定のTieback.

その最中、2歳馬の疝痛の依頼。

来院したら予想どおり結腸左背側変位だった。

            ー

そのせいで午後の予定の関節鏡手術は延期してもらった。

午後は、予定の去勢、5歳競走馬。

         ///////////

別に忙しくもキツくもないよ。

相棒と散歩する時間はあったんだし、

なっ!

 

 

 

 

糞塊による小結腸閉塞

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休み明けで戻ってきたら、馬運車が3台とまっていた。

入院畜が複数いるみたいだ。

          ー

子宮穿孔を立位で縫合した繁殖雌馬。

結局、便の出が良くなく、腹膜炎になり、開腹手術したら小結腸の腸間膜が大きく破れていたそうだ。

小結腸は壊死していなかった。

          ー

NMS新生子不適応症候群の子馬。哺乳瓶で飲めるが、立てない。

          ー

前日から疝痛の3週齢の子馬。絶食中。

          ー

午前中に予定していた腕節の骨折の競走馬が来院した。

術前のXray画像は届いていない。

X線撮影しなおしたらchip fracture ではなくslab fracture 盤状骨折だ。

休養期間や予後が異なるので、あらためて馬主に連絡しなければならない。

結局、手術は延期。

急患ではないのだから、術前のX線画像を得て手術予定を組まないとこういうことになる。

予定もつまっているのに、予定をあけることになる。

          ー

当歳馬の胃内視鏡検査をしたが、胃潰瘍はなし。

それなら疝痛は腸閉塞だ。

おそらく小結腸。

と検討をつけて、空いた時間で開腹手術することにした。

小結腸に親の糞と思われるものが詰まっていた。

腸管は傷んでいなかったので、もみほぐして推送する。

              ー

続いて予定の上腕二頭筋滑液嚢炎の洗浄。

午後は喉頭片麻痺。

それから1歳馬の尺骨骨折のプレート固定。

こんだけやって、まあ5時には終わった。

 

 

開腹手術Day 1st case

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朝、放牧地でショック状態になった馬が来ると言う。

分娩後5日の繁殖雌馬。

状態はひどく悪い。

腹腔穿刺して腹膜炎を確認した。

細菌は形や大きさが異なる複数の種類が見えた。

しかし、この馬、膣にかなりの大きさの血腫があった。

それが化膿して腹腔へ開いたのかもしれない。

膣から血腫を切開して搔き出した。

ひどい腹膜炎であることは間違いないので、開腹手術することにした。

そして・・・・

腹腔内は消化管内容だらけ、安楽殺することになった。

盲腸便秘からの盲腸破裂だった。

               -

その間、生まれて3日目の子馬が腹囲膨満して来院。

あまり乳も飲めない。包皮がひどく腫れている。

X線撮影、超音波検査で消化管の気張と腹水増量。

浣腸したが胎便は出てこない。

腹腔穿刺したが、腹水も採れない。

              -

入院厩舎にはNMS 新生仔不適応症候群の子馬が二組入院している。

その他に母馬がPOIの親子も。

忙しい1日の幕開けだった。

to be continued

                       ////////////

冬に逆もどりしたように寒い。

朝は-8℃だった。

 

 

 

開腹手術Day 2nd case とその合間のNMS治療

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昼、分娩後の繁殖雌馬の疝痛の依頼。

来院しても痛い。

血液も悪い。

結腸捻転だろう、で開腹して問題ない。

予想通り結腸捻転。

けっこうひどかった。

                 -

私は、今週検査当番。

血液検査件数も多い。

子馬のベビーチェックに、分娩後の繁殖の不調に、すでに生まれている子馬の検査、etc.

                                -

NMSの子馬の片方は回復して、自力で起立できるようになり、親からも哺乳できるようになった。

IgGが低いようなので、血漿輸血することになった。

寝て、立って、オシッコ垂れて、乳飲んで、寝る。

が、新生子馬の生活。

それができるようになれば退院できる。

それができるようにならないと子馬は成長できないし、どんどん衰弱する。

                         -

すでに夕刻。

しかし、来院した24日齢の子馬がやっぱり痛い。

to be continued

                         /////////////

 

夜間放牧を終え、朝に一旦厩舎へ入る1歳馬たち。

開腹手術Day 3rd case and 4th case

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新生子馬は不思議なことに1ヶ月齢近くなるまで腸捻転はほとんどない。

しかし、この子馬は25日齢。

そろそろ腸捻転を起こしても不思議ではない。

で、開腹したら回腸での纏絡だった。

ぐるっと巻きついているのだが、幸い壊死していなかった。

空腸から捻転部位までパンパンに膨らんでいたが、内容を盲腸へ推送した。

SCMCを使った。

そでぃうむかるぼきしめちるせるろーす。

ぬるぬるで、癒着防止になる、かも。

              -

もう一頭、分娩翌日の繁殖雌馬が子宮穿孔が確認された、とのこと。

もう来院したらそのまま開腹手術する。

地元での診断どおり右子宮角の穿孔。

本日、4頭目の開腹手術。

子宮穿孔創を縫って閉じて、腹腔内の汚れた腹水を吸引して、生理食塩液を入れて抜いて、を繰り返して洗浄した。

終わって夜8時。

                 -

当番の獣医師は、その後、急変したNMSの子馬の死亡に立ち会わなければならなかった。

窒息死だった。

哺乳瓶でミルクをやるのはよほど気をつけなければならない。

強い吸引があるとき以外は哺乳瓶でミルクをやってはいけない。

子馬の口にミルクを流し込んではいけない。

子馬はむせることも、咳き込むこともなく、肺へ誤嚥する。

                 -

3回に分けて書いてきたが1日のことだ。

記録的な、1日4頭の開腹手術の記事、これにて終了としたい。

             ///////////////////

とうちゃんはこのごろかまってくれない

じぶんでもうふひっぱてきて

とおくながめてる

 

 

 

ひどい難産

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今年は難産が多い。

それも特別ひどいのが多いように思う。

例年、1-2頭しか帝王切開しない。

それを去年は8頭もやった。

今年は、すでに7頭。

4月の出産が最も多いので、このペースで行くと10頭を超えるかもしれない。

雪が少なく運動量は多かったのだろうと思う。

しかし、暖冬で胎仔が大きいのだろうか?

            -

夜中1時。

難産の依頼。

11時半に分娩が始まり、おかしいので獣医さんを呼んで、12時半からやってみたが、

頭頂部から来ていて、両腕節も屈曲している、とのこと。

ひどいようなので他の当番獣医師も呼び、研修の先生も呼ぶ。

来院して、全身麻酔の用意ができるあいだ、枠場に入れて手を入れてみるが、両腕節のそばに蹄も触る。

後肢も来てしまっている。

            -

帝王切開するつもりがあるか牧場に訊く。

家畜共済非加入の牧場なので、高額診療になる。

帝王切開するつもりはない。との回答。

            -

子宮弛緩剤を投与する。

全身麻酔して後肢を吊り上げ、潤滑剤を入れて、顔にチェーンをかけて引張ってもらいながらおでこを押す。1:50

それで鼻っ面が出てきた。

片方の腕節は他の獣医師がつかんで伸ばした。

もう片方は、中手骨にチェーンをかけて引張ってもらいながら、腕節を押して、それで届くようになった蹄から別なチェーンをかけて引張ってもらい伸ばした。

後肢をできるだけ押し込んでおいて、あとは引張る。

子馬の腰まで出てきたが、あとは男手4人で引張っても出ない。

子馬の胸椎の最後の方で切胎した。2:50

しかし、片方の後肢しか触れない。

もう片方は産道の外に何かの壁越しに触る。

子宮が破れて外へ出ているのかもしれない。

あきらめることにした。

             -

解剖場で開けてみる。

子馬の左後肢は画面の上、産道へ出ている。

子宮は、母馬の後から見て反時計回りに180°捻れている。

子馬の右後肢はその捻れた子宮を突き破らんばかりに押して、突き出している。

・・・・もし、出せるとしたら、胎仔を捻って、子宮を時計周りに反転させ、右後肢をなんとか引っ張り出して、両後肢を牽引して娩出させるしかない。

最初に推察したように、帝王切開の適応だったひどい難産だったと思う。

               //////////

先日、遠方からお客様がみえたので、うちの家族と馬に乗りに行った。

海が見えるトレッキングコース。

楽しんでもらえたようで良かった。          

 

この症状と経過で小結腸損傷だと判断できるか?

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分娩後34時間の繁殖雌馬。

分娩後不調が続いている。

便が出ない、

との稟告。

分娩による小結腸の損傷を疑うが・・・・

体温は38.1℃。

PCVは30台。

白血球は1万8千。

超音波では腹水の増量はない。

直腸検査すると、小結腸の膨満と結腸骨盤曲の膨満に触れた。

               -

間違いないだろう。

小結腸の壊死だ。

まだ待てるかもしれないが、腹膜炎が悪化してから開腹するより今やった方が良い。

開腹手術しましょう。

               -

私は間違っていた。

もう小結腸の壊死はひどくて、待てる状態ではなかった。

待っていたら・・・・破れて取り返しがつかないことになっただろう。

                 -

小結腸を切断して、上位の内容を捨てる。

壊死部を切除して、吻合した。

大結腸の内容も便秘様なので、骨盤曲を切開して内容を捨てた。

腹水の白血球は14万だったので、腹腔洗浄した。

ドレインを留置して、術後治療に備える。

手遅れにならなくて良かった。

              ///////////////////

ボーッと生きてたって いいよっ!!

 

 

 

 

 

 

 


結腸捻転と難産が重なって・・・・そしてまた

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第三当番だったので、呼ばれることはないだろうと、安心して寝ていたら難産で起こされた。

結腸捻転の手術中に、難産の依頼も来てしまった、とのこと。

獣医さんの話によると、両前腕節の屈曲を直したが、頭が出せない、とのこと。

来院して枠場で手を入れたが、頭がない。母馬は怒責する。

全身麻酔して後肢を吊り上げることにした。

怒責がなくなったらおでこは容易に触れた。

子馬の上顎にワイヤーをかけて引っ張ってもらいながらおでこを押して、鼻っ面から産道へ入るようにした。

あとは引っ張るだけ。

子馬は死んでいた。

          ー

話を聞くと、お産の最初に頭しか出てこなかったので頭を押し込んだのだそうだ。

頭しか来ていないときは、さらに手を入れて腕節をさがし、腕節を伸ばしてやると当たり前のお産になる。

頭をあまり押し込むと、その頭が直せなくなる。

頭はつかみ所がないので、前肢より直すのがたいへんだ。

          ー

さらにその後、難産が1頭来たらしい。

          ー

翌朝、私に難産の当たりのキラーパスを送った獣医師にタッチしておいた;笑

「一度かかると免疫が出来てかかりません!」とのこと。

それじゃ、別のヤツにうつしてやらないと;笑

          ー

きのう夕方は結腸捻転。

今月、開腹手術が何頭になるか、数えてみるかな。

        /////////

わっ、雪だ。

こんなに積もったが、日中にはとけた。

もう日差しの長さと強さがちがうんだね。

 

 

尺側手根骨掌側骨折の関節鏡手術

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競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。

橈骨遠位内側の骨折だが、尺側手根骨にも骨片がある。

珍しい箇所の骨折なのだが、最新の本には記述がある。

               -

手術台に乗せてから、しげしげと手根間関節を触ると関節液のわずかな増量があった。

手根間関節に針を刺して膨らませると、掌側外側もはっきり膨らんだ。

これも通常の症例ではあまり見られない。

               -

尺側手根骨の骨体の遠位部は、なんと背外側からもアプローチできることがあるらしい。

やってみた。

が、この症例では損傷部位らしき箇所を観ることはできなかった。

それで、掌側外側からスコープを入れなおした。

              -

病変らしい部分は、尺側手根骨に靭帯質の関節包が付着している部位。

周囲に出血の痕などはなかったが、発症から日にちが経っているためかもしれない。

あるいは、骨折は新しいものではなく、本当に古いものなのかもしれない。

関節包の中から掘り起こすように骨片を摘出し、

Xrayで骨片が消えたのを確認した。

             -

今度は、橈骨手根骨関節に背側からアプローチ。

いつもやっているように、橈骨遠位関節面の内側の辺縁の骨片を剥がして摘出した。

                                     ー

夜、入院している牧場から、「フルニキシンを投与しても痛かったので、鎮静剤を投与してもらったけど、また痛い」

との電話。

誰にうってもらったのだろう?と思いながら、

「すぐ行きます。」と答えたら、

「ちがうんです。牧場でほかの馬がはらいたしてるんです。」

そうですか、じゃあすぐ来て下さい。

             ー

まだ宵の口なので、他の当番獣医師も呼ぶ。

来てみたら案の定結腸捻転だった。

終わって、10時半。

             ー

1時半に起こされる。

難産。とのこと。

来院したが、もう馬運車の中で立てない。

ほかの当番獣医師も呼ぶ。

ホイールローダーで運びこむしかないし、運び込んで麻酔して難産介助するしかない。

が、死んでしまった。

ひどい腹腔内出血を起こしていた。

終わって3時半。

             ー

朝6時から2頭いる入院馬の治療をしていたら、当歳馬の疝痛の依頼。

超音波でみると小腸の完全膨満像がいくつも見えた。

2週齢の当歳馬なのでX線撮影も有効だ。

ひどく膨満している。

ほかの当番獣医師も呼ぶ。もう起きているだろう。

案の定、親の糞塊を飲み込んだことによる空腸閉塞と、それによる根部捻転だった。

            ー

夜中に、先生はいつ寝てるんですか、と訊かれたので・・

こんな感じです;笑

あ~3月の開腹手術頭数は26頭でした。

たぶん4月は30頭を超えるでしょう。

           ///////

朝はまだ寒い。

体が寒さに慣れているし、日中気温が上がるし、夜明けが早いので感じないが、実は11月よりも寒い。

とうちゃんとぬくぬく

 

 

喉なりの手術と外傷と臍ヘルニアと当歳の小腸捻転と子牛の臍静脈膿瘍と胸膜肺炎

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きょうは、午前中は、2歳馬の喉頭片麻痺とDDSPの手術。

その前に、外傷と臍ヘルニア、を頼まれたが、喉の手術が終わってからにする。

喉の手術の最中に、当歳馬の疝痛の依頼。

「外傷と臍ヘルニア」が終わってからにする。

その間に、1歳馬の疝痛の依頼。

入院厩舎に入れて様子を観ることにした。

さすがに、1時からの予定の子牛の臍静脈膿瘍の手術は30分遅れにしてもらう。

臍からの化膿は肝臓の中まで続いていた。

麻酔は子馬子牛用の吸入麻酔器で。

お試し中。

続いて、「あがり馬」の胸膜肺炎。

胸腔穿刺を左右で。

                -

次から次へと手術が続くと、器具や器材の滅菌もどんどんやっていかないとならない。

オートクレーブも大活躍。

朝から晩まで、いや夜中も動いている。

本当は冷ましてから使ってください、ということになっているが、冷える暇がない。

そのうちインジケーターに、「もう働けません」って表示されるかも;笑

                /////////////

冷たい雨が降って、相棒は濡れてしまった。

いつも体を拭いてやるタオルをちらかしていた。

自分で拭こうとしたみたいだ。

まあ、おりこうさん。

 

 

麻酔覚醒起立時の水平線の効果

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今度は、青いガムテープで、覚醒室の壁に水平線を引いて、麻酔の覚醒起立の質が良くなるか観察している。

さあ、どうだ?

なんか前より良い気がするんだけど。

前より悪いということはない。

前よりはるかに良いということもない。

しかし、前より良いような気がする。

                 -

あとは、また斜めの線をひいて、馬を覚醒起立させてみたい。

それで傾いたほうへ倒れることが多くなるなら、麻酔覚醒起立時の馬が壁の線の水平や傾きに影響を受けている確証になるだろう。

しかし、それは実験馬でないうちの患畜ではできない。

実験馬で馬を麻酔することがある方、やってみませんか?

                ///////////////

新装版 殉死 (文春文庫) 司馬遼太郎 文藝春秋

「坂の上の雲」を読み終えてしまった昂奮の中で読んだ。

司馬遼太郎師は、日露戦争後あまりにもてはやされ、軍国主義教育に利用された乃木への疑念があったのだろう。

しかし、批判、糾弾する書になっていないのは、歴史作家としてさすが。

 

               

Madigan Loop Rope

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午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。昼は、血液検査業務。64件だった。血清分離にも時間がかかる。手術室では、競走馬の腕節の関節鏡手術と、腕節滑液嚢の外骨症 exostosis のチェックと、去勢。         ー夕方、難産の依頼。1時半から分娩が始まって、頭も前肢も来ていなかったのを、頭と片方の前肢を直したけど、後肢の蹄も来ていて・・・とのこと。来院してすぐ全身麻酔した。帝王切開も考えていたが、なんとか出せそうなので、引っ張り出した。         ー全身麻酔してからは、1時間足らずで娩出させられたのだが、もう4時間ほど苦悶した母馬。目は覚めて、前肢は立とうとするが、後肢を伸ばしたまま犬座姿勢になった。後躯を上げられそうにない。それで、Madigan先生に教わったLoop Rope による起立介助を行った。うまく行った!ホームセンターで売っている(ネットで探した方がサイズがそろっているけど)荷揚げ用のループスリングを2本使った。もう2本使うと、前躯も持ち上げることができる。カリフォルニア大学獣医学部の内科学教授がこれを教えてくれたのだから、馬の臨床って奥が深く、経験と工夫が必要なんだよね。         //////////闘いすんで日が暮れて。颶風の王 - 馬医者修行日記文庫本になって本屋に並んでいたので・・・颶風の王(角川文庫)河崎秋子KADOKAWA颶風とは強く激しい風のことだそうだ。雪崩に馬と埋められて、互いの血をすすり毛をかじり、肉をくらって生き延びた母。気のふれた母を置いて、北海道に渡った息子。祖父に馬の扱いを教えられたその孫娘。孫娘は、孤島に置き去りになった馬を気にする老女となり、その孫娘は・・・なんと”十勝”畜産大学の学生になっている。-東北から北海道へ続く、人と馬との生活の歴史。かつてはいくつもあちこちにあったのだろうと思う。馬という人ともっとも密接に生きてきた動物への思いと歴史を感じさせてくれる小説。-最後のパートは、ユルリ島の馬がモデルになっているのだろう。オヨバヌトコロに居る馬達も、維持されるようだ。ーーーひどく風が強い。これから年末年始にかけて冷え込んで...颶風の王
颶風の王 - 馬医者修行日記颶風の王 - 馬医者修行日記

ホルスタイン育成牛の下顎骨折

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4ヶ月齢のホルスタインが、下顎の結合がはずれてしまった。

午後に異常を発見され、その日のうちにX線検査され、次の日の午後には手術のために来院した。

それでもひどく腫れている。

眼は少し窪んでいた。

エサも食べれていないそうだ。

X線画像ではこんな。

口にFPD(DRなのでふらっとぱねるでぃてくた)を押し込んで撮影すると、

まあ、みごとに左右に分かれている。

幸い、左右に分かれているだけで、骨体は破壊されていない。

口の中には大きな割れ目ができているので洗浄する。

骨鉗子で挟むと整復できた。

ドリルで孔を開け、ラグテクニックで長め(56mm)の4.5mmセルフタップスクリューを入れた。

突き抜けた先にはナットをかませた。

スクリューヘッドとナットに引っかかるようにワイヤーで締結した。

もう少し切歯に近いところへ入れたいところだが、切歯の根部に当たるようだった。

スクリューは1本にして・・・・

歯肉を縫合してから結束帯で締めた。

しっかり効いた。

プラスチックの結束帯はそのうちはずす。

スクリューとワイヤーも、しっかり治癒したら抜いておいたほうがよいだろう。

                        -

スクリュー固定やワイヤー締結の技術や道具がなかったら・・・・

口の中の傷を洗って、歯肉を縫合して、結束帯で左右から締めておくだけでも治るかもしれない。

                    /////////////////

日中はあたたかくなったが、朝はまだ寒い。

 

 

 

膀胱破裂の子馬が心停止した

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遠い診療所から、不調の子馬の診療依頼。

生後2週間になるが、きのうから元気がなく、T38.6。

で、畜主はもうこちらへ向かって出てしまった、との連絡。

           ー

昼過ぎに来院したら、母馬から哺乳はしている。

しかし、腹が張っている。

超音波で観たら、腹水がいっぱい。

膀胱破裂か?

しかし、もう2週齢になっていて、膀胱破裂する日齢ではない。

腹水を抜いて、クレアチニン・BUNを測ってみる。

しかし、ルーティンの血液検査業務中で割り込み検査は迅速にはできない。

その間に、留置針を刺して腹水をできるだけ抜く。

腹腔尿症で腹囲膨満した子馬は、腹圧で呼吸しにくくなっており、いきなり麻酔をかけて仰向けにするのは危ない。

腹水のクレアチニンは30を超えていた。

腹腔尿症でまちがいない。

         ー

子馬は倒れてしまっているが、かなり腹水は抜けて、腹圧をさげることはできた。

もう留置針ではポタポタしか抜けない。

大網などが針先を覆ってしまうのだ。(14Gを4本刺していた)

生理食塩液の点滴も始めていた。

膀胱破裂では、高カリウム血症になっていることが多い。

それを補正するためにカリウムが含まれていない輸液剤を使う。

         ー

マスク導入して吸入麻酔を始め、手術台に乗せて、私は手術の準備を始めていた。

手術室からガシャガシャと音がする。と思って覗いたら、

心マッサージをしていた。

(人では最近は「胸骨圧迫」と呼ばれる。しかし、馬は胸が左右に平たいので、肋骨圧迫になる)

心電図モニターはフラット。

聴診器を持ってきて心音を聴くと、わずかに規則正しい音がする。

子馬の口の色はチアノーゼ、貧血、まだらに黄色い。循環してない。

吸入麻酔薬は無しにして、ベンチレーションは続いている。

エピネフリンを静脈注射して・・・・・

心電図は、おかしな波形が出た。

電極の接触が悪い。

微弱とは言え心音があるのだから、まったくのフラットのはずはない。

           ー

まともな波形が出るようになって、子馬の口の粘膜の色は回復した。

心拍が戻ってきたのだ。

早く開腹して腹腔内にある尿を排泄させたい。

そのことで、血清カリウムも下げられる、はず。

ブドウ糖も点滴している。

インシュリンは用意していないが、ブドウ糖とインシュリンは、細胞内へのカリウムの取り込みを促進してくれる。

           ー

傍正中を切開して、腹腔内の尿を排泄させる。

生理食塩液を腹腔へ注いでもらって、また捨てて、さらに生理食塩液を入れる。

膀胱は、一番破裂しやすい背中側で小さく破裂していた。2cmほど。

そうしている間に、また心停止した。

P波もなく、QRSでもない、ノコギリの刃のような形をした大きな波がモニターに出ていた。

口粘膜の色は、また貧血、チアノーゼ、薄い黄色と薄紫のまだら。

それでもまた心拍は復活した。

           ー

「難産が来ます。○○歳で、○○時から。おでこしか触らない。」

しかし、目の前の子馬は死にかけている。

いつまた心停止を起こすかわからない。

覚醒室へ運び出しても輸液を続け、心電図モニターは着けておいた方が良い。

心停止したら、心圧迫をして、救急薬を投与して、さらに血圧維持?復活?させるための輸液剤も考えた方が良い。

(続く)

         ///////////

ようやっとあたたかくなって、夜も外で寝るようになった。

夜明けも早い。

 

 

 

 

 


膀胱破裂の子馬が心停止した part2

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麻酔導入後、手術前、手術中に心停止した膀胱破裂の子馬は、覚醒室では心停止は起こさなかった。

覚醒起立は遅れたが、立って、また遠方へ帰って行った。

5時間くらいかかるらしい。

その様子を、難産に対応している別の部屋から観ていた。

           -

来院した前日から具合が悪かった、とのことだったが、

よく聞くと、さらにその前日からおかしかったとのこと。

膀胱破裂して、破裂孔が小さかったので、徐々に腹腔尿症になり、

脱水と、電解質異常が進行していたのだろう。

           -

緊急状態が落ち着いてから採った動脈血のカリウム値は6.9。

やはり高カリウムが一番の問題だったかもしれない。

しかし、あとで出た手術前の血清電解質は、Na、K、Clはのきなみ低かった。(130、3.1、90)

           -

心停止も、

心停止を心臓が止まってしまうこと、と思っている人がいるが、医療者としてはそれは間違い)

まったくのフラット;心臓の電気活動がなくなった時間があったのか、

無脈性電気活動 PEA だったのか、

心室細動 VF だったのか、

無脈性心室心拍 plusless-VT だったのか、

わからない。

心電図モニターはフラットだった時間があったが、電極の接触異常もあった。心マッサージもしていたので、電極が外れても仕方がない。

私がモニターを覗いたタイミングでは、PEA 無脈性電気活動の波形を観たこともあったし、

無脈性心室心拍の波形も観た。

           -

高カリウム血症だったか、どの程度だったかは今となってはわからない。

しかし、高カリウム血症は重症の結腸捻転でも起こすので、対処法は知っておかなければならない。

           -

サラブレッド生産地の獣医師は膀胱破裂には慣れていて、見当をつけたらすぐに連絡して二次診療施設へ送ろうとする。

しかし、半日手遅れになれば死んでしまうような病気なので、二次診療施設へ送るときには腹腔穿刺して腹圧を下げておいてもらいたい。

輸液は慎重にしなければならない。

輸液すればするほど尿量が増え、それが腹腔へ漏れるからだ。

電解質異常は高カリウムに注意すべきだが、子馬は成馬ほど高カリウムになるとは限らないように思う。

カリウムを豊富に含んだ草は食べておらず、乳しか飲んでいないからだ。

二次診療施設も、急患であり、夜中に来るのも多いので、慎重な対処が難しいが、手術前、麻酔前の評価は重要だ。

血清生化学検査は血液凝固して血清分離してからになるが、ヘパリン血漿を利用してでも電解質、尿毒症、血糖値などを把握しておきたいところだ。

             -

翌日も膀胱破裂の子馬の診療依頼が来た。

腹水を抜いたか尋ねたら、「100mlくらい抜いた」との返事。

もっと抜いてから輸送するように指示した。

1.5ℓ抜けたそうだ。

麻酔も手術も、問題なく終わった。

            ///////////

もう薪ストーヴを焚かない日もある。

日曜日は冷たい雨が降って、

朝、ストーヴを焚きつけた。

暖かくなり、桜の話題が本州から届いている。

冬は名残惜しくもないが、薪ストーヴが焚けなくなるのは残念でもある。

 

 

 

 

 

 

後膝の漿液腫

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1ヶ月前に後膝を怪我した1歳馬。

性格に問題があって、きちんとした外傷処置ができなかったらしい。

後膝の前?上?獣医学的には頭側、あるいは膝蓋骨の皮膚、に肉芽の塊ができてしまった。

曲がると飛び出す。

切除して欲しいと頼まれて、触ってみると皮膚の下に茎状の塊がある。

肉芽部分の皮膚を切除し、その奥にある結合織の塊を完全に摘出した。

もっとも奥は、内腔を持っていた。

内層を2-0monocryl で十字縫合し、皮下織を2-0monocryl で十字縫合し、

皮膚は、0monocrylでステント縫合した。

曲がるととてもテンションがかかる。

開かなければ良いのだが。

                                 //////////////

ムスカリ

クロッカス?

春の妖精 spring ephemeral って呼んじゃいけないんだな。

 

新生子馬の腓腹筋断裂のキャスト固定

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子馬はお産のときに腓腹筋断裂を起こすことがある。

実際には、筋断裂というより、大腿骨への腓腹筋付着部が剝がれている。

大きな血腫が形成され、貧血し、黄疸が出たりもする。

何より寝起きができなくて、あきらめられていることが多い。

内出血がひどいと、貧血で死んだりもする。

                -

大腿部に血腫ができている新生子馬がいるので診てほしい、とヴェテランの先生から電話。

大腿骨折か、あるいは腓腹筋断裂、と検討をつけて待つ。

来院したら、腓腹筋断裂のようだ。

片方だし、程度としてはひどくない。

腓腹筋断裂すると、飛節を引きあげられず、飛節が地面まで落ちて後膝が伸び、飛節は屈曲してしまう。

後膝をキャスト固定することはできないが、飛節を伸びた状態に保ってやると子馬は立ちやすくなる。

ということで、

キャスト固定した。

数週間の看護・介助が必要だ。

                                         ー

二日後、キャストの緩みと当たりが心配されて連れてこられた。

子馬の立ち方、歩き方はこの障害としては良好。

1週間はこのキャストのまますごしてもらうことになった。

              ---

夜中に、難産で切胎したけど、下半身が出せない、と相談の電話が来た。

母馬は、獣医師が到着したときには起立不能で、連れてはいけない、とのこと。

できるアドバイスはしたが、翌日剖検に運ばれてきた。

この状態で産道へ入ってきていた。

左の飛節はひどいかっこうで屈曲している。

奇形か?と思ったが、腓腹筋断裂していた。

                  //////////////////

臨床はとても面白い。

スリリングでエキサイティング。

馬の臨床をやるなら生産地だ。

 

 

横隔膜ヘルニア連戦

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朝、出勤したら、子宮穿孔で入院している馬の腹腔ドレインが夜中に抜けたのを入れ直す、とのこと。

午前中は、3歳競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。

その前に、繁殖雌馬の疝痛の依頼が来たが、予定の関節鏡手術は終わらせてしまうことにした。

その繁殖雌馬は、先に子馬を小腸閉塞で手術している。

開けたら、空腸のやっかいな纏絡だった。

どうやら大網と絡むことで、空腸同士も複雑に絡んでしまったらしい。

傷んだ空腸は切除吻合した。

            ー

午後1時は去勢。

私は臨時で血液検査。

午後2時に分娩後3日の繁殖雌馬が不調で来院。

地元の獣医さんは、子宮穿孔を疑っている。

覚醒室では、まだ先の開腹手術の馬が寝ている。

で、分娩3日後の疝痛馬は・・・・・腹水はない。左胸腔には胸水が見えた。

右胸腔には、大腸らしき像が見える。

呼吸はおかしい。努力性。

口粘膜はチアノーゼ。

PCV53%。

横隔膜ヘルニアだ。

いつもよりかなり頭側を切開した。

横隔膜ヘルニアであることを確認したら、胸骨剣状突起まで術創を切り伸ばす。

横隔膜の正中ちかく、右寄りが20cmほど裂けていた。

分娩末期の腹圧か、分娩時の圧力で破れたのだろう。

大結腸が胸腔へ逸脱している。

引き抜くのはちょっと苦労した。

横隔膜は筋部と腱部でできているが、腱部まで裂けていた。

腱部は先に縫ってしまった方が良い。

ほとんど閉じた頃に呼吸に合わせて横隔膜は激しく動く。

そうなると糸で引っかけても腱部は裂けてしまうからだ。

肝臓が邪魔なので助手にどけてもらい、麻酔器のヴェンチレーションによる横隔膜の動きに合わせて縫合した。

             ー

その手術中、斜頚の当歳馬が来院。

膿瘍切開になったらしいが、私は横隔膜を縫っていて診ていない。

             ー

横隔膜ヘルニアの覚醒中、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

分娩から1ヶ月近くのうちに3回疝痛を示し、今回はひどい。

出産までは疝痛を示したこともなかった、とのことなので、分娩でどこかが破れたのだろう。

血液所見はそれほど悪くない。

超音波検査で・・・・胸腔に液と腸管が見えた。マジか?

うちは年に120頭ほど開腹手術するが、横隔膜ヘルニアは年に1頭か2頭あるかないかだ。

私はもうおなかいっぱい。他の獣医さんに執刀してもらう。

今度は正中左よりが大きく裂けていた。

傷の辺縁は陳旧化し丸い。

胸腔へは大結腸と小腸が逸脱していた。

抜き出すのは1頭目よりたいへんだったようだ。

             ー

この4日間、JRAの先生が生産地研修の一部として滞在されていた。

4日間で・・・開腹手術5頭?6頭?の助手をしていかれた。

トレセンの開腹手術の1年分だろう。

でも、現役競走馬は、子宮穿孔や横隔膜ヘルニアは起こさない。

              ー

終わって夜9時、昼に開腹した馬が入院厩舎で疝痛を示している。

術後イレウスPOIかもしれない。

胃カテーテルを入れたが逆流はない。

大事をとってリドカインを持続点滴に加えた。

             ー

朝5時。

きのう腸管手術した3頭の入院治療を始める。

3頭になるとカルテを持ち歩かないと、所見も覚えられない。

採血管にも名前を書いておかないと、どれがどれだかわからなくなる。

さいわい、どの馬もそれなりに順調だった。

そして、7時半また疝痛の依頼が来た・・・・

          //////////

オラはもうあつい

ひるねはひかげにかぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

黒毛2ヶ月齢 脛骨螺旋骨折

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午前中、大腿骨骨折が治った黒毛和種子牛のプレート除去手術。

プレートを抜く手術だってけっして簡単ではない。

手術を始める前に、黒毛の2ヶ月齢の脛骨骨折の依頼。

1頭目の手術が終わるころを目指して来てもらう。

脛骨骨幹中央部でのピースがある斜骨折。と見えるだろうが、

角度を変えると、螺旋骨折の亀裂は遠位骨幹端まで伸びている。

骨折部が著しく長く、そしてピースもあるやっかいな骨折だ。

キャストは上手に巻けていて、このままキャスト固定で治らないか?と思うかもしれないが、

キャストにはこれ以上の保持力はない。

子牛が体重をかけたら、骨折部でピースが変位して、骨折部は騎乗変位し、脛骨自体は角状変形するだろう。

脛骨稜上を長く切開する。

尾側外寄りにあるピースを骨鉗子で圧迫できないかやってみる。

骨に沿うように曲げたDCP ダイナミック・コンプレッション・プレートを内側に当ててみる。

骨幹端には6.5mmキャンセラススクリューを使った。

できるかぎりbi-cortical 、つまり対側皮質にもスクリューが効くようにした。

ピースにも刺さって固定できているはず。

Double plate fixation もかなりやったなあ。

手術時間は正味2時間足らずだった。

麻酔から覚めた子牛は、キャストなしで歩いて帰っていった。

                 /////////

 これは先日のまた別の牛。

現在、子馬・子牛用の吸入麻酔器をお試し中。

吸入麻酔の話はまたそのうち。

 

 

 

 

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