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Channel: 馬医者残日録
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早産子馬の新生子不適応症候群NMS

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その子馬は胎盤炎で、2週間早く生まれてしまった。

生まれて半日は元気で、起立し、親から哺乳できたが、そのあと立てなくなり、foal squeezeにも反応せず、夜中じゅう暴れたらしい。

翌朝、運ばれてきた。

で、鎮静剤を投与したが、あまり効果がない。

頸静脈カテーテルを留置して輸液を開始する。

膀胱破裂を予防するために尿道カテーテルを留置する。

子馬はすでに暴れて目の周りを腫らし、擦りむいてもいた。

鎮静剤を投与しても暴れるので、牧場の人は馬房でつきっきり。

母馬は・・・・・あの有名馬のおかあさんなのだが、危ない馬。

耳を倒して、咬みに来る。

後肢は削蹄できない馬だそうだ。

子馬は持続点滴にジアゼパム(精神安定剤)を混ぜたがそれでも暴れる。

夜中は、牧場の人にシリンジを渡して、必要な時にはポートから投与するよう指示した。

でないと、目も離せない。トイレにもいけない。

              ー

翌日、子馬の状態は安定していて、寝たまま指を強く吸える。

吸いたくて、あちこち吸い付いてくる。

哺乳ビンでミルクを飲ませたら、3時間ほどおとなしく寝た。

立つ気になったタイミングで介助してやるとなんとか立てるようになったので、

母馬のところへ吸いにいく練習をした。

おかあさんには鎮静剤を投与した。

子馬は一度立つと今度は自力で寝れない。

胸を締め付けて寝かせた。

これがfoal squeeze の基本作用。

さらに翌日、子馬は自力で起立できるようになり、母馬も鎮静剤を投与しなくても乳を飲ませるので、退院とした。

            //////////////

今日は、午前中1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

当歳馬の皮下膿瘍のデブリドと洗浄。

2歳馬の去勢。

当歳馬の鼻骨陥没骨折のプレート固定の予定だったが、状態が良いので中止した。

明日もプレート固定の予定が入っている。

 

 


尺骨骨折・腓腹筋断裂・上顎損傷・DDSP・EE・第一趾骨骨折・中足骨部外傷

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ゆうべは私は呼ばれなかった。

他の獣医さんたちは・・・・

夕方、腸炎の子馬が来院、そのあと難産が来て、さらにそのあと結腸捻転の開腹手術でほとんど朝方になったらしい。

私は、前日に連絡を受けて準備していた1歳馬の尺骨骨折のプレート固定手術でスタート。

詳しくは別の機会に。

プレート固定が終わったところで、先週キャスト固定した新生子馬の腓腹筋断裂がキャスト交換に来院。

キャストをはずして自力で歩いて帰っていった。

そのあと、急患で、上顎を蹴られて鼻が上顎骨からめくれてしまった子馬が来院。

乳も飲めないそうだ。

剥がれてしまった鼻を縫って上顎骨へ張り付けた。

骨折としての治療はしなくても大丈夫のようだ。

しかし、鼻中隔などの変形がどれくらい残るかわからない。

午後は、予定していたDDSPの軟口蓋Laser焼烙。

EEの切開。

そのあと、2時半から第一趾骨縦骨折のスクリュー固定手術。

さらに、その手術の間に連絡が来た1歳馬の中足骨部の外傷。

全身麻酔して縫合した。が、癒合は望めまい。

              ー

やれやれ、疲れないかって?

疲れるさ。でも治す方法があって、つぎつぎ腕をふるえるのはとても楽しいことだ。

           /////////////

ねてたらすぐつぎのごはん

たのしいことです

 

1歳馬410kgの尺骨骨折

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この1歳馬、どうやら他の馬に蹴られたらしい。

肘の骨折部の皮膚にわずかな傷があった。

2月生まれで410kgある大きな1歳だった。

当歳馬の尺骨骨折は生産地では毎年のようにお目にかかる。

変位していなければ、温存で大丈夫なことが多い。

しかし、馬が大きくなると上腕三頭筋の牽引も強力になり、立っている時間も長くなる。

当歳馬の尺骨骨折が、温存でも手術でも治りやすいからと言って、あまく見るとたいへんなことになる。

                    -

9孔のナローLCPを使うことにした。

ナローのDCPの8孔・9孔が在庫がなかったのだ。

そして、DCP固定よりLCP固定の方が強度に優れている。

頑強な固定ができれば、早く痛みもとれるはず。

近位部に3本。遠位部に3本。そして骨折線を貫くように3本screwを入れるよう考えた。

骨折線を貫くscrewはlag法でいれても良いが、position screwとして入れても良い。

プレートの1箇所に力がかかるのを分散してくれる、はず。

                    -

近位から3つ目のscrew holeに5.5mm皮質骨screwを入れた、が完全には締めない。

遠位から3つ目のscrew holeに4.5mm皮質骨screwを入れて、compressionをかけた。

近位部は外側へ変位していたのだが、外から押し付けておいてcompressionをかけたら、うまく密着してくれた。

                    -

骨折線を貫くように5.5mm皮質骨screwを入れた。

あとはLocking Head Screwを4本入れた。

尺骨骨折のプレート固定では、とくにLCPにLHSを使う場合は、screwが尺骨からはみ出さないか注意が必要。

そして、7ヶ月齢を過ぎていたら橈骨の尾側皮質をscrewが貫いていて構わない。

しかし、橈骨の頭側皮質にはドリル孔を開けない方が良い。

橈骨の強度が落ちてしまう。

                                       -

成馬(この馬は1歳だが)の上腕三頭筋の牽引力は強大。

ナロープレートにその力が繰り返しかかると勤続金属疲労で折れてしまう。

骨折の形状にもよるが、プレートの破損を防ぐ固定が必要。

                 //////////////

 重機でカシワ林の中に造られた切通し道。

このあたりの山が、火山灰地でできていることがわかる。

そして、大きな樹がならんだ林でも、樹も笹もわずかな表土だけで生きていることが見て取れる。

削っちまったら、簡単には再生しない。

吸入麻酔ことはじめ

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私が今の職場で勤め始めた1985年頃、馬の長時間手術はハロセンの吸入麻酔器でやっていた。

吸入薬ハロセンは呼吸抑制が強くなく、自発呼吸が続くので人工換気 ventilation なしで麻酔状態を維持できる。

モニターは何もなかった。

そのうち心電図と呼吸はモニターするようになったのだったか。

もっとも吸入麻酔頭数自体が、年に20-30頭くらいだっただろう。

           ー

馬の麻酔の研究はJRAが熱心にやっていて、そのリポートから麻酔中の輸液の必要性を知って、私も実践しようとしたら、先輩獣医師に、

「必要ない」「誰が費用を負担する」

と言われた。ような時代だった。

           ー

生産地研修に来られたMZN先生が、

「オレは麻酔の専門家や」と言って、人工換気による吸入麻酔のメリット・デメリットを講義してくれた。

とてもわかりやすく、いまだに私の吸入麻酔理解の基礎になっている。

           ー

私が関節鏡手術を始めたのが1992年。

初年度から30頭ほど関節鏡手術したし、年々増加した。

安定した、安全な吸入麻酔が必要だと感じていた。

しかし、その頃JRAのトレセンで使われていた人工呼吸器はメカニカルなものでトラブルが多い、とも聞いていた。

USA製なので故障が起きると修理に時間がかかり、そのためにJRAでは予備の麻酔器も用意していた。

資金も置き場所もなく、業者から遠いこちらではそれでは困る。

           ー

麻酔外科学会で関節鏡手術の講演をしに行ったら、人工呼吸器がついた吸入麻酔器が展示されていた。

”動物用”となっていて、「馬にも使えるか?」と訊いたら「使えます」との返事。

「本当に使えるか? 生産地では、50kgの子馬から500kgを超える成馬まで使いたい。」と言ったら、

「やってみないとわからない」と言う。

展示場へMZN先生を連れて行って、どうでしょう?と観てもらったら、

「トレセンへ持ってこい。試験してやる。」と業者に言ってくれた。

           ー

1年ほど経って、

「できたぞ。子馬から競走馬まで麻酔できるようになった。」

と電話が来た。

やはりヒト用を動物用にアレンジしただけでは成馬には使えず、

換気量を大きくし、チューブなどを太くすると死腔が大きすぎて子馬にはよくないので、

子馬にも使えるように、と考えて改良してくれたとのこと。

その吸入麻酔器を導入したのが、1995年頃だったろう。

             ー

吸入麻酔剤はハロセンからイソフルレンになった。

イソフルレンは、ハロセンに比べると循環抑制が少ないので、麻酔中の口粘膜の色が悪くならずピンクなのが驚きだった。

しかし、呼吸抑制が強いので、麻酔担当者が人工呼吸器で換気して管理することになる。

自発呼吸とちがって圧をかけて空気を送り込んで肺を膨らませるので、肺胞の圧が高くなり血管を押しつぶす。

血圧もモニターしなければならないし、動脈ガスもモニターしなければならない。

当初は、吸入麻酔器の上に乗っかった呼気吸気中の麻酔ガス・酸素・二酸化炭素をモニターしていた。

動脈ガスはポータブルのカートリッジ式血ガスモニター装置で測っていた。

             ー

振り返れば、人工換気の吸入麻酔器を導入してから四半世紀だ。

その麻酔装置自体は今でも働いてくれている。

今では年間400症例近いだろう。

馬の外科の進歩と普及は、安全で安定した麻酔に負うところが大きい。

                                            /////////////

冬が終わっても薪stoverの薪仕事に内終わりはない。

また来冬にそなえて薪を準備しないと。

 

 

臍静脈膿瘍

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子牛は臍静脈が膿瘍化してしまうことがある。

元気・飲乳不振、発熱、成長遅延、削痩、などが症状。

血液検査で炎症像・感染像があり、超音波画像診断で臍から肝臓へと続く管状の膿瘍が見つかる。

抗生物質投与で治療するが、完治しないと、一度は症状が落ち着いてもぶり返す。

膿瘍をなんとかしようと、外科手術が選択される。が・・・・・

3週間前に造袋術をやった子牛は感染が治まらずダメになった。

              -

今日、午前中はそんな子牛の開腹手術。

手術室で、滅菌ガウンと滅菌手袋を着け、吸入麻酔で手術した。

太いチクワのようになった臍静脈。

(食べ物に例えるのはやめろ!)

中にはクリーム状の膿が入っている。

”乾酪”というがチーズのこと。

チーズにもクリームチーズとか、くさいブルーチーズとか、もろもろのカッテージチーズとかあるからね。

(だから食べ物に例えるな!)

造袋術、といって、膿瘍が管状であることを生かして、

体外へ膿が廃液されるように固定する方法をやろうとした。

しかし、とても奥まできれいになるとは思えない。

吸引するが、ドロドロの膿は吸えない。

マックシェイクはストローで吸いにくいのと同じ。

(だから飲み物も連想するな!!)

結合織が増勢していて、管としてはつまり気味。

できるだけ引張り出して、肝臓近くで切断した。

まるでホヤみたい。

(生ものはとくにやめろ!!)

残る部分をデブリドして腹腔内へ放置。

排水溝の上に置いたら、まるでホルモン。

(やめろって!!)

                  -

午後は、

繁殖雌馬の腕節のDJDのX線撮影。

子馬の球節ALD肢軸異常の手術。

子馬の眼球破裂。

             ///////////////

こぶしが咲いた。

きのうは暖かかったのに、きょうは寒い。

 

GW2019

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Golden Weekが始まった。

世間では10連休だそうだ。

午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

当歳馬の後肢の跛行。

股関節炎が疑われるので、全身麻酔して骨盤をX線撮影して、

超音波で股関節を観て、股関節を穿刺して、抗生剤を投与した。

昼は、血液検査業務。

午後は、子馬の肢軸異常のsingle screw × 2。

繁殖雌馬の疝痛も来院するし、

膀胱破裂疑いの子馬も来院する。

難産も来た。

予定していた、神経症状の子馬や、もう1頭は別な日にまわってもらった。

                  //////////////

きのう一番たいへんだったのは、

こいつを風呂にいれたことでした。

 

 

腸管の穿刺

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分娩後1ヶ月の繁殖雌馬が疝痛を示して来院。

ひどく痛いわけではないが、寝る、前搔きする。

便がほとんど出ない。

血液検査所見は悪くない。PCV30%代。

超音波では著しい気張。右でも左でも。

直腸検査では、膨満がひどくて手が入っていかない。

                -

分娩で腸間膜が裂けて、今になって小結腸が入り込んで閉塞したのか?と考えたが、

少しは硬めの便が出た。

入院して様子を観ることになった。

翌朝も状態は変わらず、開腹手術することになった。

                -

開腹したら、まずガスが張った盲腸が出てきた。

チューブ付きの針(補液管だが)を刺してガスを抜く。

大結腸も腸紐の上から針を刺してガスを抜く。

このように腸管を刺すときは、漿膜を刺したあと針を斜めにして、少しずれた箇所で粘膜を貫くように刺す。

そのことで針を抜いたあとに腸内容が漏れてくるのを減らせる。

しかし、針穴からわずかに腸内容が漏れることがまれにあり、そのときはガーゼで拭いてしばらく穿刺部をつまんでいる。

それでも心配があるときは、糸で縫う。

                    -

この馬は、大結腸の右背側変位だった。

大結腸の血行障害はほとんどなく、結腸壁は肥厚していなかった。

大結腸が変位して、ガスが出なくなって、盲腸と大結腸がひどく膨満していたのだ。

変位を整復し、結腸骨盤曲を切開して内容を捨て、大結腸を正常な位置に戻して結腸固定術を行った。

                    -

このような経過と症状の馬で、体表から腸管を穿刺しようとする獣医師が居るが、私たちはまずやることはない。

1年に150頭以上の重症の疝痛馬を診て、120頭ほど開腹手術をするが、体表から腸管穿刺することはまずない。

目の前で腸管穿刺することで腸液が多少漏れることがあるのを知っているし、

ガスを抜くだけで治るような疝痛は、そんなことをしなくてもいずれガスは抜けるのを知っているし、

どうしてもガスが抜けないような疝痛は開腹手術して治すしかないことを知っていて、開腹手術できるからだ。

                 ////////////////////

今週はオラの週です エッヘン

 

 

分娩時の膣裂で腸管脱出した馬の癒着疝

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2月に分娩中に膣前庭が裂けて腸管が脱出した繁殖雌馬

膣を縫合したが、懸念したとおり腹膜炎が起こり、翌日に開腹手術した。

小結腸の腸間膜が傷んでいたので縫合し、腹腔内にはこまかいワラがいっぱい入っていたそうだ。

その繁殖雌馬がひどい疝痛を示して来院した。

その痛がり方は、ふつうの癒着疝ではない。

すぐに開腹した。

開腹手術創は2箇所に化膿した痕があった。

空腸の癒着がもとで空腸の纏絡を起こし、その部分は壊死していた。

それでひどく痛かったのだ。

腹腔内には紐状の癒着(索状物)が何箇所にもあった。

腸管を跨いでいたりもする。

空腸壁にはいたるところに小結節状の塊が付いていた。

小さい化膿巣のように見えるが、ひとつを切開してみても内部に膿はなかった。

おそらく、小さい汚染源が付着したところが化膿し、治った痕なのだろう。

空腸上部には大網が癒着し、その一部が塊になり、内部に膿が溜まっていた。

これは厳しい。

今回の腸閉塞を乗り越えるのも厳しいし、万一乗り越えたとしていずれ癒着でダメになるだろう。

あきらめた。

剖検で、小結腸にも癒着があることを確かめた。

内転筋沿いに化膿した部分もあった。膣穿孔部から化膿が下がっていったのだろう。

                 -

分娩で産道損傷し、腸管脱出しても損傷部を縫合閉鎖することで助かっている馬もたくさんいる。

開腹手術による腹腔洗浄や腸管や腸間膜の修復はかならずしも必要ではない。

脱出した腸管や腸間膜がどれだけ傷んだか、汚れたかが鍵なのだろうと思う。

娩出してしまって、親が立っている状態で腸管が出てきた症例は助かることが多いのかもしれない。

腸管は汚れず、それほど傷まないで済むし、腸管を押し込み易い。

しかし、分娩中に腸管脱出すると、腸は敷き料で汚れてしまうし、馬が寝ていると腸管を押し込みにくいのだろう。

             ///////////////////

翌朝のごはん。

山岳部では”ぴんちえっせん”と呼んでいた。

ピンチは日本語でよく使われる英語だし、

エッセンはドイツ語なので、

ぴんちえっせん自体、山岳部員の造語だろう。

しかし、非常食はいつも用意しておくべきだ。

登山でも、食事する時間がない救命救急獣医療でも。

 

 

 

 


北米の馬病院と比べてどうだい?

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朝、予定を変更して飛び入りの結腸捻転の開腹。

助手を務めてくれたのは馬外科専門医レジデントのYoshi先生。

カナダのその病院では、疝痛の開腹は年に20頭ほどだそうだ。

            -

午後、大腿骨骨嚢胞のscrew固定。

カナダのその病院にはX線透視装置はあるが、あまり使わないそうだ。

Subchondral Cystic Lesionのscrew fixationもやったことはない、とのこと。

            -

次いで、頚が動かなくなる1歳馬の跛行診断。

その日は後肢の跛行に見えた。

C5-6、C6-7の関節突起関節の骨関節症がひどい。

足根関節にもDJD所見がある。

保存療法するしかない。

超音波ガイド下で関節にステロイドを入れては?と、Yoshi先生のアドバイス。

効果を示すかもしれないが一時的で、長期の完快は望めないだろう。

             -

続いて、当歳馬の細菌性股関節炎。

関節穿刺して、関節洗浄して、抗生剤を入れた。

             -

夕方、金属製バケツを蹴飛ばして後肢ツナギを切った2歳馬の外傷縫合。

             -

吸入麻酔2頭。

静脈麻酔2頭。

カナダのその病院では外科医が麻酔することはまずないそうだ。

うちの診療件数は北米のほとんどの馬病院の手術頭数より多い。

            //////////////////

オラ 青草くうゼ

 

 

 

小児外科病院

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午前中、5歳競走馬のTieforward手術。

競走中にDDSPを起こすようなのだ。

甲状軟骨はひどく硬かった。

           -

併行して、子馬の多発性関節炎。

以前にも来院して、腰角の膿瘍切開と、飛節の細菌性関節炎の洗浄をしている。

今度は後膝と対側の飛節が細菌性関節炎を起こした。

抗生剤治療を続けているにもかかわらず・・・・

           -

午後は、

子牛の尿膜管膿瘍の摘出。

もう2.5ヶ月になっていて、膀胱は臍から離れかけている。

その部分に残った尿膜管が膿瘍になっていて、地元で注入していた乳房炎軟膏のどぎついコバルトブルーがあふれてきた。

大網が癒着していた。

かなりの長さの開腹手術になった。

           -

飛び入りで、4日齢の子馬の膀胱破裂。

           -

続いて、3週間前に下顎の骨折をスクリュー・ワイヤー固定したホル育成牛。

経過は思わしくない。

配合飼料は食べられるが、草は食べない、とのこと。

4-5日前から、下顎がひどく腫れた。

右側の下顎のスクリューを入れた部分がひどく化膿している。

口腔内への解放骨折だったので仕方がないのだが・・・・

スクリュー・ワイヤー・ナットを摘出し、切歯を固定していた結束帯もはずした。

代わりにワイヤーで切歯を固定した。

抗生剤投与を続け、局所は洗浄し、あとは牛の治癒力に期待するしかない。

           ---

午後は、子馬、子牛の手術が続き、小児外科病棟の様相だった。

こういうのを”すぱげてぃ”っていうらしい。

なんという勝手な言い草だ。

一つ一つの管に、技術と努力と経費がかかっている。

助けるために必要だからやっている。

望まないなら医療を拒否してそのまま死ねば良い。

         /////////////

あら、こんなところに水芭蕉。

 

脛骨近位成長板損傷のTーLCP固定

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GW最終日は、

午前中、顆粒膜細胞腫GTCTの卵巣摘出。

午後は、去勢が3頭、

と卵巣1個と精巣6個を摘出する予定だった。

が、

昼に当歳馬が骨折しているとの連絡。

すぐ連れてくるように返事して、

去勢の1頭は終わらせる。

          ー

脛骨近位成長板損傷だ。

準備しておいたT-LCP8孔で内固定した。

あのオッサンたちが教えてくれたようにできたか?

 

 

しあわせな1日

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電話番をしなければいけない夜間当番の夜。

明け方、目が覚めて夜中に起こされなかったことに感謝する。

あ~とてもしあわせだ。

          ー

朝食を食べていた5時半、当歳馬の疝痛の依頼。

開腹手術することになった。

立派な回腸纏絡だったが、ほどくと色調は回復し、切除・吻合しなくても大丈夫そうだった。

切除・吻合しなければならない腸管手術に比べて良好な予後を期待しても良いだろう。

しあわせだ。

          ー

その片付けの最中、分娩2日後の繁殖雌馬が子宮穿孔疑い、との依頼。

来院してもらい、子宮角の穿孔を診断し、開腹手術して子宮穿孔創を閉鎖して腹腔洗浄。

分娩してから日数は経っていないし、馬の一般状態は悪くない。

開腹手術が手遅れにならず、しあわせだ。

          ー

その最中、予定していた直腸膣瘻の繁殖雌馬が来院。

私一人で診察したが、れっきとした直腸膣瘻だ。

当たり前に絶食して、標準的な直腸膣瘻の手術をするしかないだろう。

おそらく日本で一番、馬の直腸膣瘻や第三度会陰裂傷の手術をしてきた私がそう判断するのだ。

まっとうな判断ができてしあわせだ。

          ー

午後は延期してもらった去勢2頭。

1頭は心臓に問題がある馬だった。

オーナーにリスクがあるのを理解してもらった上で引き受けた手術だった。

しかし、無事に終えることができてしあわせだ。

          ー

そのあと、鼻が鳴って競馬が振るわない3歳馬の診察。

考えられる障害を説明して、これから試してみるべき方法を勧める。

たぶん日本で私しかやったことがない手術。

それも経験したことがあって説明することができてしあわせだ。

          ー

その最中、黒毛和牛の難産。

帝王切開の準備もしていたが、なんとか経膣分娩させられた。

最後は、私も参加して牽引した。

去勢馬を連れてきていた外人さんが手をたたいてくれたので、親指を立てた。

しあわせな瞬間だった。

          ー

今日1日の7頭の診療を終えて、事務所へ戻ると、お菓子とカードが届いていた。

数年前に手術した馬のオーナーが、その馬が経過良好なことを伝えてくれた。

とてもしあわせなことだ。

          ー

今晩、私は夜間当番ではない。

安心してゆっくり眠れる。

と~~~~~~~ってもしあわせだ。

         ////////

 馬くいくといいね~

 

 

 

 

 

脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷  成長板損傷で考慮すべきこと

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子馬は、長い骨の両側が成長板 growth plate (骨端板 physis )になっている。

そこは本来の骨の組織としては連続していなくて、軟骨で結合している。

盛んに軟骨下骨化が行われ、その部分で骨が成長する。

しかし、弱いので、大きな力がかかると当然、そこで骨折する。

それは、骨折の中でも成長板損傷と呼ばれる。

成長板の破壊の形状によりタイプ分けされている。

           -

治療する上ではいくつか考えなければいけないことがある。

・子馬はキャスト固定には長くは耐えられない。

子馬を長くキャスト固定すると、屈腱が弛緩し、それが致命的な問題になってしまう。

長くキャスト固定しないで済む治療方法を選ばなければならない。

・子馬は対側肢が変形しやすい。

子馬は、肢に痛みがあって対側肢で長く負重していると、体の下に持ってきて体重をかけているその肢が内反変形しやすい。

成馬とちがって、蹄葉炎にはなりにくいが、早く痛みがとれる治療方法を選びたい。

・成長板損傷の治癒は、緻密骨に比べて早い。

馬が支柱性を失うような骨折をすると、子馬であっても骨癒合するのに2-4ヶ月かかる。

しかし、骨端板がもとどおり軟骨組織で癒合し、周囲の軟部組織で補強されて剥がれなくなるのは、一般的な骨癒合に比べて早い。

・骨折部の面積が広いことが多い。

骨は骨端が太くなっていて、骨端板は骨幹に比べて断面積が広い。これは、内固定する上では安定につながる。

・関節に近く、内固定しづらい。

骨端はまさに骨の端であり、厚さがない。内固定するためのスクリューを複数入れるのは難しい。

・骨端は柔らかい。

子馬が幼若であるほど骨は柔らかく、とくに骨端や骨幹端は柔らかい。ときには骨化していないことがあるほど。

スクリューを挿入しても強度がでない。

・関節包、靱帯、などの付着部を伴っている。

関節の近くであるため、関節包や靱帯の付着部であることが多い。

中には肩甲骨の関節(窩)上結節の骨折が上腕二頭筋腱の牽引による avulsion fracture であるように、靱帯や腱に引っ張られて引き剥がされることで骨折する場合もある。

その内固定では、関節包の損傷や、靱帯や腱の牽引力や、それらの再建について考慮する必要がある。

・骨癒合させてはいけない。

骨端板(成長板)が骨癒合すると、成長できなくなる。骨端板の内側だけが骨癒合すると、内側が成長できないので、肢は内反してくる。

骨端板の内固定は、骨癒合する前に除去しなければならない。

しかし、S-H type5 のように骨端板が圧迫されて成長機能を失ってしまうような成長板損傷もある。

・骨端板の内固定は除去しなければならない。

成長板を片側から内固定しているだけでその側は成長できないので、肢軸は曲がってくる。

骨端板を内固定したら、肢軸異常が重度になる前に内固定を除去しなければならない。

・子馬は感染に弱く、頻回に寝起きしなければならず、痛みが消えると飛び跳ねる。

成長板損傷する幼若な子馬は、とても感染に弱い。皮膚も薄い。

手術後も頻回に寝起きしなければならない。子馬は寝起きしないと哺乳できない。立たせたままにしておくこともできない。

痛みが消えると馬房内管理していても飛び跳ねる。

これらはすべて内固定手術を受ける患者としてはマイナス要因だ。

            -

やれやれ、いいわけ前置きが長くなった。

サラブレッド生産地の馬整形外科医がもっともよく遭遇する成長板損傷のひとつである脛骨近位成長板損傷の治療について本論に入りたい。

(つづく)

         ////////////

おい

もう成長期じゃないんだから

とうちゃんの薪割りのじゃまして

寝てばかりいると

体重ばっかり増えるぞ

 

 

 

 

 

 

脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷  その前に外貌とX線所見  

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子馬の脛骨近位成長板損傷で、まず「レントゲンを見てください」と言われることが多い。

診たことがある獣医さんは外貌だけでも「あ~脛骨近位成長板損傷だ」とわかると思うし、

X線撮影したなら、「脛骨近位成長板損傷です。変位は軽度です(あるいは、ひどく変位してます)」とか、手術依頼の連絡をすぐして来れると思うので、

過去の症例から、外貌とX線所見をいくつかお見せしておく。

                    -

まず、ひどいやつの外貌。

患肢が外反する。

必ず外反なのだ。内反したのは見たことがない。

同じ症例。

この子馬は変位がひどいので、後膝のすぐ下で内側が飛び出しているのがわかる。

異常可動がある。

                    -

あまりひどくないやつ。

外反はわかるが、後膝による外反だとは判別しにくいかもしれない。

異常可動はない。

                    -

X線所見。

かならず後-前方向(整形外科的に正しくは尾-頭方向 Caud-Cranial)も撮影して欲しい。

これは上の変位がひどい症例。

これは別の、変位が極端にひどい症例。

ここまで変位していると外-内方向撮影でもわかるが、変位がひどくないと外-内方向では骨折の状況がわかりにくい。

変位がひどくないと、尾-頭方向でもこの程度。

しかし、後膝を有効に外固定する方法はないので、放置すればひどい変位を起こす。

そうなってからでは整復・内固定が難しくなる。

                 -

重種子馬でも診たことがある。

治ったよ。

                 -

子牛では珍しいが、1例だけ診たことがある

変位はひどかった。

治ったよ。

              //////////////////

家の裏の林を歩けば、オオバナノエンレイソウの花盛り。

でも誰も散歩には来ない。

こいつも散る桜に風情を感じたりしない。

他のわんこの匂いが気になるだけ;笑

 

 

 

 

結腸捻転警報発令

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土曜日の午後2時半、種付け帰りにそのまま疝痛で運び込まれた繁殖雌馬。

超音波で肥厚した結腸壁が見えて、そのまま開腹手術。

朝から疝痛でフルニキシンを2回投与して種馬所へ行ったが、疝痛で鎮静剤を投与して帰って来た、という。

種付けに行くべきではなかったのだ。

                  -

入院厩舎へ行ったのが夜7時。

そのあと夜9時過ぎ、同じ牧場の繁殖雌馬がひどい疝痛との連絡。

来院したら痛くて立っていられない。

鎮静剤を投与しても倒れこんでしまう。

ひどい腹囲膨満。

血液検査でPCVが50%を超えているのだけを確認して急いで開腹する。

結腸捻転で間違いない。

                  -

その手術の片付けが終わらない夜中、2歳馬の疝痛の依頼。

来たら落ち着いていて、血液検査所見も悪くない。

帰って経過を観てもらうことにした。

終わって1時過ぎ。

                  -

2時過ぎに繁殖雌馬の疝痛の依頼。

「ひどく痛い」とのことなので、鎮静剤を投与して連れて来るように指示。

来院したのは3時半。

痛みはひどくない。血液所見も悪くない。

結腸捻転ではなさそうだ。

                  -

日曜日はほとんど寝ないままやっかいな関節鏡手術を2例。

夜は、私は当番ではなかったが、結腸捻転の馬が来院し、結腸の傷みがひどくあきらめたそうだ。

                  -

そして月曜日、夕方また疝痛の依頼。

またまたまた結腸捻転だった。

再発防止のcolopexy中。

終わって夜8時。

                ---

1年でもっとも日照時間が長い時季になっている。

気温も高い。

青草はどんどん伸びている。

1週間以上雨が降っていないが、今日はこれから雨だ。

草はさらに伸びるだろう。

結腸捻転警報発令です。

                  -

注意報じゃない。警報だ。

すでに被害は出ていて、さらに重大な被害になる恐れがある。

「命を守る行動をとってください」って、朴訥とした気象庁のおじさんが言うやつだ;笑

                /////////////

とうちゃんもくさ刈れよ

 

                  

 

 


脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷  骨端に複数のscrewを  

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さて前置きと中断が長くなったが、子馬の脛骨近位成長板損傷を内固定する方法の変遷についての本編。

かつてはTプレートによる方法が報告され、成書にも記載されていた。

薄い骨端に2本のscrewを入れることができる。

私もTプレートを買い込んで準備していたし、子馬と子牛でやってきた。

このTプレートは横棒部にscrew hole が2つ開いているので、骨端に2本screwを入れることができる。

欠点は、

Tプレートが薄くて強度がないこと。

しかし、この部位に適応する場合は問題にならないと思う。

牽引だけできればよく、Tプレートが曲げられることはなく、支柱性は必要ないからだ。

もう1つの欠点は、Tの横棒部分が大きいことだ。

膝関節の近くに固定するので、Tの横部分が近位側へ飛び出し、膝関節に当たりかねない。

関節包が破れたのであろうと思われるように、術後に関節液が流れ出た症例があった。

さらには、このTプレートはplate hole を用いてコンプレッションをかけることはできない。

compression plate ではないのだ。

そして、このTプレートは安くはない。

               -

近年、推奨されているのはscrew&wire とLCP を併用する方法。

整復し、それをscrew&wireで牽引固定しておいて、LCPにLHSを入れて固定しようという方法。

この方法でも、骨端に2本screwを入れることができる。

この方法の欠点は、screw&wireは牽引しているだけだということだ。

wireをきつく締めることはできるが、強すぎれば切れてしまう。

wireがscrewヘッドからはずれてしまうことも起こりやすい(上の写真!)。

ワッシャーを使ったほうが良いだろうが、screwも折れることがある。

それと肝心なLCPは、結局1本のLHSで骨端に固定されているだけ。

子馬の軟らかい骨端に、あのネジ山の小さいLHS1本が果たしてどこまで効くか、疑問が残る。

                -

変位がひどく、固定強度が必要な症例では、LCPを2枚使う方法が推奨されている。

これは固定力がかなりあるだろう。

しかし、子馬のこの部分にLCPを2枚入れると、傷を閉じることがかなり厳しくなる。

術後も腫れるし、よく動く部分なので、傷が開き易い。

私がやった症例も、傷が開いて感染し、手こずることになった。

                 -

最新の方法は、最近開発されたT-LCPを用いる方法。

まさにこの脛骨近位成長板損傷の内固定のために開発された。

このT-LCPには横棒部に3つcombination hole が開いている。

LHSも入れられるし、screw hole を使ってcompression をかけることもできる。

横棒部分は、以前使っていたTプレートより小さい。

関節への干渉も少ないだろう。

ただし、このT-LCP は高い。

日本では市販されていないので、個人輸入しなければならない。

                   -

準備はしておいて、本当に必要な症例で使うことにしたい。

脛骨近位成長板損傷は多い。

毎年、1-2例必ず遭遇する。

変位がひどい症例でも確実に治したい。

この20年の子馬の整形外科の進歩で、その方法が提示されたことはたいへん喜ばしい。

               /////////////

きのうは午前中子宮穿孔の準急患。

子宮頸管すぐ奥の背中側の穿孔だったので、立位で縫合修復してから、開腹手術して腹腔洗浄。

生理食塩液29リットルで洗浄した。

夕方もなんと子宮穿孔の急患。

右子宮角先端の穿孔だった。

開腹して子宮裂孔を修復し、腹腔洗浄。

生理食塩液36リットル使った。

                ー

タンポポを増やしたくなければ種が飛ぶ前に刈ってしまわなければならないんだろうな・・・

それなりにきれいなんだけどな・・・・

イドンナップ岳。

このあたりからは最も高く見える。

私は大学山岳部時代もたぶん登っていない。

 

 

 

 

 

 

5月末、とても良い天気だった。

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朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

しかし、予定の手術をすましてしまうことにする。

それは、5歳競走馬の繋靭帯炎による第4中手骨骨折。

吸入麻酔で手術しようと思っていたが、手術室を空けておくためにレントゲン室で静脈麻酔で手術することにした。

麻酔も術野準備も術中X線撮影も手早くやってくれるので大丈夫。

               -

繁殖雌馬は痛みが治まらず、開腹することになった。

小腸が大結腸に巻きついて絞扼していた、とのこと。

私は、他の患畜の対応でほとんど観ていない。

               -

開腹手術の間に来たのは、急患で1歳馬の後肢の外傷。

ひどく大きな傷ではないが、後肢なので全身麻酔して縫合しなければならない。

もう1頭は、腹膜炎の繁殖雌馬17歳。

今年は死産している。もう種付けはしない。

あきらめて剖検したら葉状条虫によるものだったようだ。

               -

覚醒室で寝ている開腹手術馬を交替で観ながら短い昼食。

1時からは予定の関節鏡手術。競走馬の腕節骨折。

その最中に、子宮穿孔の繁殖雌馬の診察。

4日前に分娩していて、来院してからの血検でPCV68%。口粘膜はチアノーゼ重度。

この馬ももう種付けする予定はない。

そして、状態が悪すぎる。

剖検したら、腹腔内もひどい状態だった。

               -

3時に子宮穿孔を疑う別な繁殖雌馬の来院。

2日前の分娩。

まだ子宮が大きく、子宮角先端までは触れなかった。

この馬もPCV68%。

この馬はまだ9歳。厳しいが開腹して腹腔洗浄することにした。

開腹したら汚い腹水があふれでた。

この馬は術前の超音波検査でも特異的に腹水が多かった。

左子宮角先端の穿孔だった。

特別大きい穿孔ではないが、タイミングで羊水が大量に腹腔へ入ったのだろう。

                     -

胃液が術中に鼻から出てきたし、血圧は30台。

両方の頚静脈を使って輸液して50台になった。

術後覚醒室で立ち上がったが、また倒れてしまった。

数段に分けて息を吐くおかしな呼吸とうめき。

入院厩舎に準備していた輸液を覚醒室へ持ってきて持続点滴を始め、

カルシウムを反対側の静脈から点滴し、ついでヴィタミンB入りのブドウ糖液を点滴し、重曹も点滴し、

1時間あまりで起立した。

                   -

おわって、夜7時半。

さて今日は何頭来たでしょう?

何頭手術したでしょう?

何頭麻酔したでしょう?

毎年、春の記憶がないのは仕方ない。

だってその日のことさえ思い返せない;笑

 

 

新生子牛の蘇生

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朝、難産で引っ張り出した子牛がグッタリしているのをなんとかしてくれるか、との依頼。

来院したら、立てない、鳴かない、頭もあげない、が呼吸はしている。

毛布に乗せて運んで、

気管挿管して、

吸引器で羊水?を吸引して、

デマンドバルブを着けて、酸素吸入する。

動脈血ガスでは、酸素は300以上と高くなっていたが、重炭酸がひどく低いので、輸液に重曹を混ぜた。

1時間ほどで、鳴くようになり、伏臥位になり、立てないまま運ばれて帰って行った。

            ー

午前中は、予定の関節鏡手術。

昼は血液検査業務。

午後、内股にRhodococcus equiによる膿瘍ができた子馬。

それから、この1週間診ていた疝痛の繁殖雌馬の探査的開腹手術。

空腸上位、大結腸が癒着し、小結腸が索状物で絞扼されていて、あきらめなければならなかった。

           ///////

昨夜も結腸捻転が来て、

入院厩舎には腹膜炎と、結腸捻転の馬が入院している朝。

若馬たちは青草の絨毯の上で朝寝している。

うらやましい・・・・・

子馬の脛骨近位成長板損傷の変遷 Richardson教授の評価

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T-LCP を使って脛骨近位成長板損傷を内固定した。

 

 

いつものように、ペンシルヴァニア大学New Bolton Center のRichardson教授に写真を送って評価してもらった。

                  - 

 I think your approach and execution were excellent! Very nice job. 

I haven't watched the AO video in a while but I recall I also do not do it quite like they describe. I have used the figure-8 wire but don't like it very much. 

 

My biggest change would be to use a shorter plate.  I have even done neonates with a 3 hole pastern arthrodesis plate but usually use a 5-hole narrow T-plate.

 

 

One other concern with this T-plate is that I have had one foal split the epiphysis with 3 screws in the "T".  Therefore, I only use two screws in that part.

 

I remove these pretty quickly,  often around 3 weeks or so in neonates but pretty much always less than 6 weeks unless they still have a valgus.

 

君のアプローチと実践はとても良い! 非常に良いできだ。

 

私はそのAOのヴィデオをまったく観ていないが、私も彼らが言っているのと同じようにはやらないと思う。

私は8字ワイヤーを使ってきたが、あまり好きではない。

 

私の最も大きな違いは短いプレートを使うことだ。

新生子馬では繋の関節固定用の3穴を使うことさえある。しかし、いつもは5穴のTプレートを使う。

 

このTプレートについてのもうひとつの懸念は、”T”の3本のスクリューで骨端が割れてしまった子馬が居たことだ。

だから、私はこの部分にスクリューを2本だけ入れる。

 

私はプレートとスクリューをかなり早く抜く。新生子馬では、しばしば3週間とか、外反がまだあっても6週間以内には抜くことが多い。

                  -

骨端部に3本のスクリューは多すぎる、というのは興味深い指摘だ。

2本で充分なのかもしれない。

 

長すぎる期間、内固定してはいけない、というのは成長板損傷についてRichardson教授にいつも言われることだ。

成長板が骨癒合してしまうと、成長できなくなることで障害が起こる。

 

AOのヴィデオをRichardson教授が観ていない、というのは面白い。

そんなもんなんだな。

                //////////////

 

結腸捻転多発時季なのだが、今のところそれほどのrushにはなっていない。

警報発令の効果があったか?;笑

 

 

 

 

 

 

 

ポータブル撮影装置で股関節の骨折を診断できた

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転倒してひどい跛行を示して1週間の2歳馬。

まだ寝起きも不自由なので全身麻酔しての大型X線撮影はしたくない。

まず腰角(腸骨結節)をポータブル撮影装置とDRで撮影した。

折れてない。

しかし、左の腰角は右に比べて出っ張り方が少ないように思えるので、腸骨体自体が変位しているのだろう。

立位で、反対側よりの股下から撮影したら

股関節で恥骨と腸骨と坐骨が離れてしまっているのが写った。

使った撮影装置はポータブル、管電圧80kv。

コニカミノルタDR。

患肢を曲げて、股を開くように保持してもらい、股関節の上にフラットパネルを当てて、股の下から撮影した。

悲しい写真ではあるが、撮影できたことは喜ばしい。

                  //////////////

北海道は、異常な暑さも去って、爽やかな好天に戻った。

大阪から来ている実習生に言う。

「こんな青空は大阪にはないだろ?」

大阪の空のことはよう知ってんねん;笑

しかし、大和川はとてもきれいになったそうだ。

でも、泳げるわけでもないし、水を飲めるわけでもないだろう。

北海道はイイゾ、と就職勧誘しておこう;笑

 

 

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