
こちらは、Susan L. Fubini と Norm G. Ducharme 先生による農場動物の外科。
(上の第二版ではなく、私の手元にコピーがあるのは第一版)
両方Cornell 大学の先生だ。
ご存知のとおりDucharme先生は馬の上部気道の大家である。
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外科の本なので、手術適応の判断や手術方法がかなり詳しく書かれている。
腸捻転 Intestinal Volvulus の項は、Segmental small intestinal volvulus 小腸の一部の捻転、として記載されている。
その中で
However, the final decision for standing vs. down surgery will depends on the surgeon's preference, available facilities, and temperament of the animal.
とある。
しかし、立位で手術するか倒すかの最終決断は、術者の好み、使える施設、そして患畜の気性にかかっている。
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そのあとの、Torsion of the Mesenteric Root 腸間膜根部の捻転 の項には、
The author's preference is lateral recumbency.
著者らは横臥で手術するのを好む、とある。
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しかし、まあこれらは成牛の話だ。
子牛はすぐ寝てしまうし、立たせたまま保定するのは難しいので、当然寝かせることになる。
そして、子牛は臍周囲の癒着とか、先天性の胎生期の遺残物による絞扼(例えば vitelloumbirical band ;
卵黄臍帯)などのことがあるので、臍へアプローチできる正中切開か、傍正中切開が有利だろうと思う。
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そして、
A few calves have been saved in our hospital when astute owners recognized the early signs of abdominal discomfort.
われわれの病院では、鋭敏な畜主が腹部の異常の早期の徴候を認めた子牛の数例が助かっただけだ。
これは実に正直な記述だろう。
astute owners 機敏な畜主
そして、「子牛がおかしい」と診察依頼された獣医師も機敏でなければならない。
「連れて行きたい」と言われた大動物外科医も、だ。
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この本が取り上げているのは牛、羊、山羊、豚。
あのDucharme教授が、と思うと面白い。
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ノビタキ、メス。
ジージー鳴いていた。