子牛のプレート固定の普及 風とライオン
この半年、牛の骨折のプレート固定をやってます。やりました。やるんですけど。という話を聞くようになった。 身近な地域ではなく、山の向こうとか、本州とか、遠く南の方とか。 やっている獣医さんをみると、環境が整っている診療所や地域ではなく、まだまだ器材や人員をそろえながら、という所だ。 つまるところは、個人の熱意とセンスによるところが大きいのかもしれない。 ー...
View Article臨床のセンス
センスがない。ある。 よく言われることなのだが、センスとは何か? たぶん、知識や技術以外のもので必要なものを言うのだろう。 そして、経験によるものであれば経験のおかげだと考えられるが、 年数を重ねても的外れなことをしていると、それもまたセンスがない、ということになる。 では、どうすれば身につくのか? ー ストーリーで身につく外科センス―スキマ時間でスキルMAX! 保信,...
View ArticleGo through 60
夕方から第一指骨縦骨折のscrew固定手術。 なんと3日連続。 3頭とも2歳牝馬。 3頭とも左前肢。 うち1頭が着けてきたハーフリムキャスト。 蹄壁から繋、中手骨をまっすぐにし、肢にフィットし、ヒールブロックも付き、層も一体化し、完璧なできだ。 - 夜になって繁殖雌馬の疝痛が来院。 午前中から痛かったが、ひどくはなかったとのこと。...
View Article486kgホルスタインの中足骨遠位成長板損傷
日曜日、午前中1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 1歳馬の腰痿のX線撮影。 当歳馬の後膝の細菌性関節炎の関節洗浄。 そこへ、未経産のホルスタインが右後球節が腫れて肢を負重できず、X線撮影したら骨折している、との連絡。 午後一の手術はもう牧場を出ているだろうからキャンセルせず、その後の予定を延期してもらう。 -...
View Article繁殖シーズンはお終いだと勝手に宣言してしまおう
1st 朝、鼻のとおりが悪く、呼吸が苦しい当歳馬の診察。 内視鏡検査して、触診して、X線撮影して。 鼻中隔が変形している。 手術を検討することにした。 - 2nd 上腕骨粉砕骨折していた子牛が、腕節が拘縮しうまく患肢を使えない。 副手根骨につながっている尺側手根伸筋と尺側手根屈筋を切断し、 腕節と球節を思いっきり伸展させながらキャストを巻いた。...
View Articleロド腹腔内膿瘍による空回腸捻転
日曜日、朝、疝痛の子馬が来院する、とのこと。 朝一に予定している手術は延期してもらう。 疝痛の子馬は、きのうの午後から痛い。 ロドの治療歴あり、 1ヶ月を過ぎてから発熱で治療し、治療を終了したら再発し、再開して数日経ったところ。 - 来院したら痛くて倒れこんでしまう。 超音波検査で、完全に膨満した小腸がいくつも見える。 腸閉塞を起こしてから時間が経っている。...
View Article外科基本手技を考える
「なぜなんだろう?」を考える外科基本手技 稲葉 毅 南江堂 私と同い年の外科医による、よくある間違いや知っておくとためになるコツが書かれた本。 教わったことを鵜呑みにするのではなく、自分で考えて工夫すれば”こうなんじゃない?”となる。 楽しく読めた。 まあ、特に新しかったり、重大な問題の提起ではない。 ー...
View ArticleLife or Death just in time
朝、繁殖雌馬のひどい疝痛の依頼。 5時に夜間放牧から入れて、朝飼いを与えたときは正常で、朝飼いも食べていたが、7時半にひどい疝痛を見つけ、フルニキシン、鎮静剤を投与してもまだ痛い、とのこと。 近くの牧場だったので、8時20分に来院。 血液検査でPCVが60近く、乳酸値も高いのだけ確かめて、 「結腸捻転でしょう。開けた方が良いです。」...
View Article子馬の鼻中隔切除
2.5ヶ月齢の子馬が呼吸が苦しい。 右の鼻は内視鏡も通らない。左の鼻は内視鏡は通ったが鼻道が狭く、咽喉頭の粘膜も腫れている。 鼻孔から指を入れたら、鼻中隔が変形している。 X線撮影したら、鼻道の入り口近くで「く」字型に曲がっている。 ー 北米外科専門医Yoshi先生に海外の情報を調べてもらった。...
View Article頸椎症腰痿の頸椎関節固定手術
頸椎症 Cervical Vertebral Stenotic Malformation or Myelopathy による頚髄変性から腰痿症状を示す馬はとても多い。 私たちは例年50頭前後のX線撮影を行う。 「治療法はありません」と説明してきた。 欧米では、頸椎の関節固定手術が行われている。 その手術の評価については以前に書いた。 ー...
View Article頸椎症による腰痿に対する頸椎関節固定手術 part2
腰痿 Wobbler's syndrome の馬は、 ・少し腰が甘い ・肢を振り回す、叩く、後肢を広げて歩く ・動くと動揺する、ヨタつく、自分の肢をぶつける、蹄を踏む ・立てないことがある、転びそうになる ・起立不能、あるいは突然死 という程度に分かれると思う。 腰痿症状がある馬は全身麻酔からの起立はとても懸念される。...
View Article頚椎症腰痿の頚椎関節固定手術 part3
頚を切り開いても、骨は見えてこない。 筋肉を剥がして骨が見えても、何番目の頚椎かはわからない。 X線撮影して、確認する。 12孔のブロードLCPを使うことになった。 完成形。 1歳馬の頚椎はとても柔らかい。 そして対側皮質を貫くわけにはいかない。 LCPを頚椎に押し付けるために皮質骨screwが入っていて、 抜けてこないようにLocking cancellus screw が入っていて、...
View Article下顎嚢胞性線維腫
顎が腫れているのに気付かれた子馬。 X線撮影で泡だったようなX線透過亢進域が腫れた部分にある。 嚢胞性線維腫、だろう。 ことし、先に1歳馬を1頭手術した。そして、今度は当歳。 倒馬室で、仰臥にして、静脈麻酔で手術することにした。 もう歯肉まで腫れ上がり、柔らかい部分がある。 しかし、口の中を破ると食べ物で汚れてあとあとやっかいだ。 ドリルで大きな孔を開けると、内容はほとんど血様漿液だった。...
View Article上顎切歯骨骨折のscrew&wire fixation
乳母に育てられている当歳馬が、朝、口から出血していて、鼻が曲がっていた。 上顎(の吻側部)は、下顎と違ってしっかりした骨体がなく、構造が複雑でプレートで内固定しにくい。 整復しておいて、キルシュナー鋼線を打ち込む作戦で行こうか、と考えていたが、 この症例は、上顎切歯骨が斜骨折していた。 縦にも割れているので、作戦変更。 骨鉗子で挟んで整復できた。...
View Article久しぶりの大結腸亜全摘
繁殖雌馬の疝痛の依頼。 夜間放牧から入れて、朝飼いを完食したあと激しい疝痛が始まったのだそうだ。 来院したら痛くて立っていられない。PCV54%、乳酸値も高い。 即開腹したが・・・・ この色調は厳しい。 減圧して色調はかなり改善したが、結腸基部まで変色していた。 筋層まで傷んでいるのが外から観てもわかった。 このままではダメなので、結腸切除することにした。...
View Article1ヶ月齢黒毛和種子牛の小腸捻転
1ヶ月齢の黒毛和種子牛が、朝から疝痛症状を示し、乳も飲まない、とのこと。 来院して超音波検査したら、 内容がある小腸が動いている。 しかし、まったく内容がない小腸(?)も見えた。 血液はPCVがやや高く、乳酸値は高い。 牛がはっきりした疝痛症状を示すことは多くない。 「開けてみますか・・・」 - 気管挿管して、吸入麻酔で手術する。 喉頭鏡はなかなか使えるようだ。...
View Article牛の小腸閉塞 成書の記載 Large Animal Internal Medicine 5th ed.
牛の小腸閉塞について成書を調べてみる・・・・といっても書庫にない;笑 若い先生に借りてコピーさせてもらった。 まずは、Large Animal Internal Medicine 5th ed. Large Animal Internal Medicine, 5e Smith DVM, Bradford P. Mosby Large Animal 大動物の内科。...
View Article牛の小腸捻転 成書の記載 Farm Animal Surgery
Farm Animal Surgery, 2e Fubini DVM, Susan L. Saunders こちらは、Susan L. Fubini と Norm G. Ducharme 先生による農場動物の外科。 (上の第二版ではなく、私の手元にコピーがあるのは第一版) 両方Cornell 大学の先生だ。 ご存知のとおりDucharme先生は馬の上部気道の大家である。...
View Article牛の小腸閉塞 成書の記載 Rebhun's Disease of Dairy Cattle
Rebhun's Diseases of Dairy Cattle, 3e Peek BVSc MRCVS PhD Dipl ACVIM, Simon F. Saunders これは、乳牛の病気、の本。 3rd edition で、監修者は、Simon Peek先生と、Thomas Divers先生。 Peek 先生はウィスコンシン大学の先生、 Divers 先生はコーネル大学の先生、...
View Article喉頭”右”麻痺
馬の喉頭片麻痺は99%は左に起こるのだが、ごくごくまれに右に起こることもある。 私が今まで診てきた喉頭”右”麻痺は、ほとんどが軟骨の奇形だった。 第四鰓弓の発生の不具合(4 BAD)で喉頭の軟骨や筋肉の付着が異常で、右の披裂軟骨が外転しなくなっている。 1例だけ、頚の付け根の右側を大怪我したことのある馬で、おそらくその外傷で右の迷走神経反回枝を傷つけたのだろう、という馬が居た。...
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