馬の喉頭片麻痺は99%は左に起こるのだが、ごくごくまれに右に起こることもある。
私が今まで診てきた喉頭”右”麻痺は、ほとんどが軟骨の奇形だった。
第四鰓弓の発生の不具合(4 BAD)で喉頭の軟骨や筋肉の付着が異常で、右の披裂軟骨が外転しなくなっている。
1例だけ、頚の付け根の右側を大怪我したことのある馬で、おそらくその外傷で右の迷走神経反回枝を傷つけたのだろう、という馬が居た。
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2歳育成馬が右側の喉頭麻痺だということなので、検査に来てもらった。
内視鏡検査では、やはり右側の披裂軟骨小角突起が外転しない。
超音波検査では、やはり右側の喉頭軟骨の位置関係がおかしいがひどい異常ではなく、Tiebackできる可能性がわかった。
(うちのDr.Sは、馬の喉頭軟骨を立位で、通常のプローブで超音波検査できることを世界で初めて報告した権威者にして熟練者だ)
それで別な日に手術することになった。
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裏返してやれば良いだけ、とはいかない。
Tiebackでは尾側から頭側へ糸をかけるので、右手ではやりにくい。
左手で持針器を扱うことになる。
おまけに軟骨の形状は正常とはちがっている。
奇形がひどいとTiebackできない、とか、Tiebackしても壊れてしまう、とかの可能性もあるが・・・・
お~ちゃんと右側が外転している。
しかし、通常の左のTiebackでも多かれ少なかれ1ヶ月以内にゆるむことが知られている。
軟骨が正常な構造をしていない右側では外転が維持される率はそれより低いだろう。
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91歳と8歳です。
朝いっしょに散歩します。