Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

連夜の結腸捻転・変位

$
0
0

夜、9時過ぎに電話。

繁殖雌馬の疝痛を運びたいとのこと。

10時半すぎに来院。

超音波検査では右側腹部で結腸動脈が見え、浮腫を起こしている。

血液はPCV30台。ぜんぜん悪くない。

疝痛ははっきりしない。

入院厩舎に入れて様子を観ることにした。

が、すぐに横臥し、仰向けにもなった、とのこと。

「やりましょう」

結腸骨盤曲が頭方向へ向いていた。

盲腸に巻き付くように変位したわけではないが、結腸右背側変位のひとつのパターンだろう。

再発防止のためにcolopexyした。

手術後はなかなか起立しなかった。

やっと立たせて、歩かせて覚醒室から出したが、暴れてアスファルトの上で転倒した。

片付け終わって、午前2時半。

術後は持続点滴もなし。

翌朝の状態は良好で、退院していった。

           ー

翌日の夜、10時過ぎに呼ばれる。

繁殖雌馬が疝痛で来院しているとのこと。

立っていられないので、検査もそこそこに開腹することになった。

結腸の色調はひどくなかったが、捻転の仕方が普通と違う。

大結腸の途中でねじれ、背中側へ入り込んでいて引っ張り出しにくかった。

頭側へ行っていた骨盤曲から引っ張り出したが、まだ色調は回復しない。

骨盤曲を閉じて、一旦腹腔内へ結腸を戻し、また盲腸から引っ張り出して、大結腸を後ろ回りに回す。

重労働だ。

やっと捻転が整復できて結腸の色調は正常に戻った。

colopexyして閉腹するが、腹部膨満し、腹圧が高く、腹壁の縫合がたいへんだった。

麻酔覚醒・起立は早かった。

私は午前1時半で引き上げた。

翌朝、馬は活力があり、排便もあり、腹部膨満もましになっていた。

            ーーー

夏の結腸捻転は昔に比べると減ったと思っているのだが、連夜急患が来ている。

春の忙しさがひどいので、楽になったと感じるだけで、十分激務の7月だ。

             ー

繁殖雌馬の結腸捻転・変位も、ランダムに起きているのではなく、特定の牧場で多い。

何か要因があるのだが、その解明と解決は難しい。

           ///////////

本州の梅雨明けもまだなのに、北海道も雨が続いている。

梅雨前線が北上してきたら、さらに雨が続くだろう。

ヤマアジサイ。

雨の中、きれいに咲いている。

青がきついのは酸性土壌なんだろうな。

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>