1歳馬が前肢を跛行しており、そのうち後も歩様がおかしくなり、なんだかわからない、との稟告で跛行診断を頼まれた。
走らせて観ると、左前肢の跛行。
明らかな点頭運動がある。
左前肢をLow 4 nerve block することにした。
が、この馬、気性が激しく、鼻捻子しようとしたら立ち上がって前を押さえていた人を吹っ飛ばした。
なんとか鼻捻子をとって、神経ブロックした。
走らせて観ると、跛行は変わらない。
神経ブロックがちゃんと効いているか確かめないといけない。
左前蹄冠あたりをpain sensor (実はボールペン)で つついても無反応。
右前をつついたら、飛び上がった!
Low4n-blockは効いているわけだ。
つまり球節遠位の跛行ではない。
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全身麻酔して大型X線撮影することにした。
おや、上腕骨近位成長板のX線透過性が亢進している。
血液検査で炎症像はまったくないので感染ではない。
突然ひどい跛行をして徐々に良くなってきているという経過ではないので外傷性ではないだろう。
DOD 成長期の整形外科的疾患としての、physitis 成長板炎だろう。
右は同じ所見はない。(わずかに関節面に不整がある)
気になったという右後膝も撮影した。
はっきりした異常はない。
しかし、成長板に痛みが出ることがあったのかもしれない。
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運動制限と注意深い給餌管理をしてもらうことにした。
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「骨端炎」と呼ばれることが多いが、骨端なら epiphysis なので、その部の炎症は epiphysitis ということになる。
しかし、先の英文記事に書いてあるとおり、実際に炎症を起こしているのは骨端板(成長板) physis (growth plate) なので、
骨端板炎 physitis が正しい。
最もよく診られる部位は、橈骨遠位。
1歳の春から夏に腕節の上が熱を持ったり、出っ張ってきたり、跛行したり、ひどいと曲がってきたりする。
肢軸に異常がある当歳では、中手骨や中足骨遠位成長板がつぶれてしまったり、出っ張ってきたりする。
脛骨遠位にも起こることがある。
今回のように上腕骨だったり、大腿骨だったりすると、筋肉に覆われているのでX線撮影しないと気づかないこともある。
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ランチ一組限定のオーベルジュでグルメしてきた。
たまにはいいかも。