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Channel: 馬医者残日録
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手術に役立つ臨床研究 多施設での調査・研究 columnから

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最近は、いくつかの馬病院で症例を集めた症例集の報告を見ることが増えたように思う。

メールの利用で連絡がつけやすいとか、

データや画像のデジタル化で症例を合算しやすくなったとか、

研究のレベルが上がってきたり、進歩が速くなり、症例数を増やす必要があるとか、

諸事情があるのかもしれない。

いくつかの施設の症例を合算する目的は、症例数を増やすことだろう、と考えていた。

                                       ー

馬の外科の論文・症例報告を読んでいると、著者や実施施設を知っておくことは重要だと感じる。

本当は、例えば査読者なら、投稿者が誰か、はマスクされて、純粋に論文だけを研究として評価しなければならないのかもしれない。

しかし、どの施設の誰の、あるいは誰のグループがやった研究かを知ると、なんとなく背景まで理解できるのだ。

ところが、複数の施設が含まれていると、症例数はそろっていても、なんだか取り巻く環境は理解しにくい。

取り巻く環境からは以下のようなことを推察できる。ほとんどは論文中には書かれることはない。

・あの辺には高い乗馬がいっぱい居るんだろうな~とか、

・あの辺りにいるのは、高いサラブレッドだけど、競馬産業だから判断はドライなんだろうなとか、

・あそこに運ぶには時間がかかってしまうんだろうなとか、

・あそこは熟練した外科医ばかりだなとか、

・大学教育病院なのでほとんどの手術はレジデントがやったのだろうとか・・・・・

           ー

それで、複数の施設で合算された症例報告には抵抗があったのだが、メリットもあるようだ。

複数の施設で症例を集めようとすると、研究計画を立てて、集める症例を明確にしなければならない。

そして、複数の獣医師(外科医)が関与することになる。

特定の施設だけにある”事情”は除外されやすい。

自分が扱った症例だけ、をまとめたいのが外科医かもしれないが、症例を合算することで見えてくることもあるのかもしれない。

とちょっと思った;笑。

         //////////////

西日が差し込むカシワ林。

葉が落ちてしまうのは、間伐されずに木々ごとの日当たりが悪いせいかな。


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