Equine Veterinary Journal
UKの馬獣医学の学術誌で、世界中で読まれている。
学術誌の格を表すimpact factor は獣医分野では指折り高い。
ことしMitsuishi 発の学術論文がEVJに掲載された。
馬の背側輪状披裂筋の体外経皮超音波画像診断手技:
安静時内視鏡検査との比較、そして筋の大きさと超音波輝度の評価
「のど鳴り」はサラブレッドにとって大きな問題で、しかし、治療方法はTieback がgold standard とされている。
Tiebackの成績は数多く報告されているが、決して満足のいくものではない。
手術するか、温存するか、「のど鳴り」する馬の評価は、長らく安静時の内視鏡検査で行われてきた。
近年ではOver Ground Endoscopy で高速騎乗運動中の喉頭の様子が評価できるようになっている。
その原因となる背側輪状披裂筋の萎縮と変性そのものは、特殊な経食道内視鏡を使えば超音波画像で評価することが報告されている。
しかし、そんな経食道内視鏡検査に使う特殊な超音波プローブなんて誰がもってんの?;笑
この検査のためだけに買うか?
特殊な経食道超音波プローブがなくても、技術を磨けば背側輪状披裂筋を汎用されるリニアプローブで観察することができる。
この手技で背側輪状披裂筋を観察することで、喉頭虚脱を起こす直接の原因である背側輪状披裂筋の変性と萎縮を評価できる。
安静時の内視鏡グレードがⅢ以上の馬は、右に比べて左背側輪状披裂筋が薄いこともわかる。
手術中に、実際に左背側輪状披裂筋に針を刺して測った筋の厚さと、超音波画像で測定した厚さも相関した。
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この技術は、馬臨床家が馬の喉頭の構造を超音波で評価することの普及につながるだろう。
多くの馬獣医師が持っている超音波プローブで、馬の喉頭の軟骨の形状、筋の萎縮や変性、を評価できるのだ。
馬にとってとても大きな問題である喉頭片麻痺(反回神経障害)についての、臨床応用価値の高い研究成果だ。
重箱の隅ではなく、メインディッシュである。
世界中の馬臨床家がこの論文を読み、この技術を身につけ、さらなる調査研究報告、症例報告も出るだろう。
素晴らしいことだ。
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かつてMitsuishi をDavis や New Bolton Center のようにしたいと思った。
もちろん全く同じにではない。
同じ方向を向いて、同じ質の輝きを放つ、ってことかな。