
の最後の章。
研究不正には
fabrication ねつ造
falsification 改竄
plagiarism 盗用
がある。
頭文字をとってFFPと呼ばれる。
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私はJournal of Equine Science のeditor をしている。
今年、海外からの症例報告投稿で、plagiarism された投稿があった。
担当をお願いしたreviewer が見つけてくれたので、盗用論文を審査したり、掲載してしまう、といったことにならないで済んだ。
日本の馬科学といった狭い、ほとんどが顔見知りだったりする世界ではなく、海外からも投稿があるようになると、十分警戒しないとならない。
今は、論文の盗用をチェックしてくれるサーヴィスがあるようで、編集員会ではそれ以降、盗用をチェックして担当編集員に送ってくれている。
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日本の医科学は、STAP細胞事件や、降圧剤の治験の不正ですっかり世界的信用を無くしている。
循環器の領域では、欧米のreviewerに、理不尽なコメント付きでrejectされることさえあるとのこと。
情けない話だ。
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臨床研究で、思ったような結果が出なかった場合に、
①都合の悪い結果を出さない
②有意差の出たアウトカムを過度に強調する
③問題症例を省く
④比較対照を変える
⑤あとから仮説を変える
これらは外科医の臨床研究手法として蔓延している。
明らかな不正ではないが、「不適切な行為」または「spin」とされる。
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臨床研究の中でも個人情報は慎重に扱わなければならなくなっている。
私も、心臓冠動脈の血流量測定の臨床研究の検体として、自分の画像が使われることの同意書にサインしている。
今、コロナ対策でも、個人情報保護と情報公開の感染防止効果の相反が課題になっている。
地域の感染者数の発表があっても、年齢、性別、地区などが”非公表”だと、自分の警戒度を上げる参考にならない。
感染者や、感染者の家族、果ては直接コロナ感染症に対応して医療者への差別などは論外だが、
社会全体への貢献と、個人情報保護の必要性は、慎重に判断されるべきではないだろうか。
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長く紹介してきた「外科系医師のための 手術に役立つ臨床研究」本多通孝先生、も今回で終了。
3500円。
たいへん読みやすく書かれている。
臨床研究をやっている、やってみたい、やろうとしている大動物臨床獣医師にも一読を広くお勧めしたい。
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さて、通常業務終了。
1年の終わりだ。
もう掃除も片付けもする気力もない。
でも症例の整理だけはしておきたい。
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当歳馬の毛を刈った部分。
皮膚は濡れないし、風もそうそう通しそうにない。
保温性は良さそうだ。
注射部位をアルコール綿花で拭いても皮膚はきれいにならないし、たぶん濡れてもいない。
冬毛のワンコや馬に降った雪は溶けない。
熱が逃げていない証拠だ。