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Channel: 馬医者残日録
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疝痛の夜

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夕方、家に戻ったら疝痛馬が来る、と呼び戻された。

5時からの疝痛で、来院が6時過ぎ。

さほど痛くない、血液所見は悪くない(PCV38%、乳酸値0.9mmol/l)、

超音波で・・・・結腸壁がはっきり見える、少し厚いかも、しかし蠕動している。結腸動脈は見えない。

直腸検査で・・・・結腸壁が厚い?ふんばるので無理できない。

                  -

入院厩舎へ入れて様子を観ることにした。

伏臥する。

横臥もする。

滾転もする。

ダメだね。手術しましょう。

開腹したら、結腸壁が肥厚していた。

大結腸の位置がおかしくて、根元でしっかり捻れている。

立派な結腸捻転だ。

360°捻れているので、結腸動脈は体表からは見えなかったのだ。

しかし、大結腸の色調は悪くないし、骨盤曲切開部の粘膜もまったく正常な色。

                     -

この手術の最中に別な繁殖雌馬の疝痛の依頼。

来院したら、PCV46%、WBC19000/μl。

痛くて立っていられない。

開腹するとき腹腔にフリーのエアーがあった。おかしい。

腹水は赤くて少し濁っている。

腕を入れて、奥の方から腹水をくみ出すと、赤褐色でもっと汚い。

植物繊維も出てきた。

盲腸が大きい。

盲腸便秘で破裂してしまったのだろう。

助ける方法はない。

剖検したら、盲腸便秘としては量や硬さはひどくなかったが、盲腸結腸口が閉塞していた。

分娩10日後だが元気がなかったそうだ。

この日、午前中から軽度の疝痛を示したらしい。

終わって、夜中11時半。

                 -

そろそろ繁殖シーズンの疝痛ラッシュが始まるようだ。

どうぞお手柔らかに。


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