このブログで、何度もカミソリで毛を剃るのを辞めて、バリカンで毛を刈った方が良い、と書いてきた。
しかし、外科学の教科書的な本に明確な記述は多くない。
Equine Acute Abdomen の最新版にははっきりと書かれている。
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毛を刈ることは剃毛よりも好ましい。
剃毛はより多くの皮膚のダメージを引き起こすからである(Fig41.3)。
細菌は損傷を受けた皮膚で増殖することができ、術創感染のリスクは剃毛してから手術までの時間が延びるのに従って増加する。
それゆえに、予定された手術症例でさえ、被毛はできるだけ手術の直前に行うべきである。
ヒト医療では、剃毛は毛刈りに比べて明らかに術後の創感染のリスクを増加させた。
牛では、毛刈りだけを行うなら、毛刈りのあとに剃毛したより明らかに皮膚刺激が少なかった(8.7vs47.8%)。
しかし、術後感染の率には差がなかった。
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この本には写真も示されている。
上;毛刈りされた馬の腹部の皮膚。
下;カミソリで剃毛された馬の腹部の皮膚。
毛刈りと剃毛は同じ人によって注意深く行われた。
毛刈りは新しい#40刃を、剃毛は新しいカミソリ刃を使った。
剃毛がより多くの皮膚損傷を引き起こしたことに注意。
そのことで、術後の創感染のリスクが増加する。
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バリカン(コードレスがお勧め)と#40の刃を買わなければならない。
牛だと、もっと大型でパワーのあるバリカンと刃も必要かもしれない。
しかし、良い手術のためには必要なことだ。
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かつてUSAへ行く飛行機の中で観た、ような気がする。
このあいだTVでやっていて録画して観た。
Baseball ではなくmoneyball だという皮肉なタイトルだということを頭において観なければならない。
野球の試合ではなく、選手のトレードによるチーム編成を家業とするGMゼネラルマネージャーの物語。
選手を物のように売り買いし、放出と交換と金銭トレードする。
われわれの会社でも全道合併を前にして、人事考課もすることになっているし、今は診療もデジタル化されているので、獣医師ごとの診療総量も数字を出すことができる。
ただ、データというのは、正しい数字を出して、正しい解釈をし、数字だけがすべてではないことをよく知って正しい対応をしないと生かすことができないどころか、害にもなる。
打率じゃない出塁率だ、盗塁するな、バントするな、確実にアウトを取ることが大切、とゲームの進め方まで口を出すなら、GMもまた首になる覚悟で挑まなければならない。
経営者も管理職もその覚悟をもたなければならない。