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Channel: 馬医者残日録
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繁殖雌馬4歳の空回腸纏絡

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繁殖雌馬が早朝から疝痛を示し、フルニキシン無効、ということで来院。

朝、5時半から。

朝飼いは半分残していた。

4歳、初産して2ヶ月。

子馬を置いてきたので昂奮していて疝痛症状は見せない。

超音波検査で内容がある小腸はあるものの蠕動がある。ほかに異常なし。

直腸検査すると、小腸ループがあり、ほかに硬結部があるという。

PCV41%、乳酸1.7mmol/l、白血球14,000/μl。

              -

疝痛が始まってもう5時間経つ。開腹した方が良いでしょう。

              -

開腹したら盲腸が右腹腔へ沈みこんでいて出てこない。

その近くで小腸が絡んでいる。

もみほぐしたり、ひっぱったり、ループをくぐらせたりして・・・ほどけた。

閉塞部位より上位は膨満している。

空腸下部を切開して内容を捨てることにした。

絡んでいた部分は肥厚し、その部位の腸間膜は出血している部分がある。

切除するか・・・・温存するか・・・・

収縮する力はあるようだ。

切開した部分では、粘膜は暗赤色だった。

回復することを期待することにした。

腸間膜の孔を閉じた。

小腸捻転することで腸間膜に孔が開くことがあるが、この孔は辺縁が古く、新しいものではなかった。

たぶん・・・お産?

                    -

この馬、盲腸に大網が癒着し、それで盲腸が出てこなかったのだ。

できるだけ癒着を剥がした。

                    -

夕方、子馬を連れて来て一緒にできた。

翌日、元気、食欲良好で、親子で退院していった。

                    -

遅れず開腹手術する決断ができたこと、

傷んだ小腸を温存する判断ができたこと、

が良い方へ転んだ。

転んだのだ。

いつもうまくいくとは限らない。

                /////////////////////

きょうは、あたたかかった。

ようやく寒さが消えた。


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