ことしも、誕生日の夜は開腹手術だった。
まあ、結腸捻転1頭だったし、重症ではなかったので、たいしたことはなかった。
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その2日後。夕方になって・・・・
もう何度も疝痛を起こしている繁殖雌馬。
「腸間膜に穴でもあいているんじゃないの」と言っていたのだが、今回も朝から痛くなり、
夕方には手がつけられないほど痛くなった。
開腹したら、
空腸の一番近位の腸間膜に穴が開いて、そこに小腸の大半が入り込んでいた。
腸間膜ヘルニアのよくあるパターンのひとつなのだが、今回の穴は特別に大きくて深かった。
大結腸を術創から出して、骨盤曲切開して内容を捨てる。
腹腔から出せない部分もホースで送り込んだ水でビチャビチャにして腸管の外から圧迫して掻き出す。
そのことで、腹腔内にスペースを創り、空腸上位の腸間膜の穴を縫えるようになる。
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かのWhite先生は、この空腸上位の腸間膜の穴は、「縫えないときは大きくしておく」と言っておられた。
締め付けられにくいので、致死的な疝痛にならずに済むこともあるだろう。
しかし、この繁殖雌馬のように、何度も疝痛を繰り返すようになる可能性大だ。
やはり、縫って閉じてやりたい。
結腸を切開してスッカラカン(昭和的表現?)にしてやることで縫える、という私たちの「気づき」は貴重なものだった。
小腸の問題なのに、「まず大結腸を空にしてから・・・・」と思いつかないのだ。
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この症例も腸間膜の穴を縫うことができた。
あとは閉腹するだけ。
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この手術を始める頃、当歳馬の疝痛を診てほしい、と連絡が来ていた。
朝からの疝痛。
これから開腹手術を始めるところなので2時間は対応できない、と伝えた。
手術が終わったところへ、やはり診て欲しいとの電話。
誕生日パーティーが2日遅れで来たんだな。今晩は眠れないかも。と覚悟した。
not to be continued
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家の裏にエゾカンゾウが咲き始めた。
すこし増えたようで嬉しい。