
この本は出版されたとき読みたいと思ったがそのままになっていた。
今年、オシムさんが亡くなった。
文庫版には、脳梗塞で倒れて日本代表監督を辞任したあとについて、数名の選手のインタビューが増補されている。
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Qatarワールドカップの合間に読むのに良い本だった。
他民族国家がサッカーに強い。
フランスも、イングランドも、USAも、etc.
イングランドとウェールズは、別な国として代表を送っている。
クロアチアとセルビアは・・・・
日本人は、特にそのへんの事情は理解しがたいのかもしれない。
オシムは、最後のユーゴスラビア代表監督だったのだ。
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この本の著者は、スポーツライターではないようだ。
この本の内容も、サッカーについてではあっても、それ以上に、
旧ユーゴスラビアの崩壊と戦乱に翻弄されながら生きたオシムさんの生涯を追ったルポルタージュになっている。
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チームづくり
組織論、そして組織や会社、あるいはオーナーとの対峙方法
マスコミ対応
指導者とは、リーダーとは。
そして、哲学でもあり、人生論でもある。
オシム語録だけ読んでも、その内容や背景を理解しがたいかもしれない。
この本を読めば、その意味を理解しやすい。
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オシムさんが引き受けたジェフ市原は、観客動員数も選手給与も低いチームだった。
活躍した選手は次々に引き抜かれ移籍していった。
しかし、チームは成績を落とさず、J1のビッグクラブと互角にわたりあった。
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獣医さんが次々辞めていき、募集しても人材が補充できないどこかの地域・組織も、参考にすべきところがあるかもしれない。
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オシムさんが日本へ来てくれた事情が興味深い。
ユーゴ代表として東京オリンピックで来日したときの印象が良かったらしい。
自転車で街を走り、言葉も通じない一般の人に親切にしてもらった。
東京でオリンピックをやったことの成果のひとつだろう。
オシムのところにはレアル・マドリーやパリ・サンジェルマンからもオファーが来ていたが、ビッグクラブを嫌った。
そして、ジェフ市原の祖母井ジェネラル・マネージャーだけは自分自身が会いに来た。
リクルートとはそうでなければならないのだろう。
募集してます。応募がありません。「あたまかず」だけはそろえました。は無責任で無能だ。
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さあ、スペイン戦だ!!